
ゲーム開発会社Crytekは、財政的な持続可能性を維持するため、全従業員約400人のうち15%にあたる約60人の解雇を発表しました。「Crysis 4」の開発を一時停止し、「Hunt: Showdown 1896」にリソースを集中させる方針です。この動きは、ゲーム業界全体での人員削減の傾向を反映しており、業界の現状と今後の展望に注目が集まっています。
Crytek、全従業員の15%を削減
ゲーム開発会社Crytekは、財政的な持続可能性を確保するため、全従業員約400人のうち15%にあたる約60人の解雇を決定しました。この人員削減は、開発チームおよび共有サービス部門に影響を及ぼします。同社は公式X(旧Twitter)アカウントで声明を発表し、「多くの同業他社と同様に、当社もここ数年業界を襲った複雑で不利な市場動向の影響を受けずにはいられません」と述べています。
さらにCrytekは、2024年第3四半期に人気シリーズ最新作「Crysis 4」の開発を一時停止する決定を下しました。これに伴い、開発者を同社の別プロジェクト「Hunt: Showdown 1896」に移行させる計画を進めています。同社は2022年1月に「Crysis 4」の開発を発表し、同年後半にHitman 3のゲームディレクターを務めたマティアス・エングストローム氏を開発リーダーとして起用していました。しかし、エングストローム氏は開発停止後の2024年11月にCrytekを退職し、その後、Hitmanシリーズで知られるIO Interactiveに主任ゲームデザイナーとして復帰しました。
「Hunt: Showdown 1896」への注力
Crytekの声明によれば、「Hunt: Showdown 1896」は現在も成長を続けているものの、Crytekは以前と同じように財政的に持続可能な状態を維持することはできません。コスト削減と運営費削減の継続的な努力にもかかわらず、前進するためにはレイオフは避けられないと判断しました。影響を受ける従業員には、退職金パッケージとキャリア支援サービスが提供される予定です。
同社は今後、「Hunt: Showdown 1896」のコンテンツ拡充と進化、そして自社エンジンCryEngineの戦略推進に注力する方針を示しています。Crytekは「Crytekの将来を固く信じています」と述べ、今後の展望に自信を見せています。
ゲーム業界全体で広がる人員削減の波
なお、業界全体の動向に関して、2025年1月に公開された「2025 GDC State of the Game Industry」レポートによれば、2024年にはゲーム業界全体で大規模な人員削減が実施され、ゲーム開発者の11人に1人が職を失ったことが明らかになっています。このような状況は、業界全体の市場動向や経済状況の変化が影響していると考えられます。
Crytekの今回の決定は、同社の財政的な持続可能性を確保し、リソースを効果的に活用するための戦略的な判断といえます。今後、同社がどのようにして市場の変化に適応し、競争力を維持していくのか、業界内外から注目が集まることでしょう。
情報元:VGC