ゲーム業界において、Xboxブランドが大きな変化を迎えようとしています。これまでXboxの独占タイトルとして知られてきた「Starfield」や「Indiana Jones」などが、競合するPlayStationでも発売される可能性が高まっています。
米メディアThe Vergeによると、これまでXboxとPCのみで提供されていた「Hi-Fi Rush」や「Sea of Thieves」などのゲームが、PS5にも対応する予定であると報じられました。また、Xbox Eraの情報筋によれば、Microsoftが今年後半に発売する予定のXboxとPC向けの「Starfield」の拡張パック「Shattered Space」が、リリース後に「Starfield」とともにPS5にも展開される計画があるとのことです。
さらに、Bethesdaが開発中の新作ゲーム「Indiana Jones and the Great Circle」も、XboxとPCだけでなくPS5にも登場する見込みです。このゲームは、発売当初はXboxコンソールの独占タイトルとなりますが、その独占期間は短く、その後他のプラットフォームにも提供されるとの噂があります。
これらの噂の背景には、昨年のFTC対Microsoftの訴訟で明らかになった事実があります。その中で、Bethesdaの前グローバルパブリッシングヘッドであるPete Hines氏は、「Indiana Jones and the Great Circle」はもともと複数のコンソール向けに開発されていたが、MicrosoftがBethesdaを買収したことでXboxコンソールの独占タイトルに変更されたと証言しました。Hines氏は、Disneyが複数のコンソール向けの契約を持っていたことも明かしました。
Xboxは2001年に初代コンソールで市場に参入し、優れた独占ゲームと高性能なコンソールで人気を博しました。しかし、Xbox Oneの発表以降、エンターテインメントとオンラインに重点を置いた方針転換や、一部のファーストパーティスタジオの閉鎖などが原因で、PlayStationに大きく水をあけられることになりました。
現世代のXbox Series X|Sは、ほぼ4年前に発売されましたが、その売上は芳しくありません。Microsoftは、Game Passというサブスクリプションサービスを通じて、ほぼゲームを無料で提供し、Xboxの普及を促すという戦略を採ってきましたが、それが功を奏したとは言い難いのが現状です。
そこで、Microsoftの経営陣は、コンソール戦争での勝利を諦め、新たな手法を模索しているようです。これまでのゲームの無料提供戦略が期待通りの結果を生まなかったことから、今後は他のプラットフォームでもタイトルを提供することで、収益を増やすことを狙っているのです。
Microsoftの経営陣は、他のプラットフォームにも独占ソフトウェアをリリースすることのメリットとデメリットを慎重に検討してきたとされています。Microsoft内部では全員がこの決定に賛成しているわけではないようですが、他のプラットフォームでリリースしなかったことで失われた潜在的な収益を回収することが最優先されていると見られています。
しかし、この新戦略には、Xboxファンからの不安の声も上がっています。競合するコンソールにXboxの独占ゲームが登場することで、Xboxコンソールの所有意義が失われるのではないかという懸念があります。熱心なファンの一部は、この方針に失望し、Xboxから離れる可能性もあります。
新戦略では、Xboxは引き続きゲームを提供する一方で、Xbox Game Passを通じて発売日にタイトルを無料で提供し、PlayStationやNintendoのユーザーはフルプライスで購入する必要があるという方針が示されています。この戦略の背後には、Game Passの会員数が伸び悩み、頭打ちであるということが関係しているようです。
また、Microsoftが今後新しいXboxコンソールを製造しなくなる可能性についても懸念されており、これが実現すれば、Game Passで提供されるデジタルライブラリの未来にも影響を与える可能性があります。これらの噂が現実となるかどうか、Microsoftがこの新戦略に関するより公然とした発表を行うことが求められています。