ハリウッドはビデオゲームを新たなエンターテイメントの宝庫として積極的に活用しています。『スーパーマリオブラザーズ』や『The Last of Us』などの成功を背景に、映画やテレビの関係者はゲームの権利を取得し、新たな可能性を模索中です。
ビデオゲーム映画化の潮流
ビデオゲームを題材とした映画化が活発化しています。独立系ゲーム開発者のNadia Thorne氏の例はその典型です。彼女が開発したゲーム「Dredge」は、静寂な釣りと宇宙の恐怖を融合させた作品で、2023年3月にリリースされて高評価を受けました。多くの映画制作会社が映画化に名乗りをあげ、最終的に、ソニック・ザ・ヘッジホッグの製作会社が設立したストーリーキッチンと契約を結びました。
コミック映画からビデオゲーム映画へ
コミック作品を原作にした映画への熱狂が落ち着きつつあります。ウォルト・ディズニー・カンパニーの当時のCEO、Bob Iger氏は、同社のマーベル作品の公開本数を減らすことを発表しました。
従来、コンテンツの流れとしては、コミックから映画化、そしてゲーム化という順序が一般的でした。しかし近年では、人気ゲームを原作とした映画やドラマ作品が続々と制作され、熱狂的なゲームファンを巻き込みながら大ヒットを記録するケースが目立っています。
この背景から、ハリウッドは新たな物語の源泉としてビデオゲームに注目し始めています。
多くのビデオゲームが映画やテレビ番組化され、現在制作が進められています。Amazon制作の『Fallout』シリーズは6500万人の視聴者数を記録し、ソニック・ザ・ヘッジホッグ映画は興行収入7億ドルを超えています。これらの成功例に、業界関係者たちは注目しています。
ハリウッドは、巨大なフランチャイズだけでなく、知名度の低いゲームにも注目しています。セガのベルトスクロールアクションゲーム『ゴールデンアックス』や、俳優のLaKeith Stanfieldがオプション権を獲得した低予算シューティングゲーム『El Paso, Elsewhere』がその一例です。
過去の失敗からの学び
かつて、ビデオゲームの映画化は失敗に終わることが多かったものの、近年その流れが変わりつつあります。Netflixの『ウィッチャー』やHBOの『The Last of Us』がその代表例です。『The Last of Us』は24のエミー賞にノミネートされ、8つの賞を受賞しました。
特にテレビシリーズは、ビデオゲームの複雑なストーリーを表現するのに適しています。『The Last of Us』の15時間に及ぶストーリーを映画に詰め込むことは難しいですが、テレビシリーズならばその魅力を十分に引き出すことができます。実際、HBOの『The Last of Us』では、批評家から高く評価されたエピソードが存在します。
ヒットの鍵はゲーム文化の尊重
ビデオゲームの映画化は、新たなエンターテイメントの形として急速に成長しています。その成功は、ゲームの世界を理解し、尊重することにかかっています。ゲーム文化を深く理解する映画製作者たちが、新たな手法と技術を駆使して、観客に新しい体験を提供しています。ビデオゲームと映画業界の新たなパートナーシップは、今後ますます発展し、エンターテイメントの未来を形作ることでしょう。
情報元:Bloomberg