
ソニーが、Ready at Dawnによる「The Order: 1886」の続編企画を却下していたことが明らかになりました。同作は2015年にリリースされ、Metacriticで63点の評価を受けた。開発者アンドレア・ペッシーノ氏は、批評家の評価が70点以上であれば続編の可能性があったと述べています。
独特な世界観と高品質なグラフィック
2015年にリリースされたPlayStation 4用アクションアドベンチャーゲーム「The Order: 1886」は、その独特な世界観と高品質なグラフィックで大きな注目を集めました。しかし、批評家からの評価は賛否両論で、Metacriticでは63点というスコアにとどまりました。注目すべきは、社内での事前評価では70点以上を見込んでいたものの、実際の評価はそれを下回る結果となりました。この低評価が続編開発の見送りに大きな影響を与えたとされています。
ソニーが続編企画を却下した理由とは?
開発元Ready at Dawnの共同設立者であるアンドレア・ペッシーノ氏は、MinnMaxとのインタビューで、ソニーが続編の提案を却下した背景について語りました。ペッシーノ氏は「ソニーは非常に誇り高い企業です。もし我々が批評家から70点以上の評価を得ていれば、続編の可能性は高かったと確信しています」と述べています。
ペッシーノ氏は、ソニーによる却下が結果的には良い判断だったとも振り返ります。その理由として、続編の予算が限られており、スタジオには有利な契約条件を引き出す交渉力がなかった点を挙げています。一方で彼は、作品の価値を示すために機会があれば続編を作りたかったとしています。
また、開発期間の制約も大きな問題でした。ペッシーノ氏によると、当初予定していた多くのコンテンツが時間的な制約から削減され、一部のインタラクティブな要素がカットシーンやムービーに置き換えられたとのことです。「少なくともあと1年の開発期間が必要でしたが、それが叶いませんでした」と彼は振り返っています。
続編の計画について具体的な詳細は明かされていませんが、もし実現していれば2018年にPlayStation 4向けにリリースされ、マルチプレイヤーモードの導入も検討されていたとされています。しかし、ソニーの決定によりこれらの計画は実現しませんでした。
Ready at Dawnのその後とスタジオ閉鎖
Ready at Dawnは、その後VR(仮想現実)ゲームの開発に注力し、「Lone Echo」や「Echo Arena」などのタイトルを手掛けました。2020年にはMeta(旧Facebook)に買収され、Oculus Studiosの一員となりました。しかし、2023年にスタジオは閉鎖されました。この閉鎖は、Metaが実施した大規模な人員削減の一環として行われたもので、VR市場の成長が期待ほど急速ではなかったことが背景にあるとされています。
業界における批評の影響力
「The Order: 1886」の続編が実現しなかった背景には、批評家からの評価や開発期間の制約など、複数の要因が絡んでいました。この事例は、ゲーム業界において批評家の評価が商業的な決定に与える影響の大きさを示しています。Metacriticのようなレビュー集約サイトのスコアは、ゲームの売上予測や開発者へのボーナス支給、さらには企業価値にまで影響を及ぼすことがあります。
なお、ソニーは同時期に「Resistance 4」の企画も却下していたことが明らかになっており、同社の企画採用基準の厳しさを示す一例となっています。このような決定は、大手パブリッシャーによる新作タイトルへの多額の投資と、その後の商業的成功の重要性を反映しているとも言えるでしょう。
情報元:Gamespot