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CDPR、UE5技術デモを公開 ― 「ウィッチャー4」本編ではないと強調

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CD Projekt REDがUnreal Engine 5を使用した最新技術デモを公開。これは「ウィッチャー4」本編のゲームプレイではなく、次世代オープンワールド開発に向けた先進技術のショーケースだと強調。PS5実機での60fps・レイトレーシング有効動作と新エンジン技術が注目を集めています。

「ウィッチャー3」が2015年の発売から9周年を迎える中、CD Projekt RED(以下、CDPR)は、フロリダ州オーランドで開かれたUnreal Fest 2025内の「State of Unreal」プレゼンテーションに登壇し、「ウィッチャー」ファンが注目するデモンストレーションを披露しました。

このデモ映像は、待望の「ウィッチャー4」に関連するものと期待されましたが、CDPR側は「ウィッチャー4」本編のゲームプレイではなく、あくまで技術デモンストレーションであると明確にしています。公開された映像にはライブデモの要素も含まれていましたが、CDPRの広報担当者はVideoGamesChronicle(VGC)に対し、これが実際のゲームプレイではないことを改めて説明しました。

技術デモの位置づけと目的

CDPRによると、公開された映像はあくまで技術デモです。「ウィッチャー4」を支える最先端技術を初めて披露するものではありますが、ゲーム本編そのものではありません。同社は次のように説明しています。

「これは、Epic Gamesとの緊密な連携のもとで構築している、オープンワールドデザインをかつてないレベルに押し上げるための強力な基盤と、Unreal Engine 5を使用して開発中のコアシステムおよび機能を紹介するものです。この初期のマイルストーンを非常に誇りに思っており、UAF、Nanite Foliage、Smart Objects、ML Deformer、FastGeo Streamingといった、『ウィッチャー』の未来を形作る技術の一部をお見せできることを嬉しく思います。」

CDPRは「ウィッチャー4」の開発に着手したことは公表していますが、具体的な発売時期は明言していません。そのため、今回の発表が技術デモに留まったことは、特に驚くには当たらないでしょう。業界アナリストやメディアからは、完成までには今後数年を要するとの見方が強く、実際のゲームプレイ映像が公開されるのはまだ先のことになりそうです。

Unreal Engine 5への移行と技術的成果

ポーランドの開発会社CDPRは、2022年3月に自社開発のRED EngineからUnreal Engine 5への移行を発表しました。RED Engineは、「ウィッチャー2」以降の同社作品や「サイバーパンク2077」で使用されてきたゲームエンジンです。この新エンジンへの移行は大きな決断でしたが、CDPRは当初より、この移行が他の開発者にとってもオープンワールドゲーム開発の経験向上に貢献するとの考えを示してきました。

先日公開された映像は非常に印象的で、特にPlayStation 5の標準機において、60フレーム/秒かつレイトレーシングを有効にした状態でデモが動作した点は注目に値します。レイトレーシングは、光の反射や屈折をリアルタイムで計算する負荷の高い技術ですが、これを標準PS5上で60fpsで実現したことは、顕著な技術的進歩と言えるでしょう。

これは、最新ゲームエンジンが次世代機で発揮する驚異的なグラフィック性能を示すものであり、一般のゲーマーにとっても視覚体験の向上が期待できます。つまり、将来のゲームでは、より滑らかな映像とリアルな光の表現が楽しめるようになる可能性を示唆しています。

キャラクターモデルに関する説明

一部のファンからは、今回の映像に登場したキャラクター「シリ」の容姿が、2024年のThe Game Awardsで公開されたトレーラーと比べて異なって見えるという指摘がありました。これに対し、CDPRの広報担当者はKotakuに次のように回答しています。

「2024年のトレーラーで使用されたものと同じキャラクターモデルです。シリの顔は「ウィッチャー3」のモデルを基に、最新のMetaHuman技術へ対応させたものです。アニメーションの質を高めるため、眉をわずかに上げ、目の周りをよりリラックスした表現にするという2点の微調整を行いました。ただし、後者(目の周りの表現)はトレーラー公開時にはありましたが、その後削除されています。」

MetaHuman技術とは、Epic Gamesが開発した、高品質な人物キャラクターを効率的に作成するためのツールです。リアルタイムでの細やかな表情アニメーションや、微妙な感情変化の表現力に長けており、ゲーム内キャラクターの感情表現を格段に向上させることができます。CDPRは、この技術を活用して「ウィッチャー3」で親しまれたシリのモデルを、新世代のゲーム表現に合わせて進化させているのです。

Unreal Engine 5.6の発表

「State of Unreal」プレゼンテーションでは、Epic GamesからもUnreal Engine 5.6の一般提供開始が発表されました。この最新バージョンは2025年6月3日より公式サイトからダウンロード可能で、開発者向けに多くの機能が強化されています。

新バージョンでは、特に大規模オープンワールドにおけるパフォーマンス向上に注力しており、現行世代のコンソールや最新PC、高性能なモバイルデバイスにおいても、60fpsで動作する高品質なオープンワールドの構築を支援します。また、エンジン内でのアニメーション制作機能やMetaHumanの直接編集機能なども追加され、開発ワークフローの効率化が図られています。

CDPRが公開した技術デモは、「ウィッチャー4」の具体的な内容を明らかにするものではありませんでしたが、同社がオープンワールド技術の限界を押し広げるべく、着実に開発を進めていることを示すものとなりました。これはファンにとって期待をさらに高める内容であり、Unreal Engine 5の可能性を実証する重要な事例と言えるでしょう。

情報元:wccftech

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