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名越稔洋新作「Gang of Dragon」、マ・ドンソク起用で「龍が如く」超えを狙う?

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The Game Awards 2025にて、名越稔洋率いる名越スタジオが処女作「Gang of Dragon」を発表。実在の歌舞伎町を舞台に、不殺の掟を排した本作は古巣セガへの挑戦状なのか?主演マ・ドンソクによるAAA級アクションの詳細や、世界ヒットを狙う名越稔洋氏の戦略的意義とは?

2025年12月11日(現地時間)、米国ロサンゼルスで開催された世界最大級のゲーム表彰式典「The Game Awards 2025」において、「龍が如く」シリーズの生みの親として知られる名越稔洋氏が率いる「名越スタジオ(Nagoshi Studio)」が、同スタジオ設立以来初となるタイトル「Gang of Dragon」を正式に発表しました。

1989年にセガへ入社し、32年間にわたるキャリアを築いた名越氏は、2021年に同社を退職。その後、2022年にNetEase Gamesとの提携により自らが代表を務める新会社・名越スタジオを設立。彼が満を持して世に送り出す本作は、多くのファンが待ち望んだコンソール向けの大型アクションアドベンチャーゲームです。モバイルゲーム市場で圧倒的なシェアを持つNetEaseにとっても、コンソール市場における本格的なAAAタイトルへの参入を示す、戦略的に極めて重要な作品となります。

実在する「歌舞伎町」への挑戦

発表された映像で最も注目を集めたのは、その舞台設定です。「Gang of Dragon」の舞台となるのは、東京・新宿に実在する巨大歓楽街「歌舞伎町」。名越氏が長年手掛けてきた「龍が如く」シリーズでは、歌舞伎町をモデルにした架空の街「神室町」が舞台でしたが、本作ではあえて実在の地名をそのまま使用しています。

これは、フィクションとしての安全圏に留まるのではなく、現代社会の闇やリアリティをより鋭く直視しようとする制作チームの意思表示とも受け取れます。架空の記号としてではなく、実在する街特有の湿度や喧騒、路地裏の汚れまでも再現することで、プレイヤーの没入感は過去作と比較しても飛躍的に向上していると考えられます。名越スタジオには、かつて「龍が如く」シリーズを支えたベテランスタッフも多数合流しており、彼らが培ってきたノウハウが「リアルな歌舞伎町」の構築に惜しみなく投入されていることは想像に難くありません。

主演マ・ドンソクの圧倒的存在感

物語の主人公となるのは、歌舞伎町を拠点とする韓国系犯罪組織の幹部「シン・ジソン」。この重要なキャラクターを演じるのは、映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」やマーベル映画「エターナルズ」、そして日本でも興行収入100億円を超える大ヒットとなった「犯罪都市」シリーズで知られる世界的アクションスター、マ・ドンソク(Don Lee)氏です。

彼の起用は単なる話題作り以上の意味を持ちます。トレーラーで見せた、敵を一撃で吹き飛ばす重厚なパンチは、ファンが親しみを込めて呼ぶ〝マヒョン(マ兄貴)〟の姿そのものです。映画で見せる即興的な格闘スタイルや圧倒的なフィジカルは、本作のゲームエンジン上でも遺憾なく発揮されており、裏社会の過酷な抗争を生き抜く主人公にこれ以上ない説得力を与えています。

また、NetEaseの持つ中国基盤と合わせ、日本・韓国・中国というアジア全域の市場を視野に入れた戦略的なキャスティングであるとも分析できます。国境を越えて支持されるスターを主役に据えることで、本作はアジア発のグローバルコンテンツとしての地位を確固たるものにしようとしています。

「殺し」を解禁したノワール

公開されたティザートレーラーやSteamストアページの記述からは、本作が「龍が如く」シリーズの精神的後継作のような雰囲気を持ちつつも、決定的に異なる「ハードボイルドな路線」を歩んでいることがうかがえます。

「龍が如く」の桐生一馬や春日一番といった歴代主人公たちは、仁義を重んじ、基本的に敵を殺めることはありませんでした。しかし、「Gang of Dragon」のシン・ジソンはその一線を画します。トレーラーでは、銃火器や刃物を用いた容赦のない戦闘シーンや、路地裏での刺殺といった描写が確認されており、本作が「殺し」を躊躇しないアウトローたちの冷徹な世界を描いていることが示唆されています。

ゲームプレイは三人称視点(サードパーソン)のアクションを採用。マ・ドンソク氏の肉体美を活かした素手による格闘に加え、日本刀、拳銃、グレネードといった多彩な武器を駆使します。さらに、本作の特筆すべき要素として「車両」の存在が挙げられます。スクリーンショットでは車の改造機能が示唆されており、新宿の街を疾走するカーチェイスなど、従来のQTE(クイックタイムイベント)中心の演出とは異なる、動的なストリートバイオレンスが体験できるようです。

名越氏が語る「誠実さ」と哲学

今回の発表に際し、名越稔洋氏はプレスリリースを通じて次のようにコメントしています。

「『Gang of Dragon』をようやく発表できる日を迎え、安堵すると同時に身の引き締まる思いです。このプロジェクトは、歌舞伎町という実在の街に生きるアウトローたちの生き様を、揺るぎない誠実さ(unwavering honesty)をもって描いています。私たちはゲームプレイを通じて、この世界から生まれる力強い人間ドラマを届けることに全力を注いでいます」

この「揺るぎない誠実さ」という言葉には、エンターテインメントとしての過度な誇張を排し、義理人情だけでは語りきれない異文化マフィアの忠義と悲哀を描き切るという、クリエイターとしての覚悟が込められています。

名越スタジオは設立時、「風通しの良い雰囲気」を作ることを目標に掲げていました。「どんなに才能あるクリエイターでも、孤立していては能力を完全に発揮できない」という名越氏の信念のもと、年功序列を廃したオープンな議論や、失敗を恐れずに修正を重ねる文化が育まれています。「Gang of Dragon」は、そうした新しいスタジオ文化の中で練り上げられた最初の成果物であり、クリエイターたちが制約から解き放たれて作った作品であることを予感させます。

今後の展望と発売時期

現時点では具体的な発売日は未定ですが、PC版(Steam)のページは既に公開されており、「近日登場」と表記されています。予測では2026年〜2027年頃のリリースが見込まれています。PlayStation 5やXbox Series X|Sへの展開も濃厚です。

興味深いことに、名越氏が長年在籍していた「龍が如くスタジオ」も現在、「Stranger Than Heaven」という新作タイトルを開発中であることが明らかになっています。かつての盟友たちが別々の場所で、それぞれの「極道劇」を競い合うという展開は、ゲーム業界にとって刺激的な「二正面作戦」の様相を呈しています。一部の業界関係者の間では、同ジャンルでさらに踏み込んだ表現を試みた点が注目されています。

「龍が如く」ファンにとっては「シリーズを超える作品」への期待、そしてマ・ドンソクファンにとっては「映画のような体験」への興奮。「Gang of Dragon」は、その両者の化学反応によって、グローバルヒットを狙う名越スタジオの記念すべき第一歩となるでしょう。

情報元・イメージ:「Nagoshi Studio」公式サイトSteam

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