
PS5新作「Code Violet」が海外主要メディアから10点中4点の酷評を受けています。批判点はバグや単調な戦闘、世界観と乖離した性的描写です。「ディノクライシス」の再来と期待された本作が、なぜこれほど市場を裏切る結果となったのか。海外レビューから浮かび上がる、その要因とは?
名作「ディノクライシス」の精神的続編として、一部のコアゲーマーから熱視線を浴びていたPS5向けサバイバルホラー「Code Violet(コード・バイオレット)」。しかしその実態は、開発元TeamKill Mediaの前作「Quantum Error」と同様、あるいはそれ以上に厳しい評価に直面しています。発売と共に解禁された海外メディアのレビューから、本作が「失敗作」の烙印を押された理由を紐解きます。
物語と演出の致命的な乖離
本作最大の批判点は、物語の重厚さと実際の演出との間に生じている致命的な乖離です。
Push Squareは、本作がレオナルド・ダ・ヴィンチの引用で幕を開け、声優陣の演技も極めてシリアスである点に触れています。その雰囲気は、「まるでかつてのコミカルなTV版『バットマン』の世界に、クリスチャン・ベール(映画版の俳優)が迷い込み、一人だけ真剣に演技をしているようだ」と評されるほどです。しかし、その熱演とは裏腹に、物語の展開はB級映画の域を出ていません。
冒頭、主人公バイオレットは宇宙の最果てにある施設で、なぜか下着姿で目覚めます。友人がヴェロキラプトルに捕食される緊急事態にもかかわらず、彼女は衣服を求めて半裸で施設内を探索することになるのです。
Push Squareはこの状況について、「彼女は前夜、施設の片端で服を脱ぎ、下着姿で廊下を歩いて反対側のベッドへ行き、翌朝またズボンを取りに戻っていることになる」と、設定の論理的破綻を皮肉交じりに指摘しています。さらに探索中、カメラは執拗に彼女の臀部をクローズアップし続ける始末です。
主体性の欠如と不適切な性的演出
本作における性的要素の扱いは、単なる好みの問題にとどまらず、キャラクター造形の根本的な失敗であると指摘されています。
IGNによれば、本作には露出度の高いコスチュームが大量に用意されていますが、ピンナップガール風やセクシーな秘書風など、いずれも恐竜との戦闘には不向きなものばかりです。Push Squareはこれに対し、「彼女が宇宙でセクシーな動画配信(Onlyfans)を運営しているという脳内設定でも作らない限り、説明がつかない」と皮肉っています。
「Stellar Blade」や「Baldur’s Gate 3」のように、性的魅力を武器として成功した作品もありますが、それらはキャラクター自身が自らの魅力を主体的にコントロールしている点が異なります。対して本作のバイオレットには主体性がなく、IGNは彼女を「他者の指示に従い、困難に直面しては泣き叫ぶだけの空虚な存在」と評しています。
このミスマッチは、シリアスな場面で特に顕著になります。Push Squareが指摘するシーンでは、バイオレットが仲間の死に涙し、声優が悲痛な演技をしている最中、カメラは彼女が着ている「臀部が露出したカウガール衣装」を映し出します。これでは感情移入どころか、あまりのちぐはぐさに失笑するほかありません。
IGNはこうした状況を、「『Baldur’s Gate 3』や『Stellar Blade』以降の世界において、性的表現を誤った方向に扱ってしまった数少ない例」と厳しく批判しています。
機能不全の戦闘と旧式AI
トーンの不一致以上に深刻な問題は、ゲームとしての基礎品質の低さにあります。
まず、サバイバルホラーの要である戦闘システムが機能していません。Push Squareは、ショットガンの発射音を「マクドナルドのストローの袋を吹き飛ばす音」と酷評し、その迫力のなさを指摘しました。さらに当たり判定も不安定で、攻撃がヒットしているか視覚的に判別しづらい仕様となっています。
敵AIの挙動も前時代的です。IGNの分析によれば、大型ラプトルは単調に突進し、小型種は列をなして接近と離脱を繰り返すだけ。毒を吐く敵に至っては、その場から動かずに攻撃してきます。終盤のワニ型生物も水中に入らなければ無害な「的」と化し、ボス戦でさえ単調な回避行動だけで攻略可能です。
