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「紅の砂漠」200万本突破も株価30%急落 ─ 評価を分けた「独特すぎる操作性」

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パールアビスの新作「紅の砂漠」が発売1日で200万本を突破!しかし、独自エンジンによる圧倒的映像美の一方で、操作性の難解さやIntel Arc非対応問題から評価は「賛否両論」に。株価30%急落を招いたユーザー体験の課題と、迅速な改善パッチについて詳報します。

韓国のゲーム開発会社パールアビス(Pearl Abyss)が放つ待望のオープンワールド・アクションRPG「紅の砂漠(Crimson Desert)」が、2026年3月20日の発売からわずか24時間足らずで、全世界累計販売本数200万本を突破するという金字塔を打ち立てました。PC(Steam)版では同時接続者数が約239,000人に達し、Steamグローバルの「トップセラー(Top Sellers)」1位、Epic Games Storeのベストセラー1位を記録するなど、市場の高い期待を裏付けたスタートとなっています。

一方で、発売直前のレビュー公開以降、Metacriticのメタスコアは78点にとどまり、投資家が抱いていた〝次の大ヒットIP〟としての期待値には届かなかったとされ、パールアビスの株価は一時30%近い急落を記録しました。Steamのユーザーレビューも「賛否両論(Mixed)」評価にとどまっており、記録的なセールスと対照的に、「ユーザー体験(UX)」を巡る激しい議論が巻き起こっています。

全世界待望のリリースと基本概要

「紅の砂漠」は、主人公「クリフ」と、彼が所属する傭兵団「灰色のたてがみ」の仲間たちの旅を描く、シングルプレイ主体のオープンワールド・アクションアドベンチャーです。プレイヤーはクリフとして、失われた故郷を取り戻し、散り散りになった仲間たちを探すため、シームレスに広がる大陸「ファイウェル」(英語表記:Pywel)を旅し、崩れた均衡を取り戻す使命を背負うことになります。

対応プラットフォームはPlayStation®5、Xbox Series X|S、Steam、Apple Mac、Epic Games Store、ROG Xbox Ally(Ally/Ally X)と幅広く、PC・コンソールを横断したグローバル展開が行われています。音声は韓国語・英語・中国語ボイスに対応し、字幕は全14言語に対応するなど、初期バージョンからワールドワイド市場を意識したローカライズ体制が敷かれています。

独自エンジンが描く次世代の表現力

本作は、パールアビス独自のゲームエンジン「BlackSpace Engine」によって開発されており、リアルで美しいグラフィック表現と、広大なフィールドを読み込みシームレスに行き来できる技術力が大きな特徴です。戦闘面では、剣と盾、槍、大剣、斧、遠距離武器だけでなく、素手攻撃、キック、掴みを組み合わせたコンボを構築できるなど、ビルドとプレイスタイルの自由度の高さが売りとされています。

探索面でも、強化素材の収集やボス討伐による装備獲得といった成長要素に加え、滑空やクライミング、さらにはドラゴンや機械的な〝ロボット〟のような乗騎・ギミックを活用しながら、広大な世界を縦横無尽に移動できる設計になっています。グローバルIT系チャンネル「Digital Foundry」も、特にPC版とPlayStation®5 Pro版における描画とパフォーマンスを「驚くべき技術的成果」と称賛しており、技術面そのものは高く評価されています。

爆発的ヒットの裏で割れるユーザー評価

発売日時点で「紅の砂漠」は、日本・韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスなど主要国のPlayStation Storeにおいて予約購入ランキング1位を獲得し、ローンチ前から注目度の高さが際立っていました。その勢いは発売後も続き、パールアビスはローンチ翌日に、全世界累計販売本数200万本突破を公式に発表しています。

しかし、こうした商業的成功とは裏腹に、Steamではユーザー評価が「賛否両論」にとどまり、肯定的レビュー比率はおよそ6割前後に留まっていると報じられています。批評家レビューを集積するMetacriticでは78点という〝及第点〟のスコアとなり、事前の強気な期待感と比較すると「伸び悩み」と見る向きが強く、これが株価急落という形で市場心理に直結しました。

