1年前、ソニーが満を持して発表した次世代ヘッドセット「PlayStation VR2（PSVR2）」は、当初の期待に応えきれていない状況が明らかになった。解像度、視野角、トラッキング、入力などの大幅な向上を謳い文句に発売されたPSVR2だが、1年以上経過した現在も、市場に大きなインパクトを与えられていないのが現状だ。
PSVR2のハードウェアは素晴らしいものの、ファーストパーティの独占タイトルが不足しており、高価な価格や後方互換性の不足などが影響しています。PSVR2が謳っていた「次世代のVRシステム」としての期待とは裏腹に、リリースから1年以上が経過し、そのポテンシャルを発揮できていないのが実情です。
優れたハードウェア、しかし独占ゲームは少ない
PSVR2のハードウェアは素晴らしいものの、ファーストパーティの独占タイトルが不足しており、高価な価格や後方互換性の不足などが影響しています。PSVR2が謳っていた「次世代のVRシステム」としての期待とは裏腹に、リリースから1年以上が経過し、そのポテンシャルを発揮できていないのが実情です。
ローンチ時には40以上のゲームが登場しましたが、そのうち「Horizon Call of the Mountain」を含むわずか3つがPSVR2独占で、「グランツーリスモ7」や「バイオハザード ヴィレッジ」などが含まれていました。しかし、これらのタイトルは期待を裏切り、競合他社のMetaに比べて独占タイトルが不足しているという結果になりました。Metaは魅力的な独占タイトルを持ち、過去5年間にわたりVR市場をリードしています。
ソニーはAAA VRプラットフォームを目指していると言われていますが、ファーストパーティのスタジオはVRゲームに対する十分な関心を示していないという課題があります。特に、London Studioなど関連スタジオの閉鎖が相次いでいます。これにより、ソニーが目指すVR市場における主導権確立の道のりは厳しいものとなっています。
創造者に見捨てられた?
PSVR2のファーストパーティサポートが期待を下回っていることは明白であり、ファンや開発者の間で不満が募っています。Sony自体がPSVR2に十分な興味を示していないとの指摘があり、VR市場でのAAAサポートの不足が開発者の意欲を抑制している現状が浮き彫りになっています。一方で、一部の開発者はPSVR2に未来があると見ており、Sonyによる独占のAAAゲームへの投資が市場を活性化する可能性があると述べています。
今後の課題
PSVR2が現状を打破し、市場での存在感を高めるには、シェアの拡大と独占ゲームの提供増加が必要です。しかし、小売りの遅れや販売戦略の不備からくる競争力不足が明白です。また、VR市場全体の成長が鈍化している中、PSVR2の存在感向上のためには、他プラットフォームとの連携や新しいコンテンツ戦略が求められます。
唯一の希望は、PSVR2をPCにも対応させることです。これに成功すれば、PSVR2はPC VR市場において新たな可能性を拓くことができるでしょう。しかし、いくつかの懸念が残ります。
まず、PCでPSVR2を使用するために必要な技術的要件が十分に明確にされていません。PCのスペックやOSバージョンなど、どの条件を満たす必要があるのか、また、ソニーがどの程度PC向けのゲームサポートを提供するのかについても不透明です。すべてのPCタイトルがPSVR2でプレイ可能になるのか、それとも一部のタイトルのみ対応なのか未確定です。
PSVR2は1年の経過で期待を大きく下回り、その未来には暗雲が立ち込めています。ファーストパーティのゲーム不足、開発者の興味喪失、市場での競争力不足がPSVR2の課題となっており、これらを克服するためには積極的かつ戦略的なアクションが求められます。ソニーがPSVR2の運命を変えるためには、今後の展開が重要となるでしょう。
情報元：IGN