Valveの新作ヒーローシューティングゲーム「Deadlock」は、従来のリリースモデルとは異なるソフトローンチ戦略を採用。プレイヤーのフィードバックを活かして成長するこの手法は、オンラインゲーム業界における新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。
従来のリリースモデルを覆す「ソフトローンチ」
Valveが開発中の6対6のヒーローシューティングゲーム「Deadlock」は、従来のゲームリリースの常識を覆す革新的な試みとして注目を集めています。
「Deadlock」は、長らく秘密裏に開発されてきましたが、現在ではSteamを通じて2万人以上のプレイヤーがプレイ可能な状態です。まだ正式なリリースは発表されていませんが、招待されたプレイヤーは自由にゲームを楽しみ、その情報を共有することが許可されています。
この「ソフトローンチ」戦略は、オンラインゲーム業界に新たな可能性を示唆しています。「ソフトローンチ」とは、新製品やサービスを正式公開前に限定的な範囲で先行公開し、テストを行う手法を指します。「Deadlock」の場合、プレイヤーからのフィードバックを早期に取り入れてゲームバランスを調整し、バグを修正することで、より完成度の高いゲームに仕上げることを目指しています。また、コミュニティの意見を反映することで、プレイヤーがより愛着を持てるゲームに育てることが期待されています。
リリースモデルのリスク軽減
従来のオンラインゲームのリリースは、大規模な宣伝活動とともに行われるのが一般的でした。事前予約の促進や、リリース前のオープンベータテストが行われ、ローンチ当日には多くのプレイヤーが一斉にアクセスし、サーバーダウンなどの問題が発生することが多くありました。しかし、「Deadlock」のソフトローンチ戦略は、プレイヤーベースを徐々に拡大しながら、実際のプレイヤーデータに基づいてゲームの修正や改善を行うことで、従来のリリースモデルが抱えるリスクを大幅に軽減しています。
マーケティングの新たなアプローチ
「Deadlock」のソフトローンチは、技術的な側面だけでなく、巧妙なマーケティング戦略としても注目されています。情報が容易に拡散される現代において、Valveはあえて大々的なプロモーションを行わず、ゲームに関する情報を制限することで、その希少性を高めています。多くのプレイヤーにアクセスを許可しつつも、オープンな議論を控え、口コミによってゲームの評判を広める手法は、SNS黎明期における成功事例を彷彿とさせます。SNS上での自然な拡散は、従来の大規模なプロモーションよりもプレイヤーに深く響き、結果として強固なコミュニティ形成につながると考えられます。
成功の鍵はゲームの質
「Deadlock」の成功は、最終的にはゲームの品質にかかっています。プレイヤーの期待に応える高品質なゲームでなければ、どんなに巧みな戦略を立てても成功は難しいでしょう。しかし、この新たなアプローチがオンラインゲームのリリースとマーケティングの手法において、新たな標準を打ち立てる可能性は十分にあります。
Valveの「Deadlock」が成功を収めれば、他のゲーム開発者やパブリッシャーもこのモデルを採用する可能性が高まるでしょう。「Deadlock」のローンチは、単なるゲームのリリースにとどまらず、業界全体の開発プロセスやリリース戦略に大きな影響を与える可能性を秘めています。
情報元：GamesIndustry
8月25日追加記事 ： Valve、新作MOBAゲーム「Deadlock」を正式発表しSteamページ公開
Valveは2024年8月23日、同社の最新作となるMOBAゲーム「Deadlock」を正式に発表し、Steamページを公開しました。これは同社が新たに取り組むマルチプレイヤーゲームであり、現在は開発初期段階にあります。Steamページではゲームの詳細情報が限られているものの、仮置きのアートや「実験的なゲームプレイ」が含まれていると説明されています。
https://store.steampowered.com/app/1422450/Deadlock
現時点で「Deadlock」のゲームプレイに関するスクリーンショットは公開されていませんが、短いティーザービデオがアップロードされました。ビデオでは、都市の背景でキャラクターがタバコを吸うシーンや、プレイヤーキャラクターが街中を走り回る様子が描かれています。これにより、ゲームがヒーローシューティングの要素を持つ一方で、より戦略性が求められる伝統的なMOBAに近いものであることが示唆されています。
「Deadlock」はサードパーソン視点のカメラを採用し、2つの6人チームが対戦する形式です。プレイヤーは、ミニオンを4つのレーンに導き、敵の防御を突破しながら、チェックポイントを制圧することを目指します。また、プレイヤーは試合中にアップグレードを購入し、戦略的にゲームを進めることが求められます。通常、1試合の所要時間は約30分とされています。
Valveの発表に加えて、プレイテスターが「Deadlock」の映像やスクリーンショットをソーシャルメディアに自由に共有できるようになったことも、大きな話題となっています。これにより、より多くのプレイヤーがゲームに対する興味を持ち、今後のアップデートや情報公開に期待が高まっています。
