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2026年はSwitch 2やPS5も値上げ? ― AI需要によるメモリ不足と今後を予測

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AIインフラ需要によるDRAM枯渇がゲーム市場を直撃。Micronの戦略転換に加え、Dellの内部データでは32GB以上のモデルで数万円単位の値上げが示唆されており、2026年にはコンソールでも15%のコスト増が予測されます。2025年末〜2026年初頭が既存ハードウェア購入の最大のチャンスになるかもしれない理由とは?

AI特需がゲーム市場を直撃

2025年末、生成AI(人工知能)分野への爆発的な投資が、半導体市場の優先順位を根本から変えつつあります。NVIDIAをはじめとするAI関連企業が記録的な業績を上げる一方で、データセンター向けのDRAM需要急増が、ゲーム機を含む消費者向けエレクトロニクス市場のサプライチェーンを圧迫しています。

Reutersなどの報道によれば、メモリメーカー大手のMicron Technologyが消費者向けブランド「Crucial」の終了を発表し、AI・データセンター市場への注力を明確にしました。複数の業界アナリストは、2026年以降のメモリ価格の上昇が、最終的にゲーム機の定価を引き上げる要因になると予測しています。

Micron撤退とメモリ市場の激変

2025年12月3日、メモリメーカー大手のMicron Technologyは、約30年にわたり展開してきた消費者向けブランド「Crucial(クルーシャル)」の終了を発表しました。同社は2026年2月末まで出荷を継続し、その後は保証サポートのみを提供する方針です。

Micronの公式発表によれば、この決定は「AI・データセンター事業への供給とサポートを改善するため」とされています。これには深刻な技術的裏付けがあります。

AIチップに不可欠な「HBM(広帯域メモリ)」を製造するには、通常のDDR5メモリと比較して約3倍から4倍ものシリコンウェハ生産能力が必要とされています。

メーカー各社は、限られた生産ラインを利益率が圧倒的に高いHBMへ集中させており、結果として標準的な消費者向けメモリの供給が物理的に圧縮されているのです。

Crucialは、PCゲーマーや自作PC愛好家にとって信頼性の高い選択肢として長年親しまれてきました。日本でも秋葉原をはじめとするPCパーツ販売店で広く取り扱われ、コストパフォーマンスの良さから人気を集めていました。

2026年は最大30%の値上げも

ニューヨーク大学スターン経営大学院のJoost van Dreunen教授は、メモリがPCの総部品コスト(BOM)の約20%を占めることを指摘し、「これはメーカーにとって極めて大きな打撃となる」と述べています。

同教授および業界調査の予測によれば、今後1〜2年間で以下の価格変動が見込まれます:

  • PC市場:最大30%の価格上昇
  • コンシューマーゲーム機市場:10%〜15%の価格上昇

すでに市場では具体的な兆候が現れています。大手PCメーカーDell Technologiesの内部計画(2025年12月9日通達)によれば、32GBメモリ搭載モデルで130〜230ドル(約2万〜3.5万円)、128GB構成などのハイエンド機では最大765ドル(約11.5万円)もの大幅な値上げが検討されています。

この急激なコスト増は、同様のメモリコンポーネントを大量に使用するコンシューマーゲーム機メーカーにとっても回避不能な課題です。

Switch 2・PS5の価格維持は限界か

Nintendo Switch 2は、2025年6月5日に449.99ドル(国内価格 49,980円)で発売され、任天堂史上最速の普及を見せています。また、Sonyも2025年11月に低価格な「PlayStation 5・日本語専用 」(税込55,000円)を投入し、ユーザー層の拡大を図っています。

これは、両社が長期契約(LTA)により、比較的安定した価格でメモリ在庫を確保できていることを示唆しています。しかし、特にSwitch 2の「49,980円」という価格は、現在の為替レートを考慮すれば驚異的な戦略価格であり、企業努力の限界に近い設定と言えます。

業界関係者の間では、2026年以降の価格維持に不安の声が上がっています。長期契約分の在庫が尽きた際、メーカーは暴騰した現在のスポット価格でメモリを調達せざるを得ません。

もし2026年に価格改定(値上げ)が行われた場合、現在の価格から1万円〜2万円程度の上昇も考えられます。円安による輸入コスト増とメモリ高騰のダブルパンチにより、現在の「4万円台」「5万円台」という価格を維持することは極めて困難になりつつあります。

次世代機ロードマップの崩壊リスク

メモリメーカーの生産能力の相当部分は、2026年から2028年頃までAI企業によって予約されているとされています。PlayStation 6や次世代Xboxは、2027〜2028年の発売が見込まれていますが、このメモリ不足は設計段階にまで影響を及ぼしています。

Emarketerのアナリスト、Jacob Bourne氏は「販売不振のリスクを冒すより、リリース自体を延期する可能性がある」と指摘しています。また、価格を抑えるために搭載メモリ容量を削減(スペックダウン)するリスクも浮上しており、次世代機に期待されるパフォーマンスが実現できない可能性も懸念されています。

2026年、コンシューマーゲーマーの生存戦略

2025年から2026年にかけて、ゲーム市場は「AI特需による資源奪い合い」というかつてない局面を迎えます。調査会社Circanaのデータによれば、2025年11月のハードウェア平均販売価格はすでに過去最高を記録しており、価格上昇は現実のものとなっています。

市場の現状を踏まえると、以下の2点が浮き彫りになります。

  • 「値下げ待ち」はリスクが大きい:過去のゲーム機サイクルにあった「待てば安くなる」という常識は、部材コスト高騰により崩れ去りました。PS5の値上げが象徴するように、今後は「今が最も安い」という状況が続く可能性があります。
  • 現行機の確保を優先すべき:Switch 2やPS5が現在の価格で提供されているのは、メーカーの企業努力と過去の部材確保の賜物です。2026年の調達サイクル切り替えに伴う価格転嫁を考慮すれば、欲しいハードウェアは「安定供給されているうちに、正規販売店で確保する」のが最も賢明な判断と言えるでしょう。

消費者にとっては、2025年末から2026年初頭が、比較的安定した価格でゲーム機を購入できる最後の機会となる可能性があります。次世代機の遅延やスペック変更のリスクも考慮し、現行機で遊び続ける環境を今のうちに整えておくことが賢明かもしれません。

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情報元:Reuterswccftech

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