AGDQ 2025で話題を呼んだ、クレイジータクシーのスピードランとライブバンド演奏の融合。The Offspring等の名曲を生演奏で再現し、ゲームと音楽が一体となった19分間の熱狂パフォーマンスは、20年以上経つ今も色褪せないクレタク人気と、チャリティーイベントの可能性を押し広げた。
AGDQ 2025を彩る音楽パフォーマンス
2025年1月5日から12日まで開催された恒例のチャリティーイベント、Awesome Games Done Quick(AGDQ)は、スピードラン(RTA)とエンターテイメントの融合で知られています。今年のAGDQ 2025は特に音楽面で大きな盛り上がりを見せ、様々な音楽パフォーマンスが披露される中で、「ライブバンド」がアーケードドライブゲームの名作、クレイジータクシー(以下、クレタク)のスピードランに合わせて演奏するという趣向が注目を集めました。
Crazy Taxi with Live Backing Band by chuckles825 in 18:59 – Awesome Games Done Quick 2025
ライブバンドとスピードランの融合
クレタクといえば、The OffspringやBad Religionなどのパンク・ロックによるBGMが作品の重要な要素として知られています。しかし、配信イベントでのこれらの楽曲使用には著作権の壁が立ちはだかっていました。通常、著作権問題によりオリジナルのBGMを使用できない場合、無音やロイヤリティフリーの音楽で代用されることが多いのですが、BGMはクレタクの重要な要素であるため、AGDQの主催者が編み出した生演奏という解決策は、まさに画期的なものでした。
スピードランナーのchuckles825は、ゲーム内のタクシーを駆使し、クレイジーボックスモードの16ステージに挑戦。その背後では、「ライブバンド」が彼のプレイに合わせて約19分間の演奏を繰り広げました。バンドは、オリジナルゲームの楽曲を忠実に再現し、The Offspringの「All I Want」などの人気曲をカバーしました。スピードランナーがゲーム内でミスをしたり、レベルをクリアするごとに楽曲が切り替わる演出は、ゲームの緊張感と熱狂的な演奏が見事に融合した、素晴らしいライブパフォーマンスでした。
このユニークな試みは、通常のスピードラン解説を大幅に削る形となりましたが、迫力ある音楽と観客の興奮が一体となり、それを補って余りあるほどの熱狂を会場にもたらしました。20年以上前に発売されたクレイジータクシーの人気が今なお健在であることがうかがえます。
様々なゲームで音楽パフォーマンスが展開
このクレタクのパフォーマンス以外にも、AGDQ 2025では様々な音楽パフォーマンスが展開されました。クラシック音楽の訓練を受けたオペラ歌手、マリア・ソプラーノが「ラチェット&クランク」のスピードランを荘厳な歌声で締めくくり、ピアニストのジャズ・キーズが「New スーパーマリオブラザーズ Wii」のサウンドトラックを全曲演奏しながらプラットフォームゲームをプレイしました。さらに、スピードランナーのサックス奏者は「エルデンリング」のノーヒットランをサックスで演奏するという、多様な音楽とゲームの融合が見られました。これらのパフォーマンスは、AGDQが単なるスピードランイベントではなく、エンターテイメント性の高いイベントであることを示しました。
チャリティーの成果と今後の予定
AGDQはPrevent Cancer Foundationへの寄付を目的としたチャリティーイベントでもあります。AGDQ 2025の視聴者は、イベント期間中に250万ドル以上を集め、Games Done Quickが様々な慈善団体に集めた過去15年間の総額は5,400万ドルに達しました。これは、ゲームコミュニティが社会貢献に大きく貢献していることを示す顕著な例と言えるでしょう。
今回のAGDQ 2025の成功を受けて、主催者は今年の夏に開催予定のSummer Games Done Quick 2025でも、同様の音楽パフォーマンスを取り入れることを検討していると発表しました。ゲームと音楽の融合がさらに進化し、新たなエンターテイメントの形を生み出していくことが期待されます。
情報元:GamesRadar