
「FF14」の吉田直樹プロデューサーが「ゲーマー視点では次世代機は不要」と発言し、注目を集めています。高価なハードへの懸念を示す一方、PS4サポートは技術的限界から終了が避けられないというジレンマにも言及。プレイヤーの課題と「FF14」の未来、その胸中が語られています。
「ファイナルファンタジーXIV(FF14)」のプロデューサー兼ディレクター、吉田直樹氏が、ドイツのゲームイベント「Gamescom 2025」での海外メディアインタビューで、プラットフォーム戦略の課題とゲーム業界の未来について語りました。PS4サポートの限界や次世代機への疑問を投げかけ、プレイヤー目線の姿勢が注目を集めています。この記事では、インタビューの要点と今後のFF14の展望を解説します。
PS4サポート、技術的限界が迫る
吉田氏は、PS4でのFF14サービスについて「可能な限り続けたい」としつつ、技術的限界が近づいていると明かしました。最大の課題は、PS4のOSが持つデータ容量の制限です。FF14はアップデートを重ねることでマップやキャラクターデータが増加し続け、この制限がゲームの拡張を妨げています。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)はこれまでFF14向けに特別な容量緩和措置を提供してきましたが、吉田氏によると、SIEから「技術の上限に達している」との通知があり、限界が近いとのこと。この問題は、PS4のシステム設計が長期的なデータ拡張に対応しきれていないためで、単なる容量不足を超えた構造的な課題です。
吉田氏は、仮にPS4サポート終了の決断をする場合、商業的理由ではなく技術的根拠をコミュニティに丁寧に説明すると約束。この透明性の高い対応は、長期運営タイトルに欠かせない姿勢として評価されています。
次世代機は「必要ない」? 吉田氏の問いかけ
次世代機(PS6や次世代Xbox)について、吉田氏は「開発者」と「ゲーマー」の二つの視点から語りました。
開発者視点では、新プラットフォームへの対応に前向きです。PS5やXbox Series Xは高性能で規格が標準化されており、移植作業が容易な点がメリット。開発コストが抑えられ、より多くのプレイヤーにFF14を届けられる可能性があります。
一方、ゲーマー視点では、「新しいハードは本当に必要か?」と疑問を呈しました。「現行のPS5やXbox Series X、Nintendo Switchの性能で十分満足しているプレイヤーが多い」と述べ、技術的必要性よりも業界の慣習が新ハード開発を後押ししているのではないかと指摘。この発言は、プレイヤーのニーズと業界の方向性のギャップを浮き彫りにしています。
さらに、新ハードの価格は高額で、世界的な経済情勢を考えると購入のハードルになり得ると懸念。プレイヤーの経済的負担を考慮し、FF14のような長期運営タイトルでは安定した環境でのコンテンツ提供が信頼関係の鍵だと強調しました。この姿勢は、ハードメーカーとプレイヤーのニーズが必ずしも一致しない現状への建設的な問題提起といえるでしょう。
この「開発者」と「ゲーマー」という二つの視点は、PS4サポートの問題と深くつながっています。技術的な理由でPS4のサポートが終われば、プレイヤーは新しいゲーム機に乗り換えるしかありません。しかし、それはプレイヤーにとって大きな負担になります。この二つの問題をどう両立させるか、難しいバランスが求められているのです。
今後のFF14の展開
インタビューでは、FF14の今後の展開についても具体的な発言がありました。これらの新コンテンツは、プラットフォームの制約を考慮しつつ、幅広いプレイヤーに楽しめる設計がなされています。
パッチ7.35では、新ディープダンジョン「Pilgrim’s Traverse」が登場。従来のディープダンジョンとは異なるアプローチで、ハードコアプレイヤーからカジュアル層まで楽しめる内容になっています。
パッチ7.5では、待望のリミテッドジョブ「ビーストマスター」が実装予定。専用のコンテンツも用意され、大規模な追加として注目されています。
ストーリー面では、「ドーン・トレイル」編の完結後、新たな舞台「第九の鏡像世界(Ninth Reflection)」へ進むことが示唆されています。パッチ7.4では物語の進行がゆったりですが、7.5で展開が加速するとのこと。また、2026年のファンフェスティバル開催に向けた準備も進行中です。
長期運営の未来と業界への示唆
吉田氏のインタビューは、PS4の技術的限界という現実と、次世代機への移行に慎重な姿勢を両立させる難しさを示しています。技術的制約を透明に説明しつつ、プレイヤーの経済的負担を考慮するアプローチは、長期運営タイトルにとって重要な指針です。
この姿勢は、業界全体への示唆にもつながります。技術の進歩は重要ですが、プレイヤーのニーズや経済状況との整合性を常に検討する必要があると、吉田氏は訴えます。FF14のプラットフォーム戦略は、安定性と革新性のバランスをどう取るかのモデルケースとなり得ます。
なお、現時点でPS4サポート終了の具体的な時期は明言されておらず、今後の正式な発表が待たれます。今後のFF14のプラットフォーム戦略とコンテンツ展開に注目が集まります。

情報元:feed4gamers