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Xbox Game Passが大幅値上げ ― プラン刷新もユーザーから猛反発

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「Xbox Game Pass」が価格を大幅改定。最上位プラン「Ultimate」は日本で1,450円から2,750円へと約2倍に値上げされます。「Ubisoft+」や「Fortnite Crew」の追加などサービスは拡充されますが、この大幅値上げに海外では強い反発が起き、解約が殺到する事態も報じられています。

マイクロソフトは2025年10月1日、同社のゲームサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」において、大規模なプランの再編と価格改定を発表しました。今回の改定では、下位・中位プランのサービス内容が拡充される一方で、最上位プランである「Game Pass Ultimate」の価格が大幅に値上げされ、国内外のゲーム業界に大きな衝撃を与えています。

新プランと価格の変更点

今回の改定で、従来の「Game Pass Core」と「Game Pass Standard」は、それぞれ「Game Pass Essential」と「Game Pass Premium」に名称が変更されました。日本での価格は以下の通りです。

旧プラン旧価格(月額)新プラン新価格(月額)主な変更点
Game Pass Core842円Essential850円ライブラリが50本以上に倍増、PCゲームとクラウドゲーミングに対応
Game Pass Standard1,100円Premium1,300円ライブラリが200本以上に拡充、PCゲームとクラウドゲーミングに対応
Game Pass Ultimate1,450円Ultimate2,750円ライブラリが400本以上に拡充、Ubisoft+ ClassicsやFortnite Crewを追加

※ゲームライブラリ本数はグローバルでの数値であり、日本国内での提供本数は異なる場合があります。

米国ではEssentialが9.99ドル、Premiumが14.99ドルで据え置かれる一方、Ultimateは19.99ドルから29.99ドルへと50%の値上げとなります。日本の値上げは為替を考慮しても相対的に大きい設定です。

「Essential」と「Premium」は、値上げ幅を小幅に抑えつつ、これまで上位プラン限定だったPCゲームやクラウドゲーミングに対応するなど、サービス価値が大きく向上しました。「Premium」では『Hogwarts Legacy』や『Diablo IV』などの人気作に加え、マイクロソフトスタジオの新作(『Call of Duty』シリーズを除く)も発売から1年以内に提供されます。

一方で、最も大きな変更があったのは最上位の「Ultimate」プランで、価格は従来の1,450円から約2倍の2,750円へと大幅に引き上げられました。マイクロソフトは価格に見合う価値があるとして、年間75本以上の新作を発売日から遊べる「Day Oneリリース」(前年比50%増)、Ubisoftの人気作が楽しめる「Ubisoft+ Classics」、バトルパスなどが含まれる「Fortnite Crew」メンバーシップが付帯することを挙げています。

また、クラウドゲーミングの品質も向上し、対応ゲームでは1440p解像度でのストリーミングが可能になります。利用時の待機時間も、Ultimateプラン加入者は優先的にアクセスできます。

PC専用の「PC Game Pass」プランも、米国では月額990円から月額1,550円へと値上げされます。このプランは新作のDay Oneアクセスや一部のUbisoftタイトルには対応しますが、Fortnite Crewやクラウドゲーミングなどは含まれません。マイクロソフトには、PCゲーマーを各統合プランへ移行させたい狙いがあると見られます。

リワードプログラムの変更

Microsoft Rewardsプログラムも大幅に変更されます。これまで可能だったポイントによるGame Passサブスクリプションの直接購入は10月1日以降廃止され、今後は一度ギフトカードに交換してから購入する形になりました。

また、プランごとに年間で獲得できるポイントに上限が設けられ、Ultimateプランで最大100ドル相当(100,000ポイント)、Premiumで50ドル相当、Essentialで25ドル相当となります。

ゲームプレイでポイントが貯まる新システムは導入されますが、従来と比べて実質的な価値は低下したと指摘されています。

値上げの背景とMSの戦略

この大幅な値上げについて、マイクロソフトの担当者は「値上げは決して歓迎されないものであると理解していますが、その分の価値を追加することで決定を正当化しようとしています。軽率に行ったものではなく、ユーザーの声を反映し、求められる内容をより多く提供しようとしています」と説明。