ステルス要素の矛盾も指摘されています。敵は通常、超自然的な察知能力でプレイヤーを追跡しますが、スーツの透明化機能「GlassVeil」を使うと、戦闘中であっても攻撃を完全に放棄してしまいます。この仕様はボス戦でも有効で、姿を消すとボスが棒立ちで待機してしまうという、致命的な設計ミスが存在します。
カメラワークの劣悪さも致命的です。狭い通路が多いにもかかわらず、カメラが壁や障害物に干渉し、戦闘中に主人公の背中が画面を埋め尽くす事態が頻発します。IGNはこの状況を「部屋の中央以外での戦闘は状況把握が不可能」と評し、Push Squareに至っては「一部の国ではヘイトクライム(憎悪犯罪)と認定されるレベルだ」と強烈なブラックジョークを用いて批判しています。
製品品質を損なう多数のバグ
製品としての完成度にも、深刻な疑問が投げかけられています。
IGNのレビューでは、音声バランスの乱れや重要な背景(スカイボックス)の読み込みエラー、弾薬数表示の誤り、さらには武器そのものがインベントリから消失するといった多数の不具合が報告されました。中でも深刻なのが、倉庫からアイテムを使用しても消費されないバグです。これにより、セーフルームへ戻るたびに無限に回復が可能となっており、ゲームバランスは完全に崩壊しています。
Push Squareも、ゲーム開始直後にコントローラーが操作不能になる不具合に遭遇したと述べています。開発元のTeamKill Mediaは、これらの問題を認識し修正中であるとIGNに伝えていますが、具体的な対応時期については明言されていません。
古臭い設計とちぐはぐな映像美
ビジュアル面においても、本作のクオリティは一貫していません。
IGNとPush Squareは共に、遠景の美しさについては一定の評価を与えています。紫色の虚空に島々が浮かぶ屋外の景色や、主人公の髪の表現などは魅力的です。しかし、カメラが寄るとテクスチャの粗さが目立ち、金属表面の反射も不自然で安っぽく見えてしまいます。さらに残念なことに、これら美しい屋外の景色を拝めるのは、ゲーム全体のわずか1割程度に過ぎません。
レベルデザインに至っては、「20年前のゲーム以下」(Push Square)、「20年以上前の『Doom 3』の方がはるかに優れていた」(IGN)と酷評されています。マップは基本的に一本道をつなぎ合わせただけで、探索の楽しみや戦略的なルート選択は皆無です。
IGNは名作「Dead Space」を引き合いに出し、その欠陥を指摘しています。「Dead Space」ではどの部屋にも死の危険を感じる緊張感がありましたが、本作の部屋の大半は「単にプレイヤーが通り過ぎるためだけに存在している」と確信できてしまう作りだといいます。
また、施設内のオブジェクトについても疑念が呈されています。IGNのレビュアーは、配置された自動販売機や油絵が周囲から浮いており、「AI生成されたものではないか」と疑ってしまうほど違和感があったと述べています。
クリア時間は約6時間と短めですが、それでもプレイ体験は長く感じられるようです。Push Squareは「もし10時間以上あれば苦行だっただろう。では6時間なら? 正直なところ、それでもまだ苦行であることに変わりはない」と結論付けています。
結論:期待を裏切る多層的な失敗
総合的に見て、「Code Violet」は野心的な設定に対し、技術力と品質管理が追いついていない作品です。「恐竜×宇宙」という魅力的なコンセプトは、稚拙な物語や調整不足の戦闘、そしてターゲット層を困惑させる不適切な性的演出によって完全に埋没してしまいました。
技術的な問題も深刻で、レベルデザインやAIは20年前の作品と比較しても見劣りし、進行不能バグも散見されます。IGNとPush Squareが下した「10点中4点」というスコアは、現代のゲーム基準を大きく下回る品質への厳しい審判と言えるでしょう。
両メディアは本作に費やす6時間の価値を強く疑問視しており、Push Squareに至っては「その時間で『ジュラシック・パーク』を3回観る方が賢明だ」と皮肉っています。「ディノクライシス」の再来を望んだファンにとって、本作はトーンの統一や堅実なゲームプレイの重要性を再認識させる、残念な教訓となってしまいました。
情報元:IGN・Push Square

