
ネクソンが新作「Woochi the Wayfarer」を発表。UE5による美麗な朝鮮時代を舞台に、韓国の古典小説を基にした重厚なストーリーと爽快なアクションが楽しめるシングルプレイアドベンチャー作品。さらに「パラサイト」「イカゲーム」の音楽監督による楽曲が、その世界を彩ります。
ネクソンが創造する「朝鮮ファンタジー」
2025年8月、Nexon Games(以下 ネクソン)は傘下の開発スタジオLoreVaultが手掛ける新作アクションアドベンチャー「Woochi the Wayfarer」を発表しました。
本作は、韓国の古典小説「田禹治伝(チョン・ウチでん)」を原案に、韓国に実在したとされる人物 チョン・ウチ(Jeon Woochi)の冒険を描くシングルプレイ作品です。物語の舞台は朝鮮時代で、チョン・ウチは超人的な術を使い、悪と戦いながら腐敗した権力に立ち向かいます。彼は機知に富み、変身や分身の術、気功波などの超能力を駆使して、正義を貫く英雄として知られています。
アートディレクターが「朝鮮ファンタジー」と称する本作の世界観は、史実に基づく朝鮮時代に、韓国神話の存在を融合させているのが特徴です。
- トッケビ(韓国の妖怪)
日本の「鬼」とは異なり、韓国の民間伝承に登場する神秘的な妖精・妖怪です。悪戯好きながらも時に助けてくれる存在として描かれ、伝統的な朝鮮の物語や芸能に深く根ざしています。 - クミホ(九尾の狐)
変身能力を持つ狐の妖怪で、人間を惑わす存在として知られています。多くの物語で人間の姿に化け、複雑な感情や欲望を持つキャラクターとして描かれています。
また、原作小説に開発チーム独自の解釈を加えることで、従来の映画やドラマとは一線を画す新たなウチ像を構築。笠(カッ)や韓服(ハンボク)といった伝統衣装にファンタジー要素を織り交ぜた、独創的なキャラクターデザインも魅力の一つです。
美麗なグラフィックと心に残る音楽
公開されたティザートレーラーでは、Unreal Engine 5によって描かれるフォトリアルで高品質なグラフィックを確認できます。開発チームは朝鮮時代の風景をリアルに再現するため、韓国各地の文化遺跡を訪れて3Dスキャン技術などを駆使した現地調査を実施。さらに、MetaHumanを基盤とした技術で、キャラクターの表情や質感を追求しています。
アートディレクターのモク氏は、開発の利点として「生活様式や建築など、豊富な参考資料が身近にあること」を挙げる一方、神話上の生物のデザインには苦労も多いと語ります。しかし同時に、「私たち独自の解釈で生命を吹き込める」と、創造的な挑戦への意欲も見せています。
音楽は、映画「パラサイト 半地下の家族」やドラマ「イカゲーム」で世界的に評価の高いチョン・ジェイル氏が担当。韓国の伝統音楽から着想を得た、情緒的で彩り豊かな楽曲がゲームへの没入感を深めます。ティザートレーラーの全シーンは実際のゲーム内アセットで制作されており、本編の雰囲気とクオリティを忠実に伝えています。
歴史と創造性が生む「明るく、温かい」世界観
本作の開発では、史実の正確性とゲームならではの創造性を両立させることが課題となっています。ディレクターのカン・ドンヨン氏は、「朝鮮時代は実在した時代であるため、責任を持って描く必要があります。一方で、ゲームには想像力が不可欠です。何を忠実に描き、何を再解釈すべきか、常に議論を重ねています」と語ります。
また、ティザートレーラーが持つ重厚な雰囲気とは対照的に、ゲーム本編は「明るく、カラフルで温かい」世界観を目指しているとのこと。この鮮やかな色彩と親しみやすい雰囲気は、他の東アジア系ファンタジー作品との差別化を意図したものです。
カン氏は本作がストーリー主導のシングルプレイゲームであることを強調し、「プレイヤーがエンディングを迎えた時、心に長く残る感動を届けたい」と締めくくりました。
世界へ挑む「朝鮮ファンタジー」
「Woochi the Wayfarer」は、韓国の豊かな文化と歴史を土台とし、世界中のプレイヤーが共感できる普遍的な物語を目指しています。タイトルが英語であることも、世界市場を意識した戦略の一つです。Nexon Gamesのパク・ヨンヒョンCEOは、「あらゆる文化のゲーマーにアピールし、私たちの開発力を示す素晴らしいストーリーを届けたい」と自信をのぞかせています。
リリース日は未定ですが、本作は韓国発の高品質なシングルプレイゲームとして、グローバル市場で大きな存在感を示すポテンシャルを秘めています。対応プラットフォームはPC(Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X|Sです。開発の進捗にあわせて情報は順次公開される予定で、今後の続報に期待が集まります。
情報元:GEMATSU