
「ボーダーランズ4」Switch 2版の開発が技術的課題とリソース配分の見直しにより一時停止となりました。Take-Twoは発売済みのPC/CS版の品質向上を最優先する方針で、リリース予定からも削除。新ハードへの移植難易度が浮き彫りとなる中、将来的な再開の可能性について解説します。
Switch 2版、開発見直しで一時停止
Take-Two Interactive(以下、Take-Two)は2026年2月に開催した四半期決算発表において、Gearbox Softwareが開発するシューティングRPG「ボーダーランズ4(Borderlands 4)」のNintendo Switch 2版の開発を一時停止したことを明らかにしました。これに伴い、同社のリリース予定リストからSwitch 2版の項目が削除されています。
停止の背景と公式コメント
米エンターテインメント誌「Variety」に対し、Take-Twoの広報担当であるアラン・ルイス氏は、次のようにコメントしています。
「Switch 2版の開発を一時停止するという苦渋の決断を下しました。現在の我々の焦点は、プレイヤーに高品質な発売後コンテンツを提供すること、そしてゲームを最適化するための継続的な改善にあります」
この声明は、新ハードへの移植にリソースを割くよりも、既に発売されているPC、PlayStation 5、Xbox Series X/S版の品質向上と安定化を最優先するという経営判断を裏付けています。
「ボーダーランズ4」は2025年9月に他プラットフォームでリリースされ、初動で250万人以上のプレイヤーを獲得しました。しかし、以前の決算報告では、PC版のパフォーマンス不足などが影響し、売上が当初の期待よりも「軟調(期待を下回る推移)」であったことが認められています。今回のSwitch 2版の開発停止は、こうした現状を立て直し、既存ユーザーの満足度を高めるための「選択と集中」といえるでしょう。
技術的課題と度重なる延期
これまで「ボーダーランズ」シリーズは、現行のNintendo Switchにおいても「1」「2」「プリシークエル」「3」のすべてが移植され、動作してきました。しかし、最新作である「4」は、画面内に大量の敵や派手なエフェクトが飛び交う「ルーターシューター」としての処理負荷が大幅に増大しており、これが移植の大きな壁となっています。
今回の「一時停止」に至る予兆は、2025年時点で既に現れていました。当初、Switch 2版は他機種版から間もない2025年10月3日の発売を予定していましたが、発売のわずか1~2週間前という異例のタイミングで、無期限の延期を発表。任天堂のeショップ・ポリシーに従い、予約注文がすべてキャンセルされる事態となっていました。
2025年夏のイベント「PAX West」でのデモ公開では、一部で高評価を得たものの、ドックモード時ですらフレームレートの低下や入力遅延が目立つとの指摘が相次ぎました。SNS上の技術分析でも「ドックモードでも敵が4体表示されただけで動作が不安定になる」といった報告が上がっており、最新の大型タイトルを携帯ベースのハードに最適化することの難しさが改めて浮き彫りになりました。
今後の任天堂との関係性
一方でTake-Twoは、今回の決定が任天堂との協力関係を解消するものではないと強調しています。ルイス氏は声明の中で次のように付け加えました。
「我々は今後も任天堂と緊密に協力していきます。『PGA Tour 2K25』や『WWE 2K26』のSwitch 2版リリースを控えており、将来的にさらに多くのタイトルを同プラットフォームへ提供できることを楽しみにしています」
これは、スポーツタイトルなど特定のジャンルでは展開を継続しつつ、極めて高いスペックを要求されるオープンワールドやルーターシューターに関しては、慎重な姿勢に転じたことを意味しています。
業界動向と今後の展望
「ボーダーランズ4」の事例は、新ハードへの展開におけるサードパーティの課題を象徴しています。2025年にアナウンスされた「ELDEN RING(エルデンリング)」のSwitch 2版も、デモ段階でのパフォーマンス不足が指摘されて以降、続報が途絶えています。一方で「アサシン クリード シャドウズ」などは比較的良好なパフォーマンスを示しているとされ、ハードに合わせたタイトルごとの最適化の難しさが鮮明になっています。
なお、同決算報告においてストラウス・ゼルニックCEOは、「グランド・セフト・オートVI(GTA 6)」について、一部で噂されていた「パッケージ版の発売遅延」を明確に否定し、予定通りのリリースを目指す姿勢を強調しました。
結論:開発再開の可能性は?
今回の開発一時停止は、パブリッシャーがスケジュールの遵守よりも「製品品質」と「リソースの最適化」を優先した結果です。Gearbox Softwareは現在、2026年に向けたアップデートや有料DLCの開発に注力しており、まずは現行プラットフォームでの体験を洗練させることが最優先事項となっています。
重要なのは、同社が「中止」ではなく「一時停止(paused)」という言葉を使っている点です。これは将来的な開発再開の可能性を残した表現ですが、現状のパフォーマンス課題を考慮すると、実現には相当な技術的進展が必要です。
既存プラットフォームでの最適化が進み、開発ノウハウが蓄積された段階で、再び携帯市場への挑戦が検討されるのか。今後のアップデート状況と、次期決算での動向に注目が集まります。


