PR

「MARATHON」アートワーク盗用問題 ─ Bungieが謝罪と徹底調査を表明

News

Bungieが開発中の新作FPS「Marathon」でアート盗用問題が発生し、公式に謝罪しました。スコットランドのアーティスト作品が無断使用されたことを受け、同社はゲームプレイ映像の公開を中止し、全アート素材の調査と再発防止策を進めています。この問題は元スタッフによるものと説明され、被害アーティストへの適切な対応を約束しています。

「Marathon」アート盗用問題を認め謝罪

大手ゲーム開発会社Bungieは、開発中の期待の新作FPS「Marathon」において、外部アーティストの作品が無断で使用されていた事実を認め、公式に謝罪しました。この問題を受け、同社は最新のライブストリームで予定していたゲームプレイ映像の公開を急遽中止し、アート素材の全面的な見直しと再発防止策の徹底を行うと発表しました。

アーティストの告発とBungieの対応

問題が表面化したのは、スコットランドを拠点に活動するアーティスト、Fern ‘4nt1r34l’ Hook氏が、自身の過去の作品が「Marathon」のアルファ版に無断で使用されていると指摘したことがきっかけでした。この告発に対し、Bungieは調査を行い、Hook氏の主張が正確であることを確認。同社は、過去に在籍していた元スタッフ一名が、許可なくHook氏のアートワークをプロジェクトに流用したことが原因であると説明しました。

Fern ‘4nt1r34l’ Hook氏の投稿

問題発覚後、金曜日に実施された週次の「Marathon」ライブストリームでは、Bungieはまず、現在進行中のアートワークに関する調査のため、この日のゲームプレイ映像の公開を見送ることを発表しました。続いて、ライブストリームの中で「Marathon」のアートディレクターであるJoseph Cross氏が登壇し、事態の経緯説明と謝罪、今後の対応について詳細を語りました。

Bungieの公式見解と今後の取り組み

ライブストリームでの発言として、Cross氏は次のように説明しました。「『Marathon』の初期プリプロダクション段階で関与したアーティストが、グラフィックデザイナーからの複数のグラフィック要素を、許可もクレジット表記もないまま取得し、2020年にデカールシートに含めて登録したことが判明しました。そのデカールシートにはアイコンやテキスト要素が含まれており、それらが結果的にゲームのアルファ版に組み込まれてしまいました。この見落としについて弁解の余地は一切ありません。このような事態がBungieで二度と発生しないよう、レビュープロセスを徹底し、100%のコミットメントをもって取り組んでいます。」

Bungieは過去24時間以内にFern Hook氏に連絡を取り、謝罪するとともに、「彼女に対して正当な対応を行う」ことを約束したとCross氏は説明しましたが、具体的な対応内容については現時点では明らかにされていません。同社は現在、問題を引き起こした元スタッフが手がけた全ての作業内容を監査しており、「疑わしい、あるいは不適切に調達された」と判断されるものは全て削除する方針です。

Cross氏はまた、本プロジェクトには社内外から何百人ものアーティストが長年携わっており、モダニズム、2000年代スタイルのベクターアート、サイバーパンク、そしてオリジナルの「Marathon」三部作など、多くの影響を受けて開発が進められていると述べました。「我々のスタイルはこれら全てのインスピレーションの結果であり、ブランディングやビジュアルデザインに関わった外部パートナーが、今回の件に関与していないことは特筆すべき点です」と、他の関係者の潔白を強調しました。

さらにCross氏は、「個人として独立して活動するアーティストたちへの深い敬意と賞賛の気持ちを持っています。我々は多くの独立アーティストと仕事をしてきました。それは私の仕事の中で最も好きな部分の一つであり、そのようなつながりを作り、コンテンツを創造し、協力することです」と述べています。そして「この件でアートが使用された4nt1r34lに個人的な謝罪を送りたいと思います。この状況がどれほど不公平に感じられるか理解しており、私たちはこれを正すためにできる限りのことをしています。彼女の作品は素晴らしく、我々が特定のグラフィックデザインのジャンルに対して共通の評価を抱いていることは明らかです。そのスタイルを全般的に我々のスタイルに取り入れられることを嬉しく思っています」と、Hook氏の才能を称賛しました。

今後の発売の見通し

「Marathon」は、PlayStation 5、Xbox Series X/S、PC向けにリリースが予定されています。日本での発売日は2025年9月24日(水)が予定されています。Bungieは本作が「プレミアム製品(有料製品)」となることを確認していますが、同社はまだ価格を発表していません。今回の問題が開発スケジュールや製品内容にどのような影響を与えるかについては、現時点では明らかにされていません。

繰り返される著作権関連の問題

Bungieでは、過去にも著作権に関連する問題が指摘されています。過去4年間で、今回を含めて4回の類似事案が報じられているとされています。過去には「Destiny」シリーズにおいて、ファンアーティストの作品をゲーム内アイテムや公式グッズに無断使用したとして批判を受けた事例があります。これらの事例では主に外部委託業者の責任とされていましたが、今回はBungie内部(「元Bungieアーティスト」)関係者の関与が示唆されており、より深刻な問題として受け止められています。

具体的な過去の事例としては、2023年に「Destiny 2」のカットシーンでファンアートが「誤って」使用された件や、2024年に「Destiny 2」がSF小説家の作品から主要な要素を無断で借用したとして訴えられた件が挙げられます。これらの事例では、Bungieは最終的に謝罪し、補償やクレジット表記を行っていますが、こうした問題が繰り返されることで、社内の倫理観や管理体制に対する疑問が強まっています。

ゲーム業界におけるコンプライアンスの課題

今回のBungieの事例は、ゲーム開発の現場、特に大規模プロジェクトにおけるアセット管理の難しさと、知的財産権の取り扱いに関するコンプライアンス体制の重要性を浮き彫りにしています。多数のクリエイターが関与し、膨大な数のアートアセットが生成・利用される現代のゲーム開発においては、一つ一つの素材の出所や権利関係を正確に把握し管理することが不可欠です。

「インスピレーション」と「盗用」の境界線は時に曖昧になりがちですが、本件は明確な無断使用であり、企業としてのチェック体制の不備が指摘される事態となりました。Bungieが元スタッフ個人の問題として原因を特定したものの、企業として最終的な責任を負い、情報開示と謝罪、具体的な対策を示したことは注目されます。

ゲーム業界全体にとって、本件は他山の石とすべき事例かもしれません。開発プロセスのいかなる段階においても、著作権を含む知的財産への意識を高く持ち、アーティストの権利と創造性を尊重する企業文化の醸成、そしてそれを担保する管理体制の構築が、今後ますます求められるでしょう。今後、被害アーティストとの間でどのような合意が形成されるか、その具体的な内容が注目されます。

情報元:VGC

タイトルとURLをコピーしました