Netflixはゲーム業界への本格参入を目指し設立した南カリフォルニアのTeam Blueスタジオを閉鎖しました。同スタジオには「Halo」や「God of War」、「Overwatch」などの著名なタイトルに携わった開発者が集まっていました。ゲーム業界の再編成の影響を受け、Netflixのゲーム戦略が再考される可能性があります。
動画配信の最大手「Netflix」は2024年10月、南カリフォルニアに拠点を置く「Team Blue」ゲームスタジオを正式に閉鎖しました。このスタジオはAAAタイトルの開発を目指し、「Halo」「God of War」「Overwatch」などの人気作品に携わった経験豊富な開発者が在籍していたため、業界内で大きな注目を集めていました。しかし、設立から2年足らずで閉鎖され、Netflixのゲーム業界進出は再び不透明な状況に陥っています。
Team Blueスタジオの設立
Netflixは2020年からゲーム業界への本格的な参入を計画しており、その象徴的な取り組みの一つがTeam Blueの設立でした。スタジオは2022年後半に設立され、Netflixはゲーム業界のトップクリエイターを積極的に採用しました。代表的な例として、Blizzard Entertainmentで「Overwatch」のエグゼクティブプロデューサーを務めたChacko Sonny氏や、Bungieおよび343 Industriesで「Halo」シリーズのクリエイティブリーダーを務めたJoseph Staten氏がいます。さらに、Sony Santa Monicaでアートディレクターを務めたRafael Grassetti氏も参加し、このプロジェクトは業界内外で大きな期待を集めていました。
Netflixは当初、「Into the Breach」や「Moonlighter」などのモバイルゲームに注力していましたが、Team Blueの設立により、PCやコンソール向けのマルチプラットフォーム対応の大型ゲーム開発にシフトする計画でした。これにより、Netflixはストリーミングサービスを超え、エンターテインメント全般において新たなビジョンを描こうとしていました。
市場環境の変化:閉鎖の背景
しかし、Netflixのゲーム事業は予想外の困難に直面しました。2023年以降、ゲーム市場の成長は鈍化し、世界的な経済の不透明さから業界全体でリストラや事業再編が進行しました。この影響を受け、Netflixのゲーム部門もリソースの再配分を迫られることになりました。
Netflixはスタジオ閉鎖の理由を、ビジネス戦略の見直しやコスト削減の一環であると説明しています。南カリフォルニアのスタジオには優秀な人材が集まり、AAAタイトルの開発も進んでいたものの、現実的な市場環境に合わせた決断が必要だったと述べています。
なお、Netflixはスタジオ閉鎖後もゲーム業界での活動を継続する意向を示しており、特にモバイルゲームや小規模なプロジェクトに注力する可能性が高いと見られています。
今後の展望と新たな戦略
Team Blueスタジオの閉鎖は、Netflixがゲーム業界でのポジションを再評価する契機となるかもしれません。同スタジオはNetflixが新しい収益源を見出し、ゲーム業界で影響力を持とうとする野心的な取り組みの象徴でしたが、その計画はゲーム市場の厳しい現実に直面して中断されました。
しかし、Netflixは依然としてエンターテインメント業界の主要プレーヤーであり、特に動画ストリーミングサービスでは圧倒的なシェアを誇っています。閉鎖されたTeam Blueスタジオで進められていたプロジェクトの詳細が明らかになるにつれ、Netflixの新しいゲーム戦略も見えてくるでしょう。モバイルゲームや他スタジオとの協力を通じたゲーム開発など、同社の動向は引き続き注目を集めることになりそうです。
情報元:Gamefile