評価を分かつ最大の論点となっているのが、同作の「操作性(コントロールスキーム)」と「ゲーム設計の密度・複雑さ」です。加えて、Steam版においてリリース直前にDenuvo DRM(不正コピーを防止する著作権保護技術。動作負荷への影響を懸念するPCユーザーから忌避される傾向がある)が導入されたことも反発の一因となり、一部PCユーザーの不信感を増幅させています。

議論の地となった「独特な操作性」の正体

多くのプレイヤーが不満を抱いているのは、現代的なアクションゲームの〝標準〟から大きく外れたボタン配置と、キャラクター挙動に強くかかる「慣性」による操作感の重さです。不満の声は大きく二つに分類でき、ひとつは「特定の動作を行うための直感的でないボタン配置」、もうひとつは「ボタン入力に対してワンテンポ遅れて反応するように感じられるレスポンスの悪さ」です。

SNSや掲示板では、NPCとの会話に「特定ボタンの長押し+別ボタン」といった多段階入力が必要な点や、アイテム収集の際にキャラクターの立ち位置やカメラ角度がシビアに要求される点が、「基本的なゲーム機能が損なわれている」として批判されています。
あるユーザーは「コントローラーが故障したのかと思った」と語り、Redditでは「ボタンを押した瞬間ではなく、離した後にアクションが発生する感覚」と表現されるなど、入力と結果の結び付きが希薄に感じられるという指摘が散見されます。

PC版のキーボード&マウス操作に関しては、「釣り竿を使う、メニューを開く、敵をロックオンするといった基本動作にすら複雑なコンボ入力が必要」といった声や、「ジャンプボタンとアイテム取得/NPCインタラクトが兼用されているため、鉱石採掘後にアイテムを拾おうとして誤ってジャンプしてしまう」といった具体的な不満もあがっています。さらに、スプリント(ダッシュ)を「GTA」シリーズのようにボタン連打で維持する仕様も批判対象となっており、こうした細かなストレスが積み重なって「とにかく扱いづらいゲーム」という印象を強めている状況です。

中でも最も根本的な問題として挙げられているのが、「キー/ボタンのリマッピング機能が存在しない」という点で、ユーザー側で解決策を講じる余地がないことが一層の不満を呼んでいます。ゲームジャーナリストからは「『ゼルダの伝説:スカイウォードソード』に600msの遅延を加えてステロイドを打ったような操作感」といった辛辣なコメントも出ており、コントロールスキームが本作最大の論争点となっているのは間違いありません。

MMOのDNAがもたらした複雑な設計

「紅の砂漠」は、同社の代表作であるMMORPG「黒い砂漠」で培ったノウハウを継承するタイトルであり、そのDNAはポジティブな意味でもネガティブな意味でも色濃く反映されています。PC Gamerのレビュアーは、本作について「12年間MMOを運営してきたパールアビスの歴史を思い起こせば腑に落ちる、旧来的な設計の選択肢に満ちた作品」と評し、長年のオンラインゲーム運用経験が〝システムの過剰な詰め込み〟という形で裏目に出ていると指摘しました。

具体例としては、町の地図を解放するために「鐘楼の鐘を鳴らす」といったゲーム内説明が乏しい独自ルールが散見されるほか、所持品(インベントリ)管理の不自由さや、アクセシビリティ設定がUIサイズの縮小程度に留まっている点などが挙げられています。近年のAAAタイトルに求められるユーザーフレンドリーな設計やアクセシビリティの水準と比較すると、「プレイヤーに説明を委ねすぎている」「不必要に複雑化している」といった評価が定着しつつあります。

