
「龍が如く」シリーズで人気のRGG Studioが、新作の正式名称を「Stranger Than Heaven」と発表。Summer Game Festで公開の新トレーラーでは、1915年と1943年という前回とは異なる時代が描かれ、物語の謎が一層深まる。シリーズDNAを受け継ぎ進化した戦闘システム、プレイヤーに判断を迫る選択肢など新要素も明らかに。
RGG Studioの完全新作がベールを脱ぐ
「龍が如く8」などのヒット作を連発する「龍が如くスタジオ(RGG Studio)」は、世界最大級のゲームイベント「Summer Game Fest 2025」にて、開発中の新作タイトルを「Stranger Than Heaven」として正式発表しました。仮称「Project Century」として知られていた本作は、新トレーラーの公開と共に、そのミステリアスな世界観の一端を明らかにしました。
2つの時代が交錯する謎に満ちた物語
今回公開されたトレーラーで最も注目すべきは、その時代設定です。昨年12月のThe Game Awards 2024で公開された初報映像では1915年(大正4年)が舞台でしたが、今回の映像では全く異なる1943年(昭和18年)の日本が描かれました。映像は、ジャズの流れる夜の街に佇む主人公の姿から始まり、やがて激しい戦闘シーンへと移り変わります。
これら2つの時代が物語の中でどう繋がるのか、詳細は謎に包まれています。
サバイバル要素と道徳的選択システム
トレーラーでは「龍が如く」シリーズで培われたアクションバトルの進化形と思われる戦闘シーンに加え、これまでのRGGスタジオ作品には見られなかった新要素も確認できます。
特筆すべきは以下のゲームプレイ要素です:
- 道徳的選択システム:倒した敵に対して「Show him mercy(見逃す)」か「Show him no mercy(とどめを刺す)」かを時間制限付きで選択するUIが表示されます。トレーラーでは後者を選択し、短刀で敵を殺害するシーンが描かれていました。
- サバイバル要素:画面上部には「Hunger(空腹)」「Thirst(喉の渇き)」を示すメーターが表示されており、主人公の生存状態を管理する要素が導入されています。
- 環境ギミック:「Hand Rolled Cigarette(手巻きタバコ)」使用時には「Draws immense hostility while smoking(喫煙中は強い敵意を引き寄せる)」という効果が発動します。これにより、戦略的なプレイが要求されることが示唆されています。
謎多きトレーラーから読み解く考察
特にファンの間で議論を呼んでいるのが、トレーラー内の短い会話シーンです。
男A: 名前は?
男B: 大東・マコ
男A: 大東……日本人か
男B: そう見えるか?
男A: 違うのか? なら何人だ
男B: さあな 俺が知りてぇよ
この不可解な会話や時代描写から、様々な考察が生まれています。以下は現時点での主な推測です:
1943年の描写:史実との相違点
1943年(昭和18年)の日本は太平洋戦争の真っ只中であり、トレーラーで描かれたような賑わう繁華街や娯楽施設は史実とは大きく異なります。この点から、以下のような可能性が考えられます:
- パラレルワールド設定:史実とは異なる歴史を辿った「もう一つの日本」を描いている可能性があります。『龍が如く』シリーズでも架空の街「神室町」が登場するように、本作でも「蒼天堀」という架空の街が舞台になると見られます。
- 特殊区域の存在:戦時下でも政府の統制が及ばない特殊な区域(非合法な歓楽街など)が存在し、そこが主な舞台になるのかもしれません。
- 物語的表現:戦時中の息苦しさと庶民の生活を対比するための芸術的表現である可能性も考えられます。
主人公「大東マコ」の謎
「大東マコ」と名乗る主人公のアイデンティティも大きな謎です。
- 複雑な出自:青い瞳を持つ彼の外見と「何人だ」という問いへの曖昧な返答から、彼が日本人と外国人のハーフまたはクォーターである可能性が示唆されています。自身の出自に悩む姿は、本作の中心テーマの一つになると予想されます。
- 姓名の意味:「大東」という姓と片仮名「マコ」の組み合わせも彼の複雑なバックグラウンドを象徴しています。
「龍が如く」シリーズとの関連性
公式情報では明言されていませんが、以下のような関連性が推測されています:
- 世界観の共有:トレーラーに映る川や橋の風景は、「龍が如く」シリーズでおなじみの歓楽街「蒼天堀」(大阪がモデル)を彷彿とさせ、両作品の世界観が共有されている可能性を匂わせています。
- 「大東」と「東城会」の関連:「龍が如く」シリーズに登場する暴力団「東城会」(初代会長:東城真)と「大東」という姓に関連があるのではないかという考察もあります。ただしこれは推測の域を出ません。
タイトル「Stranger Than Heaven」が示すもの
本作のテーマについても考察が深まっています。
- 「Project Century」からの示唆:仮称「Project Century」(世紀のプロジェクト)は、大正と昭和だけでなく、複数の世紀にまたがる壮大な物語を示唆していたのかもしれません。
- 「Stranger Than Heaven」の意味:直訳は「天国よりも奇妙な」。また「Stranger」には「よそ者」という意味もあり、自身のアイデンティティに悩む主人公や、その時代における彼の異質さを示している可能性があります。
期待高まる新作
多くの情報が公開された一方で、「Stranger Than Heaven」の具体的な発売時期や対応プラットフォームは明らかにされていません。開発は順調と推測されますが、プレイヤーがこの魅力的な世界を体験できるのは、もうしばらく先になりそうです。
謎に包まれたストーリー、複数の時代を横断する物語構成、進化したアクション要素と道徳的選択を迫る新システム。さらに業界屈指の実力を持つ開発スタジオが手掛ける本作は、発表から既に大きな注目を集めています。
情報元:wccftech