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ソニー、PSライブサービス戦略の苦戦を認める ─ Bungie統合で立て直しへ

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ソニーがPSライブサービス戦略の苦戦を公式に認めました。「Concord」の失敗、「Marathon」の延期を受け、戦略の見直しに着手しています。一方で「Helldivers 2」などの成功例もあり、事業の柱であることに変わりはありません。ガバナンス強化で失敗の連鎖を断ち切り、事業再構築へ向かうソニーの次の一手を解説します。

ソニーグループのCFO(最高財務責任者)である陶琳(タオ・リン)氏(以下タオ・リン氏)は、2024年8月7日の決算発表において、PlayStation事業のライブサービス戦略について「必ずしも順調に進んでいるわけではない」と述べ、現状の課題を率直に認めました。「Concord」の商業的失敗や「Marathon」の延期を受け、同社は戦略の大幅な見直しに着手しています。

野心的な12本計画から相次ぐ頓挫へ

発端は2022年、当時のPlayStation責任者であったジム・ライアン氏が発表した野心的な計画でした。2026年までに12本のライブサービスゲームをリリースするという大胆な方針転換により、多くの自社スタジオがシングルプレイヤー開発からライブサービス開発へとシフトしました。この戦略を支えるため、ソニーは「Destiny 2」で成功を収めていたBungieを36億ドル(当時レートで約4,100億円)で買収しました。

しかし、2023年にライアン氏が退任した後、戦略への疑問が次々と表面化しました。「The Last of Us」のマルチプレイヤー版、PlayStation Studios London Studioのプロジェクト、Insomniac Gamesの「Spider-Man」派生作品など、期待されていた複数のタイトルが開発中止となりました。

「Concord」の歴史的失敗が戦略に打撃

決定的な転機となったのは、2024年8月にリリースされた「Concord」の商業的失敗でした。業界関係者によりますと開発費は2億~4億ドルに達したとされますが、わずか2週間でサービス終了という前例のない結果となりました。続いてBungieの新作「Marathon」も無期限延期が発表され、ライブサービス戦略全体への懸念が業界に広がりました。

成功事例と現在の収益構造

一方で、タオ・リン氏はライブサービス事業の重要性も強調しています。「5年前、PlayStation Studiosにとってライブサービスゲームはほぼ存在しなかった」と振り返りつつ、現在では「Helldivers 2」、「MLB The Show」、「グランツーリスモ7」、「Destiny 2」の4タイトルが「安定的に売上と利益に貢献している」と説明しました。

特に「Helldivers 2」は全世界で1,200万本を売り上げ、PlayStation史上最速の販売記録を更新する大成功を収めています。直近の四半期では、ライブサービスゲームが自社製ソフトウェア収益の約40%を占め、通年では20~30%程度になる見込みです。

Bungieの独立性縮小と完全統合への道

今回の発表で最も注目すべき点は、Bungieの立ち位置の変化です。買収当初、ソニーはBungieに高度な独立性を保証していましたが、タオ・リン氏は「その独立性は軽くなってきている」と明言しました。BungieはPlayStation Studiosの一部としての役割を強め、長期的には完全統合される方向で進んでいます。

この統合加速は、「Marathon」の開発立て直しと、ソニーによるライブサービス戦略のガバナンス強化を目的としています。「Concord」のような失敗を繰り返さないため、同社はより直接的な開発管理体制を構築する方針です。

「Marathon」の今後と戦略の展望

延期された「Marathon」について、タオ・リン氏は「現在、問題点を修正している」とし、現会計年度内(2025年3月末まで)の発売を期待していると述べました。ただし、これは正式なコミットメントではないと慎重な姿勢も示しています。今秋にはBungieまたはPlayStationから新たな発表が予定されており、この時期が戦略の今後を占う重要な節目となる見込みです。

万が一「Marathon」がキャンセルされる場合には財務評価の大幅な見直しが必要になりますが、現時点ではそうした事態は想定していないとのことです。

まとめ

ソニーのライブサービス戦略は、大きな期待と共にスタートしましたが、現在は痛みを伴う軌道修正の段階にあります。同社は失敗を率直に認め、成功体験から学びながら、Bungieという強力な開発力を完全に自社管理下に置くことで、この困難な変革期を乗り越えようとしています。

タオ・リン氏は「多くの課題があることは認識しています。失敗から教訓を学び、より効率的にコンテンツを展開していきます」と今後への決意を示しました。PlayStation事業の今後の方向性は、業界全体が注目しています。

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情報元:VGC

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