
「Dead Island 3」の開発が本格化し、2028年前半の発売を目標としていることがDambuster Studiosの財務資料より明らかになりました。前作「Dead Island 2」からリソースを移行し、現在はスタジオの主力プロジェクトとして推進中。本記事では、最新の動向、制作フェーズ、および業界的な背景について詳報します。
人気ゾンビ・サバイバルアクションRPGシリーズの最新作「Dead Island 3(デッドアイランド3)」が現在開発中であり、2028年初頭のリリースを目標としていることが判明しました。この情報は、開発を担当するDambuster Studios(ダンバスター・スタジオ)の財務報告書に基づくもので、前作の成功を受けた同社が、すでに次期タイトルの制作体制へ本格移行していることを示しています。
財務資料が示す発売日
X(旧Twitter)ユーザーのbogorad222氏が発見したDambuster Studiosの年次財務報告書(PDF)によると、同社は現在、「Dead Island 3」をスタジオの「主要な焦点(Primary Focus)」と位置づけています。
文書には「ゲームの各パートは現在、初期生産段階にある」と明記されており、具体的には機能、キャラクター、ワールド、そして物語のデザイン作業が「急速に進んでいる」と報告されています。
また、プロジェクトの予測リリース時期として「2028年第1四半期または第2四半期」が挙げられています。このスケジュール通りであれば、2023年4月に発売された前作「Dead Island 2」から約5年でのリリースとなり、近年のAAA級タイトル(多額の予算を投じた大規模作品)の開発サイクルとしては標準的かつ順調なペースと言えます。
開発リソースの再配分とスタジオの現状
Deep Silver(ディープ・シルバー)傘下のDambuster Studiosは、英国ノッティンガムを拠点とする194名規模のデベロッパーです。かつて破綻したCrytek UKの資産を基に設立され、現在はEmbracer Group(エンブレーサー・グループ)の孫会社にあたります。
報告書によれば、同スタジオは2024年10月の「Dead Island 2: Ultimate Edition」開発完了に伴い、リソースの大半をナンバリング最新作へシフトさせました。現在、すべての開発者が「Dead Island 3」に割り当てられています。品質保証(QA)チームについても、現在進行中の「Dead Island 2」Mac版およびAmazon Luna版の開発が完了次第、順次合流する計画です。これはスタジオ全体が単一の主力プロジェクトに集中する体制への移行を意味し、経営資源の最適化が図られています。
財務面でも、同社は2024年度に黒字を計上し、200万ポンド(現在のレートで約3億8000万円)以上の資産を保有するなど、経営基盤は安定しています。親会社であるEmbracer Groupが大規模な事業再編を進める中にあっても、同スタジオが堅実な成果を上げている点は注目に値します。
「開発地獄」からの脱却と安定化
「Dead Island」シリーズにとって、同じスタジオが続投して次回作を制作するという事実は重要な意味を持ちます。
前作「Dead Island 2」は、業界で「開発地獄(Development Hell)」と呼ばれる極めて難航した経緯を辿りました。2014年の発表当初はYager Developmentが開発を担当していましたが、その後Sumo Digitalへと移管され、2019年にDambuster Studiosが引き継ぐという異例の事態となりました。結果として、最初の発表から発売まで約9年を要しています。
この間、Techlandによる拡張版「Dead Island: Riptide」やスピンオフ作「Escape Dead Island」、短命に終わったMOBA「Dead Island: Epidemic」などが展開されましたが、シリーズの評価は定まりきらない状態が続きました。一方で、オリジナル版の開発元Techlandは「Dying Light」シリーズで大きな成功を収めています。
しかし、苦難の末にリリースされた「Dead Island 2」は、批評家から「平凡なキャンペーンを補って余りある、面白く血みどろな戦闘」や「カリフォルニアを舞台にした完成度の高いゾンビアクション」と評価されました。商業的にも成功し、2025年9月時点でプレイヤー数は2000万人に達しています。
今回、Dambuster Studiosが引き続き指揮を執ることで、前作のゲームエンジンやアセット、ノウハウを直接活用できるため、開発効率と品質の大幅な向上が期待されます。
将来のリスクとAAA開発の課題
財務報告書では、今後の事業リスクについても冷静な分析がなされています。特にAAAゲーム開発における課題として、以下の3点が挙げられています。
第一に、市場トレンドの予測です。3〜5年後のトレンドを見極める「ビジョン」の正確性が問われます。第二に、技術基準の維持です。急速に進化するエンジニアリング基準の最前線に留まり続ける必要があります。第三に、人材の確保です。プロジェクトに適した才能あるチームを維持することが、長期開発の成否を分ける要因となります。
特に2028年という発売目標は、次世代コンソールサイクルの到来と重なる可能性もあり、技術的な適応力が鍵となるでしょう。
シリーズの新たな展開に向けて
Dambuster Studiosは2025年9月、Steam上の投稿で「アウトブレイク(感染爆発)は終わっていない」と述べ、シリーズの継続を示唆していました。今回の財務資料は、その言葉が単なるファンサービスではなく、具体的な事業計画として進行していることを裏付けています。
前作での困難を乗り越え、安定した開発体制を手に入れた「Dead Island」フランチャイズ。2028年に向けて、このシリーズがどのように進化を遂げるのか、業界内外からの注目が集まっています。
情報元:Eurogamer
