
スクウェア・エニックスのRPG「ファイナルファンタジー16」Xbox版が、PS5版に比べて画質が低いと話題です。技術的な分析によると、パフォーマンスモードでは最大55%もの解像度差があることが判明しました。なぜこのような差が生まれたのでしょうか?実は画質と引き換えに、フレームレートの安定性ではXbox版が優れているという側面も。
「ファイナルファンタジー16」Xbox版が突如リリース
2023年にPlayStation 5独占タイトルとしてリリースされたスクウェア・エニックスの人気アクションRPG「ファイナルファンタジー16」。クリスタルの加護が失われゆく大地ヴァリスゼアを舞台に、召喚獣の力を宿す「ドミナント」クライヴ・ロズフィールドの復讐劇を描く本作は、高い評価を獲得しました。
MetacriticにおけるPS5版のスコアは88点と、批評家から高く評価されています。ユーザーからも、ストーリー、演出、アクション、音楽などを賞賛する声が多数寄せられています。
そのXbox Series X/S版が、2025年6月9日に突如として発表・発売されました。これにより多くのユーザーが本作を体験できるようになった一方で、PS5版との間に無視できない技術的な差異があることが、発売直後の技術分析で明らかになっています。
技術分析で明らかになった画質差
海外の技術分析サイトDigital Foundryをはじめとする複数のメディアが実施した詳細な検証により、Xbox Series X版とPS5版の間には明確な画質差が存在することが判明しました。
品質モード(Graphics Mode)の比較:
- PS5版:約1440p(3,686,400ピクセル)で描画
- Xbox Series X版:約1224p(2,663,424ピクセル)で描画
- 差異:約28%の画質差
- 検証画像[Screenshots]

パフォーマンスモード(Frame Rate Mode)の比較:
- PS5版:1080p(2,073,600ピクセル)で描画
- Xbox Series X版:720p(921,600ピクセル)まで低下
- 差異:最大55%の画質差
- 検証画像[Screenshots]

この解像度の差は、オブジェクトの輪郭のギザギザ(エイリアシング)や、草木・影の描画品質の低下として視覚的に確認できます。両バージョンとも時間的アンチエイリアシング(TAA)とAMDのFSR1アップスケーリングを使用していますが、Xbox版では一貫して低い解像度での描画となっています。
パフォーマンス面での特徴
興味深いことに、Xbox Series X版は画質を犠牲にする代わりに、パフォーマンスの安定性では優位性を示しています。
フレームレートの比較:
- Xbox Series X版パフォーマンスモード:戦闘・探索時に安定した60fps[Screenshots]
- PS5版パフォーマンスモード:探索時45-60fps、戦闘時により安定した60fps[Screenshots]
Digital Foundryの分析によると、Xbox版は戦闘中も探索中も一貫して60fpsを維持しており、フレームレートの安定性を重視したプレイヤーには魅力的な選択肢となる可能性があります。
移植品質に関する技術的考察
今回の画質差について、ハードウェア性能が原因ではないことは明らかです。Xbox Series XはPS5と同等のスペックを持つため、この差異は開発・移植プロセスに起因すると考えられます。
考えられる要因:
- 移植元の違い:PC版からの移植である可能性
- 最適化の優先順位:フレームレート安定性を画質より優先
- 開発リソース・時間の制約
Digital Foundryは、この移植を「奇妙なポート」と評価し、「重要な問題がある」と指摘しています。同時に、60fpsのパフォーマンスを重視するプレイヤーには検討に値するとも述べています。
マルチプラットフォーム戦略における課題
スクウェア・エニックスは、PS5独占だった「ファイナルファンタジー16」の販売本数について言及した経緯があり、PC・Xboxへのマルチプラットフォーム展開は販売機会拡大の自然な戦略です。
しかし、プラットフォーム拡大には各ハードウェアに最適化した丁寧な移植作業が不可欠です。技術的な品質差は、新規ユーザー獲得の機会を制限するだけでなく、ブランドイメージにも影響を与える可能性があります。
実際、PC版でも発売当初に最適化不足が指摘されており、今回のXbox版の問題は、同社のマルチプラットフォーム展開における技術的課題を浮き彫りにしています。
ユーザーへの影響と今後の展望
プレイヤーの選択基準:
- 画質重視:PS5版が明確に優位
- フレームレート重視:Xbox Series X版に利点あり
- コスト面:各プラットフォームでの価格・サービスを考慮
この技術的差異が、実際のゲーム体験にどの程度影響するかは、個々のプレイヤーの優先事項によって異なります。しかし、同一価格で提供される製品において、これほど明確な品質差が存在することは、消費者の期待と一致しない可能性があります。
今後のアップデートによる改善の可能性は残されており、スクウェア・エニックスの対応が注目されます。
まとめ
「ファイナルファンタジー16」Xbox Series X版は、PS5版と比較して最大55%の解像度差が確認されましたが、フレームレートの安定性では優位性を示しています。
この差異の原因がハードウェア性能ではなく移植・最適化プロセスにあることを考えると、技術的な改善の余地は十分に存在します。プレイヤーは自身の優先事項(画質 vs フレームレート)に基づいて選択することになりますが、同価格帯の製品として品質の均一性が期待される中、今後のサポート体制が重要になるでしょう。
情報元: tech4gamers