
MachineGamesが「Wolfenstein 3」の開発を本格化させている可能性が浮上。キャスティングコールからは、コードネーム「Valkyrie」や新キャラクター「Sofiya」の存在が判明。開発スケジュール、Kilter FilmsによるAmazon実写ドラマなど、人気シリーズの今後はどうなるのでしょうか?
Bethesda Softworks傘下のMachineGamesが、長らく沈黙を守っていた人気FPSシリーズの最新作、「Wolfenstein 3」(Wolfenstein III)の開発を水面下で本格化させている可能性が極めて高くなりました。2026年に入り、いくつかのメディアが「Wolfenstein 3が開発中である」と報じた流れを受け、今度はゲームメディアのMP1stがキャスティングコール(配役募集)の詳細を独自に入手・報告。このキャスティング情報から、同スタジオが「Indiana Jones and the Great Circle」の成功に続き、再びナチス支配下のディストピアへと回帰する準備を進めていることが、より具体的な形で裏付けられました。
「Valkyrie」始動と開発の現状
MP1stが入手・報告したキャスティングコールの内容によると、このプロジェクトには「Valkyrie(ヴァルキューレ)」というコードネームが付与されています。
特筆すべきは、このプロジェクトに関与している主要スタッフの顔ぶれです。パフォーマンス・ディレクターにはTom Keegan氏、キャスティング・ディレクターにはEmily Schweber氏の名が挙げられています。Keegan氏は直近の「Indiana Jones and the Great Circle」で演出を担当し、Schweber氏は過去の「Wolfenstein」シリーズにおける配役を支えた人物です。スタジオの重要人物が再集結しているという事実は、本作が単なるスピンオフではなく、ナンバリングタイトルに相当する大規模なプロジェクトであることを強く示唆しています。
MachineGamesのスタジオディレクターであるJerk Gustafsson氏は、2025年9月に公開されたNoclipのドキュメンタリー「The Making of Wolfenstein」において、続編制作への強い意欲を示していました。「私たちはこのシリーズを常に三部作として構想してきた」「Wolfensteinはまだ終わっていない。語るべきストーリーがある(We have a story to tell)」と発言しており、三部作構想が開発初期から存在していたことを明言しています。さらに2026年2月には、Eurogamerの姉妹メディアであるGamesIndustry.bizのインタビューで「Wolfensteinに戻る意図は常にあった」「三部作を完結させたい」と改めて公言しており、シリーズへの回帰を複数の機会にわたって確認しています。今回のキャスティング情報は、その言葉が具体的な「制作フェーズ」へと移行したことを裏付ける証拠と言えるでしょう。
新キャラクター「Sofiya」が示唆する物語
流出した情報の中で最も注目すべき点は、新たに登場するキャラクターの詳細です。キャスティングコールでは、「Sofiya」という名のキャラクターの募集が行われています。
キャラクターの概要としては、年齢は8歳から11歳のウクライナ出身の孤児であり、「Ralph」という名の飼い犬を連れています。物語の中でB.J.ブラスコヴィッチおよびそのクルーと絆を深め、ともに旅をする役割を担います。当初は戦争によるトラウマから疑心暗鬼になっているものの、レジスタンス(クライザウ・サークルと思われる組織)の保護下で、意志の強い生存者として成長していくと説明されています。
この設定は、シリーズの象徴的プロタゴニストであるウィリアム・〝B.J.〟・ブラスコヴィッチの復帰を確実視させるものです。同時に、物語のトーンが変化する可能性も秘めています。
これまでのシリーズは、B.J.による超人的な戦闘能力とナチスへの苛烈な復讐劇が主軸でした。しかし、幼い孤児を保護し、共に旅をするという設定は、Naughty Dogの「The Last of Us」におけるジョエルとエリーのような、擬似的な親子関係や保護者としての側面が強調されることを予感させます。B.J.が父親となるタイムラインを考慮すれば、次世代を担う子供たちとの関わりは、キャラクターの成熟を描く上で自然な流れと言えるでしょう。
また、一部のファンの間では、「Sofiya」という名前がB.J.の母親である「Zofia Blazkowicz」への参照ではないかという憶測も飛び交っています。これが単なるネーミングの偶然なのか、それとも物語の深層に関わる伏線なのか、現時点では定かではありません。
制作タイムラインと発売時期の予測
キャスティングコールに記載されたスケジュールは、開発の進行度合いを推測する上で重要な指標となります。情報によると、パフォーマンスキャプチャは2026年4月に開始される予定であり、追加の撮影が2026年後半から2027年にかけて計画されているとのことです。
このスケジュールから導き出される考察は以下の通りです。まずプリプロダクションについては、脚本や基本的なゲームデザインはすでに固まっていると考えられます。次に本格的な制作フェーズとして、2026年から2027年はアセット制作と演技収録に費やされます。発売時期については、大規模なAAAタイトルの平均開発サイクル(4〜5年)を考慮すると、早くとも2028年、現実的には2029年頃のリリースとなる可能性が高いでしょう。
MachineGamesは2024年末に「Indiana Jones and the Great Circle」をリリースし、高い評価を得ました。その後、「The Order of Giants」DLCのリリース(2025年9月)まで同作に注力していたことを踏まえると、スタジオのリソースが「Wolfenstein」へと本格的にシフトしたのはここ最近のことであり、現在は開発初期から中期にあたる段階と推測されます。
Amazon実写ドラマ化とのシナジー効果
「Wolfenstein 3」の展開において無視できないのが、映像作品との連携です。現在、Amazon MGM Studiosにおいて、Prime Video向けの「Wolfenstein」実写ドラマシリーズの制作が進行しています。クリエイター兼ショーランナーには、「Station Eleven」(HBO Max)や「Maniac」(Netflix)で高い評価を受けたPatrick Somerville氏が起用されています。製作を担うのは、大ヒットを記録した「Fallout」シリーズと同じく、Jonathan NolanとLisa JoyのKilter Filmsです。なお、Jerk Gustafsson氏自身もエグゼクティブ・プロデューサーとして本作に名を連ねており、ゲームの世界観との整合性を担保する体制が整えられています。
報道によると、Bethesdaはゲームとドラマシリーズのリリース時期を近づけることで、マーケティングの相乗効果(シナジー)を狙っているとされています。ソニー(PlayStation Productions)が「The Last of Us」や「Uncharted」で実践しているのと同様の戦略であり、ゲームと映像の双方からIPの価値を最大化する狙いがあることは明白です。
三部作完結への期待
「Wolfenstein II: The New Colossus」の発売から8年以上が経過しました。「The New Order」で幕を開け、「The New Colossus」で深化した三部作は、その完結篇をずっと待ち続けられてきました。スピンオフ作品である「Youngblood」と「Cyberpilot」は批評・商業の両面で振るわず、ファンはナンバリングタイトルの正統な続編を長らく待ち望んできました。
コードネーム「Valkyrie」が指し示すものについては、史実における「ワルキューレ作戦(1944年7月20日事件)」、すなわち反ナチスのドイツ国防軍将校たちによるヒトラー暗殺計画との関連が自然と連想されます。彼らは「ナチス」ではなく、ナチズムに抵抗したドイツ軍内部の人々でした。このコードネームがゲーム内でどのような意味を持つのかは未知数ですが、宿敵との最終決着を示す伏線である可能性も否定できません。いずれにせよ、B.J.ブラスコヴィッチの物語が最終章へ向けて動き出したことは間違いありません。
開発が本格化したと見られる本作について、今後の正式なアナウンスに注目が集まります。
情報元:MP1ST

