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Bungieが「Destiny 2」開発終了発表 ― 次作は白紙、大規模人員削減を計画か

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ソニー傘下のBungieが「Destiny 2」のコンテンツ開発を2026年6月で終了すると発表しました。現時点で「Destiny 3」の制作予定はなく、今後は新作「Marathon」へ注力する方針です。相次ぐ人員削減やプロジェクト中止など、名門スタジオが直面する厳しい経営再建の行方は、果たしてどうなるのでしょうか?

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の子会社であるゲーム開発スタジオ、Bungie(バンジー)が、長年運営を続けてきたオンラインFPS「Destiny 2」の開発を終了し、それに伴う大規模な人員削減を検討していることが明らかになりました。複数の関係者からの情報として、Bloombergなどが報じています。

同スタジオは、2026年6月9日に配信予定のアップデートを最後に、新規コンテンツの追加を伴う「ライブサービス」を終了する方針です。なお、サーバー自体はオンラインで維持され、既存のコンテンツは引き続きプレイ可能な状態が保たれる見通しですが、開発チームを移行させるための新規プロジェクトが確定していないことから、スタジオ内ではさらなる雇用調整への懸念が広がっています。

「Destiny 2」終了と次作未定の現状

Bungieは公式ブログにおいて、「Destiny 2」の最終章となる大型拡張コンテンツ「The Final Shape(最終形態)」を経て、物語がひとつの区切りを迎えたことを説明しました。6月のアップデートは、長年プレイを続けてきたユーザーへの「ラブレター」として位置づけられており、過去の人気モードの復活や物語の締めくくりが含まれる予定です。なお、同スタジオは「Destiny 2」をオフラインにする予定はなく、新規・既存プレイヤーがアクセスできる状態を継続するとしています。

ファンが期待していた次世代タイトル「Destiny 3」については、内部情報によれば現在Bungie内に開発ラインは存在せず、制作開始の承認(グリーンライト)も下りていない状況です。これは、2025年後半に一部のリーカーが「次作はすでに初期開発段階にある」と主張していた情報を否定するものでもあります。

スタジオ側は、今後「Destiny」の世界観を活かした新たなプロジェクトの構想(インキュベーション)を開始するとしていますが、現時点では具体的な計画や予算は確定していません。厳しい市場環境や親会社であるソニーのコスト削減方針もあり、これらの新プロジェクトが実際に進行する保証はない状況です。

加速する人員削減と深刻な経営不安

今回の開発終了に伴い、Bungieでは「相当数」の人員削減が計画されていると伝えられています。同スタジオはこれまでにも、2023年10月に約100名、2024年7月には全従業員の約17%にあたる220名の解雇を実施してきました。さらに155名はソニー本体へと転籍しており、かつて約1,200名を擁した従業員数は現在約850名程度まで減少しています。前CEOのピート・パーソンズは過去に「スタジオの拡大方針が過度に野心的だった」と認めており、同氏は2025年8月に退任。後任としてジャスティン・トルーマンが新CEOに就任しています。

経営悪化の一因として、高い運営コストが挙げられます。ワシントン州ベルビューに拠点を置く同スタジオは、専門性の高いエンジニアへの高額な報酬や長期在籍スタッフの維持費により、ソニー傘下の中でも特に運営費のかさむスタジオとされています。

また、Bungieはかつて、Destinyの世界観を舞台にした新作「Payback」を開発していましたが、このプロジェクトもすでにキャンセルされています。これは、フランチャイズの将来設計が繰り返し白紙に戻されてきたことを示す一例です。

2022年にソニーが36億ドル(約5,400億円)という巨額でBungieを買収した際、その企業価値に対する期待は極めて高いものでした。しかし、買収からわずか数年で、買収総額の約4分の1に相当する約7億6,500万ドル(約1,148億円)の減損損失を計上。これは買収当時に見込まれた収益性と、ライブサービス市場の飽和という現実との間に深刻な乖離が生じていることを、改めて数字として浮き彫りにしています。

新作「Marathon」へのリソース集約

「Destiny 2」から移管されたリソースの多くは、現在、新作の脱出型シューター(エクストラクションシューター)「Marathon(マラソン)」に充てられています。同作は2026年3月にリリースされましたが、批評家からは概ね好評を得たものの、当初の販売予測を下回る結果となっています。

Bungieは「Marathon」のプレイヤー層を拡大するため、競争性の高いPvP主体の設計から、近年の市場トレンドを意識したPvEモードの導入へと舵を切っています。これは単なる機能追加ではなく、変化の激しいユーザー嗜好に適応するための必死の軌道修正と言えます。スタジオの再建が、この「Marathon」を長期的な収益源として定着させられるかどうかにかかっている状況です。

開発者たちの回想:10年の歴史と誇り

「Destiny 2」の運営終了というニュースを受け、シリーズを支えてきた開発者たちから惜別の声が上がっています。

2020年から2024年までゲームディレクターを務めたジョー・ブラックバーン氏は、「この世界で働けたことは、一生かかっても返しきれないほどの光栄だ。Destiny 2は私のアイデンティティの核となる記憶を形作った」とSNSに投稿しています。元プロダクションディレクターのカタリナ・マセド氏も「このコミュニティの一員であったことを誇りに思う。その一翼を担えたことは、キャリア最大の名誉だ」と語っています。

プレイヤーコミュニティにとっても、本シリーズは単なるゲーム以上の存在でした。2023年にザヴァラ司令官の声優を務めるランス・レディック氏が急逝した際、タワー(ゲーム内のロビーエリア)には多くのプレイヤーが集まり、ザヴァラの傍らで膝をついたり、敬礼を捧げたりする姿がサーバーをまたいで見られたといいます。ランス・レディック氏は声優であると同時に、自身もDestinyのプレイヤーであったことが知られており、このエピソードはコミュニティの結束の深さを象徴するものとして語り継がれています。

ライブサービス事業が直面する構造的限界

Bungieが直面している苦境は、同スタジオ固有の問題にとどまらず、ライブサービス型ゲームビジネスの構造的な課題を示しています。

Destinyは2014年のローンチ時に5億ドル(約750億円)以上の収益を上げ、「共有世界(Shared World)シューター」というジャンルを切り拓いたタイトルでした。以来10年以上にわたりユーザーとの関係を積み重ねてきたシリーズを縮小・終了する判断は、ブランド価値とコミュニティの維持という観点から容易なものではありません。

同時に、ライブサービスモデルの持続可能性にも限界が生じました。プレイヤー数は「The Final Shape」以降大幅に減少しており、直近のスター・ウォーズコラボアップデートの同接数は同拡張パックの水準を大きく下回ったとされています。新作への大規模投資を正当化するには、現状のフランチャイズの勢いは十分とは言えない状況です。

新CEO下でのBungie再建と焦点

Bungieはジャスティン・トルーマン新CEOの下で組織の再構築を進めています。「Destiny 2」という長期プロジェクトに区切りをつけ、リソースを「Marathon」と新規プロジェクトの模索に振り向ける判断は、スタジオの存続を見据えた現実的な選択と言えます。

6月9日の最終アップデートがどのような形でシリーズを締めくくるのか、そして「Marathon」が長期的な収益基盤として機能するかどうかが、今後のBungieの行方を左右する重要な分岐点となります。

情報元:BloombergPCGamer

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