
ユニバーサル・ピクチャーズが、セガの人気アーケードゲーム「アウトラン」の実写映画化プロジェクトを始動しました。米メディアによると、監督にはマイケル・ベイ、プロデューサーには若手実力派女優のシドニー・スウィーニーが起用されます。セガからも中原徹氏らが加わり、80年代を彩った名作ドライブゲームの新たな展開に注目が集まります。
「アウトラン」実写映画化がユニバーサルで始動
米メディアDeadlineの独占報道により、セガの人気アーケードゲーム「アウトラン」の実写映画化プロジェクトが、ユニバーサル・ピクチャーズで進行中であることが明らかになりました。このプロジェクトはまだ開発の初期段階であり、公開時期や具体的なキャストなどの詳細は、今後の発表が待たれます。
「アウトラン」は、1986年にセガの鈴木裕氏がアーケード向けに発表した、革命的なドライブ体感ゲームです。赤いスポーツカー(※一般にフェラーリ・テスタロッサがモデルとされる)の助手席にパートナーを乗せ、分岐していくルートを選択しながらゴールを目指すというゲーム内容は、当時のレースゲームとしては非常に斬新でした。プレイヤーの操作に合わせて動く大型筐体の採用も、その画期性を高める要因となりました。
美しいシーサイドの風景や、気分に合わせて選べる心躍るBGMと共に楽しむ爽快なドライブ体験は、世界的な大ヒットを記録。特にその音楽性は高く評価され、後のゲーム音楽に大きな影響を与えることになりました。
本作は、単に速さを競うだけでなく「ドライブそのものの楽しさ」を追求した点で新たな地平を切り開きました。その後、家庭用ゲーム機への移植や多数の続編もリリースされ、現在に至るまでセガを代表する人気作品の一つとして、根強い人気を誇る名作となっています。
本作の監督には、「トランスフォーマー」シリーズや「アルマゲドン」などの大作で知られるマイケル・ベイが就任。ベイ監督は、自身の製作会社プラチナム・デューンズをパートナーのブラッド・フラーと共に率いており、本作ではプロデューサーも兼任します。同社はユニバーサルとファーストルック契約(企画を優先的に検討できる契約)を結んでおり、近年も活発に製作活動を行っています。
プロデューサーには、現在ハリウッドで注目を集める若手俳優の一人、シドニー・スウィーニーが名を連ねます。彼女は俳優として活躍する傍ら、近年はプロデューサーとしても活動の幅を広げており、自身が主演したホラー映画「Immaculate」(原題)などを手掛けています。本作「アウトラン」には、現時点でプロデューサーとして参加することが報じられています。
脚本はジェイソン・ロスウェルが担当します。ベイ監督が得意とするダイナミックなアクション演出や視覚効果が、「アウトラン」ならではのスピード感や爽快感をどのようにスクリーンで表現するのか、期待が高まっています。
ゲーム原作映画の市場拡大とユニバーサルの戦略
近年、ビデオゲームを原作とした映像作品のヒットが相次いでいます。「The Last of Us」のドラマシリーズや、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」、「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(FNaF)などの成功は記憶に新しいところです。
中でもユニバーサルは、この市場をリードする存在と言えます。同社はゲームIP(知的財産)の映像化で確かな実績を残しています。
セガも全面協力!トランスメディア戦略の一環か
本プロジェクトには、セガからも重要なスタッフが参加します。「ソニック・ザ・ムービー」シリーズなどの映像化に携わる中原徹氏がプロデューサーとして加わり、セガ代表取締役社長COOの内海州史氏が、製作総指揮として名を連ねています。
セガは近年、「ソニック」シリーズの成功を受け、自社IPの映像化を積極的に進めています。特に同社が力を入れているのが「トランスメディア戦略」です。これは、「ソニック」をはじめ、「ゴールデンアックス」、「SHINOBI」、「ベアナックル」、「龍が如く」といった主要IPにおいて、ゲーム本編の展開と映像化などのメディアミックスを連携させる戦略です。
今回の「アウトラン」実写映画化も、この戦略の一環である可能性が考えられます。現時点では推測の域を出ませんが、「アウトラン」という人気クラシックIPの映像化を通じて新たなファン層を開拓するとともに、「アウトラン」シリーズ本編の続編やリブートなど、新たな展開に繋がることも期待されるでしょう。
ストーリーは未定、原作要素とスタッフへの期待
現時点で、映画の具体的なストーリーや、原作ゲームの特徴である分岐コース、タイムアタック、BGM選択といった要素がどのように盛り込まれるかは発表されていません。特に、原作の象徴的なBGMが映画でどのように使われるかは、ファンにとって大きな関心事でしょう。
一方で、マイケル・ベイ監督が得意とするアクション演出、シドニー・スウィーニーのプロデュース手腕、そしてセガが持つ人気IPと近年の映像化における成功実績といった要素が組み合わさることで、原作ファンから現代の映画ファンまで、幅広い観客を魅了するエンターテイメント作品が生まれることが期待されます。
ゲーム原作映画の成功は続くか?今後の続報に注目
かつてビデオゲームの映画化は、成功が難しいジャンルと見なされた時代もありましたが、近年の技術向上、原作への深いリスペクト、そして才能豊かなクリエイターたちの参加により、今やハリウッドにおける有望な鉱脈となりつつあります。
ユニバーサルによる「アウトラン」実写映画化プロジェクトは、このトレンドをさらに加速させる一作となるでしょうか。プロジェクトは現在、開発の初期段階にあり、今後の続報が待たれます。
情報元:Deadline