Epic Gamesは、Unreal Engine 6の進化とメタバース領域での革新に向けた技術開発を進めています。CEOのTim Sweeney氏は、ディズニーとの提携を強化し、シームレスなメタバース体験を実現することを目指しています。同社の10年後を見据えたビジョンと、技術の進化がもたらす可能性に注目します。
Epic Gamesは、Unreal Engine 6と次世代のメタバース向けツールの開発において新たなフェーズへと移行しました。CEOのTim Sweeney氏は、財務基盤を強化し、長期的なビジョン実現に向けた準備が整ったと述べています。シアトルで開催されたUnreal Fest 2024で、Sweeney氏はEpic Gamesの10年後を見据えた展望を発表し、特にメタバース領域での取り組みに焦点を当てました。
昨年の大規模な人員削減を経て財務状況を改善し、成長に向けた新たな段階に入りました。Sweeney氏によると、昨年度は支出が収入を上回っていましたが、現在はバランスが取れ、収益を確保しながら事業を拡大できる体制を整えたと述べています。
UE6の開発と新たなデジタル空間の構築
Epic Gamesは、現在、Unreal Engineと「フォートナイト」向けのUnreal Editorを統合し、次世代のゲーム開発プラットフォームとしてUnreal Engine 6を開発中です。この統合により、開発者は一度の開発で複数のプラットフォームに対応できるようになり、開発効率が大幅に向上することが期待されます。Sweeney氏は、この技術がゲーム開発の未来を切り開き、様々な分野への展開を加速させるというビジョンを示しています。
同社は、メタバースの概念に基づき、ゲーム開発の未来を描き続けています。ディズニーとの連携を通じ、異なるデジタル空間をシームレスに接続する取り組みを進めており、「フォートナイト」をはじめとする複数のプラットフォームを統合し、ユーザーが自由に移動できる広大なデジタル空間の実現を目指しています。
Epic Gamesとディズニーは、「永続的な宇宙」と呼ばれる新たなデジタル空間の構築に向けて協力しています。このプロジェクトは、「フォートナイト」のエコシステムと完全に相互運用可能であり、Unreal Engine 6を基盤としています。ディズニーはEpic Gamesに1.5億ドルを投資し、同社の株式を取得することで、マーベル、スター・ウォーズ、アベンジャーズなどのディズニーのIPを「フォートナイト」のメタバースに取り入れる計画です。この新たな宇宙は、プレイヤーが独自の物語を創造し、他のファンと共有できる場を提供することを目指しています。
異なるプラットフォーム間でアイテムの共有
Epic Gamesは、現在、異なるプラットフォーム間でのデジタルアイテムの共有を可能にする技術基盤の開発を進めています。フォートナイト、Minecraft、Robloxなど、人気ゲーム間でのコンテンツ互換性を高め、ユーザーが所有するデジタル資産を複数のプラットフォームで利用できる環境の実現を目指しています。
Sweeney氏は、「技術的には、Roblox、Minecraft、フォートナイトの間をシームレスに移動することが可能である」と述べ、同社の技術力に対する自信を示しています。これにより、ユーザーは異なるプラットフォーム上で同じデジタルアイテムを利用できるため、デジタル空間全体でより一貫した体験を楽しめることになります。Epic Gamesは、Unreal Engineやフォートナイトを基盤として、ゲーム業界の変革を牽引していくことを目指しています。
同社は、Fabマーケットプレイスの開設を予定しています。このマーケットプレイスは、MinecraftやRobloxなど、異なるプラットフォームで機能するデジタルアセットを提供することを目的としています。Fabマーケットプレイスを通じて、開発者は容易にアセットを購入し、様々なゲームプラットフォームで活用することが可能になります。これにより、アセットの流通が効率化され、開発者の収益機会が拡大することが期待されます。
モバイル市場でのさらなる展開
Epic Gamesは、AppleやGoogleとの法廷闘争を続けており、モバイル市場での競争力を高めるために尽力しています。Epic Gamesは、モバイルプラットフォームでのゲーム配信において、より多くの自由度を求めています。これにより、モバイルユーザーに対しても高品質なゲーム体験を提供し、モバイル市場での競争力を高めることを目指しています。
この法廷闘争は、Epic GamesがGoogleの手数料を回避するために独自のモバイル決済手段を導入し、Google Playから「フォートナイト」が削除されたことを発端としています。2023年12月11日(米国時間)に、裁判所はEpic Gamesの主張を認め、Googleの行為が反トラスト法に違反していると判断しました。その後、2024年8月16日に「Epic Games Store」および「フォートナイト」がGoogle Playに再び登場しました。この結果、Epic Gamesはモバイル市場でのさらなる展開を進める土壌を整えたといえます。
長期的な投資と未来の展望
Epic Gamesは、次の10年間にわたり、技術革新と財務の安定を両立させる計画を進めています。Sweeney氏は、慎重な財務管理と戦略的な投資を通じて持続的な成長を確保すると強調しています。具体的には、Unreal Engine 6をはじめとする次世代ツールの開発に注力し、ゲーム業界全体の進化を支える技術的基盤を提供していく予定です。
このように、Epic Gamesはメタバース技術の進展とゲーム開発環境の革新を推進し、業界の成長を牽引していくことでしょう。Sweeney氏のリーダーシップの下、同社は今後もゲーム業界をリードし続ける存在となるはずです。
情報元:TheVerge