Naughty Dog新作「Intergalactic: The Heretic Prophet」で主演を務めるタティ・ギャブリル氏。彼女がスタジオ代表ニール・ドラックマン氏から、過去作の教訓を踏まえた「メンタルトレーニング」を受けていることが明らかに。自身もすでにヘイトコメントに直面する中、新作のテーマ「信仰」を語る彼女の姿勢に注目が集まりました。
Naughty Dogが手掛ける新作SFプロジェクト
ソニー・インタラクティブエンタテインメント傘下のNaughty Dogは、「The Last of Us」シリーズで知られるストーリー重視のゲーム開発スタジオです。現在、PlayStation 5向けSFゲーム「Intergalactic: The Heretic Prophet」を開発中。この新作で主演を務めるタティ・ギャブリルが、スタジオ代表ニール・ドラックマンから、オンライン上の批判に備える「メンタルトレーニング」指導を受けていることが明らかになりました。
タティ・ギャブリル、初のビデオゲーム主演
タティ・ギャブリル氏は、PS5向けに開発中の「Intergalactic: The Heretic Prophet」で賞金稼ぎのJordan A Munを演じます。彼女はPlayStationの映画「アンチャーテッド」や、ドラマ「The Last of Us」でノラ役を演じるなど、ビデオゲームに近い作品への出演経験はあるものの、ビデオゲームで主役を演じるのは今回が初めてです。
この新たな挑戦に備え、ギャブリル氏はドラックマン氏からメンタルトレーニングを受けていると語りました。
「ニールはメンタルトレーニングを通じて、トロイ・ベイカー（ジョエル役）やアシュレー・ジョンソン（エリー役）の経験を共有してくれた」とギャブリル氏は明かしています。
続けて彼女は、「ローラ・ベイリー氏の件も知っています」。ベイリー氏は「The Last of Us Part 2」でアビー役を演じ、激しいオンライン上の攻撃に晒されました。
過去の壮絶な教訓を活かした対策
「The Last of Us Part 2」では、発売前にベイリー氏演じるアビーが主要キャラクターであるジョエルを殺害するという情報がリークされ、その結果、彼女は深刻なオンライン攻撃の標的となりました。2023年2月に公開されたドキュメンタリー「Grounded 2: Making The Last of Us Part 2」の中で、ベイリー氏は「オンラインに行くたびに、それ（殺害予告や暴力的な脅迫）ばかりが目に入りました」と当時の壮絶な状況を振り返っています。
自身も直面するオンライン上のヘイト
残念ながら、ギャブリル氏も「Intergalactic」への主演が発表されて以来、すでに同様のオンライン上のヘイト（憎悪）に直面していると告白しています。女性であること、有色人種の女性であること、頭を剃っていることなどを理由とした、女性嫌悪的かつ人種差別的なコメントが寄せられているとのことです。
「たくさんの愛のある応援メッセージをいただく一方で、私が女性であること、有色人種の女性であること、髪型など、多くのヘイトコメントもありました。実は、そうしたコメントの存在に当初は気づいていなかったのです。そういった理由から、私はソーシャルメディアの流行からは距離を置いているのですが…」とギャブリル氏は語ります。「でも、そうした状況を知ったニールは、『（そうした声は）無視しなさい。何があっても、私と君で、私たちが誇れる美しいものを作るんだ』と励ましてくれました」。
新作の主要テーマは「信仰」
ギャブリル氏は、「Intergalactic」の主要なテーマが「信仰」であることにも触れています。ドラックマン氏は今年3月、本作が架空の宗教を扱い、それがゲーム内のオルタナティブヒストリー（もう一つの歴史）において「かなり重要な役割を果たす」と説明していました。
「信仰という問題は、単純に白黒つけられるものではありません」とギャブリル氏は述べます。「信仰と聞くと、まず宗教を思い浮かべるかもしれませんが、それは一部に過ぎません。自分自身への信頼、自分の置かれた環境やコミュニティへの信頼も含まれます。信仰が問うているのは、『あなたの信念は何ですか？』ということに尽きるのです」。
さらに彼女は、「『信仰』という言葉は美しく聞こえるかもしれませんが、私たちは皆、日々それを経験しています。あなたが朝起きる理由は何でしょうか？」と問いかけ、作品が探求するテーマの深さを示唆しています。
Naughty Dogの今後の取り組み
「Intergalactic: The Heretic Prophet」はPlayStation 5向けに開発が進行中です。ドラックマン氏は昨年、Naughty Dogが複数のシングルプレイヤーゲームを含む、複数のプロジェクトを進行中であることを認めており、本作はその中の一つとなります。
主演女優への事前の指導という形でオンラインハラスメント対策に取り組むNaughty Dogの姿勢は、ゲーム開発者をオンライン上の攻撃から守るという観点からも注目されます。クリエイターが安心してその才能を最大限に発揮できる環境づくりは、ゲーム業界全体の重要な課題と言えるでしょう。
情報元：Eurogamer