露呈した不具合とプラットフォームの課題

操作性やゲーム設計の問題に加え、発売初日には複数の技術的トラブルも明らかになりました。Xboxアプリ経由でゲームを購入した一部PCユーザーの環境でゲームが起動しない不具合が報告され、ベースモデルのPS5版においてもフレームレート低下やクラッシュが発生しているとの声が上がっています。

さらにパールアビスは、Intel Arc GPUが現時点で非対応であることを公式に認め(次世代エンジンBlackSpace Engineの最適化プロセスの影響かと推察される)、「Intel Arcのサポートを期待して購入されたユーザーは、各プラットフォームの返金ポリシーを参照してほしい」と案内しました。これは実質的にIntel Arcユーザーへ返金を推奨する内容となっており、ハイエンドPCユーザー層の一部を冷や水を浴びせる形になっています。

また、Steam版においてリリース直前のタイミングでDenuvo DRMが追加されており、事前にその方針を明かしていなかったことも「透明性に欠ける」として一部コミュニティから批判されています。こうした技術的・ビジネス的な判断の積み重ねが、初動の〝熱狂〟の陰で不満として顕在化していると言えるでしょう。

開発側の見解と迅速なアップデート対応

相次ぐ批判に対し、パールアビスの広報・マーケティング担当ディレクターであるWill Powers氏はX(旧Twitter)上で、「自転車に乗るようなもので、慣れれば自然にできるようになる。少し時間がかかるだけ」とコメントしました。しかしこの発言は、「習得コストが高すぎる」と感じているユーザーにとっては十分な説明とは受け取られず、「転倒と擦り傷を覚悟で慣れろと言っているようだ」と、火に油を注ぐ結果になった側面もあります。

一方で公式声明では、「コミュニティからの広範なフィードバックを真摯に受け止め、迅速な改善に努める」とし、発売初日からマイナーバグ修正やパフォーマンス改善に焦点を当てたパッチ(Ver.1.00.02)を配信しました。このパッチでは、第3章で導入されるシステム向けの新チュートリアルクエスト追加や、一部で話題となっていた“クマの即死ダメージ”の削除なども含まれており、ゲームバランス調整や学習コストの緩和を図る動きが見られます。

ただし、最も要望が多いとされる操作系の再設計やキー/ボタンリマッピング機能の追加については、現時点で具体的なロードマップや時期は公式に明言されておらず、プレイヤーの不安は残ったままです。

欠点を上回る圧倒的な魅力と可能性

ネガティブな声が目立つ一方で、「紅の砂漠」に強い魅力を感じているプレイヤーや批評家も少なくありません。圧倒的なグラフィック表現や、モーションを駆使した派手な戦闘演出、広大なマップ探索の手触り、さらには「泣いている猫を抱きしめられる」といった細部のインタラクションに至るまで、作り込みの細やかさを評価するコメントも多く見られます。

PC Gamerは、Steamでの「賛否両論」評価にもかかわらず80点というスコアを付与し、「これまでプレイした中で最も興味深いゲームのひとつ」と評しています。専門家の間では、「非常に現代的で野心的な体験と、古臭いゲーム設計が同居している極端な作品」という見方が定着しつつあり、まさに長所と短所が鋭く突出したタイトルと言えるでしょう。

200万人の旅路と今後の展望

200万人の旅人が足を踏み入れた大陸「ファイウェル(Pywel)」は、パールアビスの自社エンジンが生み出す壮大な世界と、野心的なシステム設計が融合した舞台です。その一方で、操作性の抜本的な改善、技術的不具合への対処、マルチプラットフォーム間での体験の均質化、そしてユーザーとのコミュニケーションのあり方など、ローンチ初日から山積する課題も露わになりました。

MMO開発の系譜がもたらした〝密度の高いゲーム体験〟をどのように洗練させ、より多くのプレイヤーにとって快適なUXへと転換できるのか。「紅の砂漠」とパールアビスにとって、これからの数週間・数カ月は、同社の技術力だけでなく「改善をやり切る実行力」そのものが試される期間になりそうです。

情報元:PCGamerEurogamerPRTIMES

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