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「GTA6」開発元ロックスターに従業員解雇と組合潰し疑惑、労組と全面対立へ

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世界的な大ヒットが見込まれる「グランド・セフト・オートVI (GTA6)」開発元のロックスター・ゲームスは、イギリスとカナダのスタジオで30〜40名の従業員を解雇。英国独立労働者組合(IWGB)は、解雇された全員が組合活動に関与していたと主張し、これを「ゲーム業界史上、最も悪質な組合潰し」として強く非難しています。

「GTA6」開発に激震、労使対立が表面化

2026年5月26日の発売が予定され、ビデオゲーム史上最大級のローンチになると予測される「グランド・セフト・オートVI(GTA6)」。その開発元ロックスター・ゲームスで、従業員の大量解雇を巡り労働組合との対立が表面化しました。英国独立労働者組合(IWGB)はこれを「ゲーム業界史上、最も悪質な組合潰し」だと強く非難しており、業界全体に波紋が広がっています。

報道によると、ロックスター・ゲームスは2024年10月30日、イギリスとカナダの複数スタジオで勤務する30〜40名の従業員を解雇したと報じられています。IWGBは即座に声明を発表し、解雇された全員が組合員もしくは組合結成を目指す人物だったと主張しました。

IWGBのアレックス・マーシャル会長は「ロックスターはゲーム業界の歴史において最も露骨で冷酷な組合潰しを行った」と批判。さらに「従業員の生活と権利を軽視する態度は、ファンと業界全体への侮辱である」と述べました。

同組合の委員長Spring Mcparlin-Jones氏も「GTA VIは来年100億ドル以上を稼ぐと予想されています。これは『1年間で世界の飢餓を終わらせられる』規模です。この価値ある企業が労働者の権利を軽視する姿勢を見せることは、世界に対し『人よりも利益を優先する』という強烈なメッセージを発しています」と語りました。
(※発言内容はIWGB側の見解であり、数値的根拠は未公表)

IWGBは不当解雇が行われたとして、組合員の復職および法的対応を検討していると公表しました。

ロックスター側の反論「重大な不正行為が理由」

一方、ロックスター・ゲームスの親会社テイクツー・インタラクティブは、組合側の主張を全面的に否定しています。

同社広報責任者アラン・ルイス氏は複数メディアに「今回の解雇は重大な不正行為によるものであり、組合活動とは一切関係ない」とコメントしました。

さらに「当社はチームワーク、卓越性、優しさを重視する文化のもと、従業員に前向きな環境とキャリア機会を提供することを目指している」と述べました。

ただし、テイクツーは「不正行為」の具体的内容や解雇人数の詳細については明らかにしていません。両者の主張は対立したままであり、この食い違いは、今後の法的手続きで主要な争点となる可能性があります。

対立の背景:開発環境と業界の潮流

今回の騒動には、ロックスター特有の事情や近年の業界的潮流が関係しているとみられています。

同社は2022年に「GTA6」関連の情報漏洩を経験して以降、セキュリティ対策を大幅に強化しました。2024年初頭には週5日の出社義務化を導入しており、柔軟な働き方を求める一部従業員から反発の声が上がっていました。

また過去には長時間労働(いわゆる「クランチ」)が常態化していた時期もあり、同社は2019年以降、開発体制や勤務環境の改善を図ってきたと報じられています。しかし、「GTA6」の開発が延期となり、巨額の期待を背負う中で再びプレッシャーが高まっているとも伝えられます。

欧米では近年、アクティビジョン・ブリザードやZeniMaxなどで労働組合の結成が相次ぐなど、労働者の権利意識が高まっています。今回の件はその流れの中で象徴的な事例といえるでしょう。

労使対立がもたらす3つのリスク

  1. 開発スケジュールの遅延と品質低下
    経験豊富なスタッフが30〜40名離脱すれば開発体制への影響は避けられず、再編成には時間がかかります。結果として2026年5月の発売予定が再延期となるリスクが指摘されています。
  1. ブランドイメージの悪化と人材流出
    「組合潰し」という強い言葉が拡散すれば、企業イメージに悪影響を及ぼすことが懸念されます。クリエイターを尊重する姿勢を重視するユーザーも多く、不買や反発が起きるリスクがあるでしょう。
  1. 法的・財務的負担
    IWGBが法的措置を取る構えを見せており、訴訟となれば時間的・金銭的コストが発生します。敗訴した場合には、復職命令や賠償支払いを余儀なくされる可能性もあります。

今後の展望と業界への示唆

この労使対立が「GTA6」開発そのものやゲーム業界全体にどのような影響を及ぼすのかが注目されます。
英国では労働組合員に対する不当解雇は法律で禁じられており、今回の件も法的判断に委ねられる可能性があります。

世界中が注目する「GTA6」のリリースを前に、開発現場で起きた対立がもたらす教訓は、ゲーム産業全体の労働文化に一石を投じるはずです。

情報元:BloombergEurogamer

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