
カプコンの最新作「モンスターハンターワイルズ」がSteamで約138万人の同時接続を記録。前作「モンスターハンター ワールド」を大きく上回るスタートを切る一方で、プレイヤーレビューは「賛否両論」となっています。人気の一方で、なぜこのような評価となっているのか、背景には、動作の不安定さや初心者向けの調整が影響しているようです。これらの問題点と評価を今後どう改善していくのでしょうか。
カプコンの人気シリーズ「モンスターハンターワイルズ」は、2025年2月28日に発売され、発売直後から大きな注目を集めました。Steam上では、2025年3月初旬時点での同時接続プレイヤー数が約138万人に達し、前作「モンスターハンター ワールド」のピーク記録(約33.4万人)を大きく上回る成果を収めています。
本タイトルは、SteamDBのデータによれば歴代Steamタイトルの同時接続ランキングで上位にランクインする快挙を達成。たとえば、「PlayerUnknown’s Battlegrounds(PUBG)」が300万人以上の記録を持つ一方、「Palworld」やシングルプレイヤータイトル「Black Myth Wukong」も高い接続数を記録しており、これらに引けを取らないパフォーマンスを示しています。
賛否分かれるプレイヤー評価
一方で、「モンスターハンターワイルズ」のプレイヤーレビューは必ずしも好意的とは言えません。Steamに寄せられた50,000件以上のレビューでは、好意的評価率が57%に留まり、「賛否両論」との評価となっています。これには以下のような複数の要因が挙げられます。
- PC版の最適化不足
PC版では、フレームレートの低下や動作の不安定さが多くのプレイヤーから指摘されています。特に、高性能なグラフィックスカード搭載PCにおいても4K解像度で60fpsの維持が難しい状況です。公式ベンチマークツールの段階から性能への懸念が示されていたにもかかわらず、十分な改善が行われなかった点が批判されています。 - 技術的トラブルの多発
通信エラーや特定条件下でのバグなど、ゲームプレイに支障をきたす技術的な問題が数多く報告されています。たとえば、クエスト開始直後に救難信号を上げると通信エラーが発生する、またはオトモ武器の効果が正しく反映されないといった不具合が確認されています。これらの問題は公式フォーラムで修正予定と告知されていますが、具体的な対応時期は未定です。 - 新規プレイヤー向け調整による熟練者の不満
新規プレイヤーの獲得を意識した設計となっており、難易度が緩和されています。そのため、シリーズに精通した熟練プレイヤーにとっては、挑戦要素が不足していると感じられる部分もあります。新規要素である「集中モード」や新モンスターは評価される一方、エンドゲームコンテンツの不足が指摘されています。 - 高評価ポイントとのギャップ
一方で、初心者向けの優しい設計、広大なフィールド、新アクション、映画的な演出や高品質なビジュアルは高く評価されています。しかし、これらのポジティブな面と上述の問題点とのギャップが、全体として「賛否両論」の評価につながっています。
REエンジンへの移行とオープンワールド化の影響
「モンスターハンターワイルズ」では、従来のMT Frameworkに代わり、カプコン独自のREエンジンが採用されています。REエンジンは、「バイオハザード」シリーズなどで高いグラフィック品質と安定したパフォーマンスを発揮しており、その実績は評価されています。しかし、このエンジンはリニアなステージ構成向けに最適化されているため、広大なオープンワールド環境への完全な適応には課題が残るとされています。昨年発売された「Dragon’s Dogma 2」でも、同エンジン採用ながらパフォーマンス面で厳しい評価が出た例があり、本作においても動的なオープンワールドでの性能改善が今後の課題となっています。また、現在計画中の「Codename REX」によるエンジンアップグレードでは、オープンワールドゲームにおける経験が活かされる取り組みが期待されています。
ゲームデザインへの評価と今後の展望
ゲームメディアや評論家からは、モンスターのデザインやフィールドの環境表現について高い評価が寄せられています。シリーズならではの壮大な狩猟体験は健在ですが、一部では、コアな体験がやや薄れているとの指摘も見受けられます。
著名なゲーム評論家であるジェズ・コーデン氏は、本作について以下のような見解を示しています:「新モンスターの迫力やフィールドデザインは素晴らしいが、バランス調整が不十分なため、前作ほどの長期的なプレイヤー定着は難しいかもしれない。一方、新規プレイヤー向けの緩やかな学習曲線が評価される可能性がある」。コーデン氏の意見は、業界内で高く評価されており、本作の今後の展開を予測する上で重要な視点を提供しています。
カプコンの対応と今後の展開
カプコンは、今後のアップデートによりパフォーマンス改善とコンテンツ追加を進める方針です。前作「モンスターハンター ワールド」では、大型拡張コンテンツ「アイスボーン」により、ゲーム内容が大幅に強化され、プレイヤーの定着に成功しました。同様の戦略が「モンスターハンターワイルズ」でも採用される可能性が高く、今後の有料拡張やアップデートが、作品の長期的な成功を左右する重要な要素となります。
まとめ
「モンスターハンターワイルズ」は、Steam上で約138万人の同時接続を記録するなど、シリーズ史上最大級のスタートダッシュを達成しました。しかし、PC版の最適化不足、技術的トラブル、そして新規プレイヤー向けの調整による熟練者の不満といった課題も浮き彫りになっています。カプコンが迅速かつ継続的なアップデートでこれらの問題を解決することが、シリーズの今後の成功とPCゲーム市場における地位の確立にとって鍵となるでしょう。

情報元:WindowScentral