
「ステラーブレイド」や「NIKKE」のSHIFT UPが三上真司氏率いるUNBOUNDを買収。日韓を代表するクリエイターが共鳴し、UE5を用いた大型新作で「傑作」の創出を目指します。現場主義を貫く両雄が描く、ルールに縛られない自由な開発環境とグローバル戦略の全貌とは?
2026年4月1日、韓国のゲーム開発会社SHIFT UPは、東京を拠点とするUNBOUND Inc.(以下、UNBOUND)の全株式を取得し、完全子会社化したことを発表しました。あわせて、UNBOUNDが開発する作品の販売をSHIFT UPが担う「パブリッシングパートナーシップ」の締結も明らかにされています。
UNBOUNDは、「バイオハザード」シリーズの誕生に深く関わり、「デビル メイ クライ」や「サイコブレイク」などのヒット作を世に送り出してきた三上真司氏が、2023年に設立したスタジオです。現在、約50名の精鋭クリエイターが集結し、次世代のゲーム市場を見据えたオリジナルIPの開発に取り組んでいます。
「現場主義」が生んだクリエイター同士の共鳴
今回の提携の核心にあるのは、SHIFT UPのCEOであるキム・ヒョンテ氏と、UNBOUNDのCEOである三上真司氏という、二人の「現役クリエイター」による深い信頼関係です。
三上氏は今回の提携にあたり、キム氏について「SHIFT UPのキムさんは何よりもクリエイターであり、今も現場で一生懸命にゲームを作られている」と評しました。三上氏自身、キャリアの集大成として「久々に現場にどっぷりと入り、大きめのゲームを頑張って作るつもりだ」と語っており、経営者でありながら制作の最前線に立つ二人の波長が、かつてないほど高いレベルで一致したことが、このパートナーシップの決め手となりました。
三上氏はさらに、「これまでのキャリアを通じて、これほど見ている方向が近く、波長が合う出会いはなかった。自分の仕事人生が続く限りは、一緒に仕事をしたい」とまで述べており、今回の統合が極めて運命的なものであることを示唆しています。
「傑作」を生むための自由なスタジオ文化
UNBOUNDの内部には、三上氏の「クリエイターにとってベストな環境を作りたい」という哲学が色濃く反映されています。スタジオの最大の特徴は、徹底した「フラットな環境」と「自由な発想」の尊重にあります。
三上氏は代表という立場でありながら個室を持たず、一般スタッフと同じデスクで日常的に作業を共にしています。スタッフからは「三上さんがすぐそばにいるので、いつでも相談できる安心感がある」「客観的な視点で常に見ていてくれる」という声が上がっています。また、会社の圧力や不要なルールを極力排除し、「面白いアイデアがあれば、誰でもその場で提案し、すぐに試せる」という文化を醸成しています。
こうした自由な空気感は、三上氏自身の「いじられてなんぼ」という親しみやすい人柄にも支えられています。三上氏は最新のトレンドや話題のゲームを常に研究し、若い世代と同じ目線で議論することを好みます。こうした「自由」と「規律」が同居する現場から、世界を驚かせる「傑作」が生み出されようとしています。
「AAA品質・AA規模」で描かれる完全新規IP
現在UNBOUNDがUnreal Engine 5を用いて開発している新作は、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PCをターゲットとした完全新規IPです。このプロジェクトは、「AAA品質でありながらAAコンテンツ規模」という独自のアプローチを採用しています。
これは、膨大な開発費と人員を投入する従来の大型タイトルとは一線を画し、最高峰のグラフィックとプレイ体験を維持しながらも、特定のコンセプトや世界観への没入感を極限まで高める戦略です。公開されたビデオでは、廃墟の空に浮かぶ巨大な怪物の姿など、三上氏が得意とするサバイバルホラーの系譜を継ぐ衝撃的なビジュアルが確認されており、ファンの期待を煽っています。
キム・ヒョンテ氏もまた、「三上氏自身の魅力を存分に引き出せるタイトルになるよう、全力でサポートしたい」と述べ、開発現場への深い関与に意欲を燃やしています。
目指すはグローバル・パブリッシャー
SHIFT UPにとって、今回の買収は「開発会社」から「グローバル・パブリッシャー」へと飛躍するための歴史的な一歩です。「勝利の女神:NIKKE」や「ステラーブレイド」で証明した圧倒的な開発力に、三上氏という世界的なブランドとUNBOUNDの経験豊富な人材が加わることで、同社の競争力は飛躍的に高まりました。
キム氏は、「優れた作品は過度な宣伝をせずとも価値が伝わる」という信念を抱いています。UNBOUNDが「実験的な小規模タイトル」と「大型の旗艦タイトル」を並行して開発する体制を整える中で、SHIFT UPはその成果を世界中のユーザーに届けるためのサービス能力を構築していきます。

日韓の境界を越え、純粋に「良いゲームを作る」という情熱だけで結ばれたこの提携は、ビジネス主導の買収が目立つ近年のゲーム業界において、極めて稀有で希望に満ちた事例といえるでしょう。両氏が誓った「傑作」がベールを脱ぐその日まで、世界中のプレイヤーは期待を胸に続報を待つことになりそうです。
情報元:Shiftup公式サイト


