Ubisoftが無料FPSゲーム「XDefiant」の開発終了を決定。市場競争の激化を背景に、3つの開発拠点閉鎖と277名の人員削減を実施。この決定がUbisoftの今後にどのような影響を与えるのか、GaaSモデル強化と新技術活用による成長戦略に注目が集まる。
Ubisoftは無料プレイ型FPSゲーム「XDefiant(エックスディファイアント)」の開発終了を正式に発表しました。この決定は、急速に変化するゲーム市場でプレイヤー基盤を確保し、持続可能な収益を実現する困難さが背景にあります。この発表の詳細と影響、Ubisoftが今後目指す方向性とは──。
「XDefiant」開発終了の背景
「XDefiant」は、独自性の高いプレイスタイルと活発なコミュニティの構築を目指して開発されました。リリース直後は1000万人以上のプレイヤーを獲得し注目を集めましたが、急速にプレイヤー数が減少。競争が激化するFPS市場では、「Call of Duty」や「Apex Legends」などの大手タイトルが市場を席巻しており、新規ゲームの生存は極めて困難です。
Ubisoftは、2025年6月3日まで「XDefiant」のサーバーを維持する予定で、これまでプレイしてきたユーザーへの感謝を表明しています。一方で、新規ダウンロードや登録は停止され、シーズン3が最後のコンテンツとなります。
開発チームの反応と初期の成功
「XDefiant」の開発終了を受け、開発チームは複雑な心情を述べました。エグゼクティブ・プロデューサーのMark Rubin氏は、次のように語っています。
- リリース後2週間で1000万人以上のプレイヤーを獲得する成功を収めたものの、急激な人気の低下に直面したこと
- チームの努力を称え、今後の経験に活かすとした声明
実際、「XDefiant」の同時接続プレイヤー数はリリース後数か月で2万人以下に減少しており、ゲームの持続可能性に大きな課題が浮き彫りになりました。
Ubisoftのスタジオ再編と人員削減
「XDefiant」の開発終了に伴い、Ubisoftはスタジオの再編を進行中です。特に影響が大きいのは、サンフランシスコと大阪のスタジオ閉鎖、およびシドニー拠点の規模縮小です。この再編により、サンフランシスコで143人、大阪・シドニーで134人が退職を余儀なくされると発表されています。
Ubisoftは影響を受けるスタッフに対し、社内での再配置や移行支援を提供するとしています。これにより、退職者への影響を最小限に抑える方針です。
Ubisoftの今後の展望と戦略
Ubisoftは、今後「Game as a Service(GaaS)」のモデルを強化し、長期的なプレイヤーエンゲージメントを目指す意向を示しています。これには、「Rainbow Six」や「For Honor」など、同社が成功を収めたタイトルから得た知見が活かされると予想されます。
また、同社は競争力を高めるため、開発プロセスやビジネスモデルの再構築を進めています。AIやクラウド技術など、新たなテクノロジーの活用も視野に入れていると見られます。Ubisoftは、進捗状況を透明性を持って共有し、ユーザーや投資家との信頼を構築する姿勢を強調しています。
Ubisoftが直面する課題
「XDefiant」の開発終了は、Ubisoftが抱える多くの課題の一つに過ぎません。最近では、「Star Wars Outlaws」の販売不振や、2024年度における株価の低迷も報告されています。これらの状況が、同社全体の収益と市場評価に影響を及ぼしています。
しかし、Ubisoftはこの厳しい状況を乗り越えるため、戦略を大胆に見直しています。ゲーム業界での競争が激化する中、Ubisoftがどのように新しい価値を創出し、業績を回復させるのか、引き続き注目が集まります。
情報元:Ubisoft.com