Xbox部門は「Game Passへの過去最大の投資」を進めており、昨年だけで150以上のパートナーと契約を結んでいます。今回の値上げには、こうした拡充への投資を回収し、収益性を確保する狙いがあります。

Game Passの年間収益は約50億ドルに達し、マイクロソフト全体の売上も好調です。しかしこの記録的な収益をもってしても、今回の値上げはサービスの収益性が期待に届いていないことの表れだと見られています。業界では以前から、Game Passが小売販売に及ぼす影響や、単体での収益性について疑問視されてきました。

業界アナリストは「Fortnite Crew」の追加を、特定層を狙った戦略だと分析しています。「フォートナイト」に代表される基本プレイ無料の〝Games as a Service(GaaS) 〟は市場でプレイヤーの時間を占有する存在となっており、マイクロソフトはこのプレイヤー層をGame Passに取り込み、他のタイトルにも触れてもらうことを狙っています。その一環として、通常月額11.99ドルのFortnite Crewをパッケージに含め、「少しの追加料金で数百本のゲームにアクセスできる」と訴求しています。

ユーザーの反応と解約の動き

しかし、この戦略は従来の〝お得感〟を支持してきたユーザー層から強い反発を招いています。SNSなどでは「高すぎる」「カジュアルゲーマーには手が出せない」「年間360ドルは法外だ」といった批判が相次ぎました。

海外の掲示板Redditでは「この価格では払えない」「次は更新しない」といった声が多数上がっています。また「利益が出ていると発表した直後に大幅値上げは皮肉だ」との指摘や、「Fortniteなどに興味がない人向けの安価なプランを用意すべき」との意見もあります。

こうした不満は行動にも現れ、発表直後から解約が殺到。公式サイトが一時的に繋がりにくくなる事態となりました。アクセス集中が原因でしたが、一部では「解約を妨害しているのではないか」との憶測も出ています。

ハードウェア値上げとのダブルパンチ

米国市場ではXboxハードウェアの価格も同時期に大幅に上昇しました。関税の影響でXbox Series Xの最上位モデルは800ドルに達し、PlayStation 5 Proをも上回る水準となっています。

ソフトとハードの双方で価格が引き上げられた結果、Xboxエコシステム全体の参入障壁は大きく高まりました。Xbox Series Xはわずか6か月前と比べて150ドル以上値上がりしており、新規ユーザー獲得という点でマイクロソフトにとって厳しい状況となっています。

今後の展望とサービスへの影響

「ゲーム業界で最もお得なサービス」と評されてきたXbox Game Passは、今回の価格改定で大きな岐路に立たされました。最大の魅力であるDay Oneリリースが高額なUltimateプランに限定されたことで、ブランドイメージが変化する可能性があります。

一方、値上げ幅が抑えられ内容が拡充されたPremiumやEssentialへ、Ultimateからのダウングレードが増えると予想されます。実際にメディア関係者からもPC Game PassやPremiumプランへの移行を検討する声が出ています。

一部のアナリストは、Ultimateのみを大幅に値上げするのではなく、全プランに小幅な値上げを分散させる方がリスクが少なかったと指摘します。現在の戦略では熱心なファンを失う可能性が高く、仮に新規層を獲得できても効果が相殺される恐れがあります。サービスの根幹であったDay Oneリリースが実質的に高額化したことは、Game Passの強みを揺るがしています。

今後は、拡充されたサービス内容がユーザーに大幅値上げを納得させられるかが焦点です。特に、Xbox25周年を迎える2026年には「Halo」「Forza Horizon 6」「Fable」「Gears of War: E-Day」など大型タイトルの投入が噂されています。これらの作品が既存ユーザーの維持、新規獲得につながるかどうかが戦略の成否を左右するでしょう。

もし解約の波が止まらず事業への悪影響が明らかになれば、マイクロソフトが再度価格設定を見直す可能性もあります。

かつて〝庶民の味方〟と評されたGame Passは、誰もが気軽に最新作を楽しめる夢のサービスでした。しかし今回の改定で、その姿は〝富裕層の道楽〟へと変わり、多くのプレイヤーに失望と嘆きをもたらしています。値上げは戦略的判断と受け止められる一方で、最大の武器だった「お得さ」は色褪せ、魅力が霞んでしまった印象は拭えません。

情報元:XboxWireWindowsCentral

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