PR

元「Rez」開発者が魂を込めた「Twin Soul」 ─ Steam体験版が配信開始

News

「Rez」開発者、堀田昇氏はなぜ安定したキャリアを捨てインディーゲーム開発の道を選んだのか。「完璧ではないが、正直な作品」と語る氏の挑戦の裏には、命を救われた経験と、企業では叶わなかったクリエイターとしての渇望があった。日本の浮世絵と神話をリズムアクションで描く新作「Twin Soul」に込められた〝魂〟に迫る。

待望のSteam体験版を公開!

「スペースチャンネル5」「Rez」「ルミネス」など、日本のゲーム史に独創的な輝きを放つ作品群を手がけてきたアーティスト、堀田昇氏。長年共同設立者として率いてきたスタジオ「グランディング」を離れ、インディーゲームという新たな舞台で、自身の集大成となる新作「Twin Soul」を開発中です。この挑戦の成果が、待望のSteam体験版として2025年8月1日にリリースされました。

https://store.steampowered.com/app/3904670/Twin_Soul_Demo

輝かしい経歴と訪れた転機

堀田氏のゲーム業界でのキャリアは、1996年に始まりました。コナミでの経験を経て、セガが家庭用ゲーム機開発を手掛けていた2000年代初頭のスタジオ「ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ(UGA)」で本格的な活動をスタート。セガの家庭用ゲーム機事業撤退後も、その系譜を受け継ぐQエンターテインメント、そして自身が共同設立したグランディングで、数々のプロジェクトのアートディレクションを牽引してきました。

大病を越え、選んだ新たな道

転機となったのは、堀田氏が重篤な病に倒れたことでした。医療上の緊急事態により、深刻な移植手術が必要な状況に直面します。このとき、20年以上にわたって続けてきた献血への取り組みが、図らずも自身の命を救うことになったのです。

「20年以上前から献血を続けていましたが、まさかそれが後に自分の命を救うことになるとは思いもしませんでした」と堀田氏は当時を振り返ります。

この生死に関わる体験は、堀田氏の人生観を根本から変化させました。「この経験が実存的な危機をもたらし、100名を超える従業員を抱える企業経営の重責から身を引き、長年温めてきた個人的なプロジェクトの実現を決意しました」。グランディング退社後、堀田氏は少人数から成る自身の新スタジオ「コアエイト株式会社(CORE8株式会社)」を設立。会社が大きくなるにつれ、かつて抱いていた野心やアイデアのすべてを追求することが難しくなったという思いが、この決断に自然な流れをもたらしました。

浮世絵とリズムが宿す日本の魂

現在、わずか5名の小規模チームで開発される「Twin Soul」は、堀田氏の代表作である「Rez」を彷彿とさせるリズムアクションゲームです。プレイヤーは巨大な獣にまたがり、決められたルートを辿りながら、斬撃、弾き、ジャンプ、ダッシュ、射撃といった多彩なアクションを組み合わせて敵を倒していきます。

複数の敵をロックオンして一掃する感覚は、氏の作風を色濃く反映。堀田氏自身も「これらのゲームは私のアイデンティティそのもの」と語りますが、一方で、本作の真髄はそのビジュアルや世界観にあります。ゲームのグラフィックには、日本の伝統的な木版画「浮世絵」スタイルが全面的に採用されています。これは、堀田氏がキャリアの初期に伝統芸術の工房で技術を学んだ、原点回帰でもあります。

「これまで西洋文化のスタイルに挑戦してきましたが、どれだけ努力しても、私の心と魂は日本人です。日本で生まれ育った人間として、自国の古代神話をゲームで伝えたいと強く思いました」。

他作品への率直な想い

開発中に大きな刺激を受けた作品について、堀田氏は興味深いエピソードを明かしています。

「初めて『Sayonara Wild Hearts』を見た時、否定的な意味でショックを受けました」と笑いながら語る氏。「まさに私が夢見ていたタイプのゲームだったからです。最初はそれが映画であってほしいと願いましたが、ゲームでした。先を越されて嫉妬もしたけれど、本当に素晴らしい仕事でした」。

このような率直なクリエイター同士の思いこそが、「Twin Soul」への情熱を更に燃やす材料になりました。

アクションが音楽を奏でる戦闘体験

Steamで公開中の体験版では、その世界観とリズムへのこだわりに触れることができます。プレイヤーは主人公の1人「ジン」となり、荒ぶる狼騎兵や神話で語られる大狼に騎乗する首領「ギンジ」との激しい戦いへ挑むことになります。

特筆すべきは、本作の音楽体験を象徴する「トランスリズム」です。斬撃、ダッシュ、射撃など、プレイヤー・敵すべてのアクションがミニマルなBGMと同期し、唯一無二のリズムを生み出します。アクションごとに音が重なり合い、まるでRezのように攻撃や移動が音楽そのものに溶け込むことで、反復するサウンドがプレイヤーを深い没入へと誘い、神秘的かつ緊張感のある戦闘体験を実現しています。

二人の主人公、二つの視点が紡ぐ物語

「Twin Soul」のタイトルは、製品版で明かされる物語構造そのもの。体験版では主人公の「ジン」を操作しますが、2026年発売予定の製品版ではもう一人の主人公「シン」が登場し、プレイヤーは2人の異なる視点から壮大な神話世界を冒険します。

物語は、天と地がまだ分かたれていなかった時代に生まれた「太陽」と「月」にまつわる神話を基盤としています。太陽と月は交わり自らの子を生み、その子が地上で秩序を司ります。だが、その秩序が失われるたび、太陽と月は再び子をもうけようと大いなる「祀り(まつり)」をはじめ、2人の英雄がその舞台に立たされる…。これが「Twin Soul(ツインソウル)」が描く、二つの魂が交錯する壮大な神話です。プレイヤーは、異なる立場の二人の主人公として、壮絶な戦いと人間ドラマを体感しながら、物語の全貌を見届けることになります。

完璧より、正直な作品を

開発への想いについて堀田氏は「このゲームは私の愛と感情のすべてが詰まっています。完璧ではないかもしれませんが、正直な作品です」と語ります。大企業から離れ、自らのルーツと人生を投影させて創り上げる「Twin Soul」。それは、一人のベテランクリエイターがたどり着いた魂の表現そのものと言えるでしょう。

現在Steamにて体験版が配信中で、製品版は2026年にPC(Steam)向けにリリース予定。体験版で体感できる世界観やリズム体験はほんの序章に過ぎません。堀田氏は製品版でさらに深く複雑なゲームデザインを約束しており、その挑戦にゲーム業界は大きな期待を寄せています。

情報元:VGC
画像イメージ:Steam

タイトルとURLをコピーしました