
カプコンはSummer Game Fest 2025にて、人気サバイバルホラーシリーズ最新作「バイオハザード レクイエム」を発表。1998年の滅菌作戦後のラクーンシティを舞台に、FBI捜査官が奇怪な殺人事件を調査する新たな恐怖が描かれます。進化したRE ENGINEによるフォトリアルなグラフィックと豊かな感情表現が、かつてない没入感をもたらします。
カプコン、「バイオハザード レクイエム」を発表
カプコンは、日本時間2025年6月7日に開催されたゲーム配信イベント「Summer Game Fest 2025」にて、人気サバイバルホラー「バイオハザード」シリーズの最新作「バイオハザード レクイエム」を発表しました。発売日は2026年2月27日で、対応プラットフォームはPlayStation 5、Xbox Series X|S、PC(Steam)です。
本作の発表は数日前から噂されており、多くのファンや業界関係者が固唾をのんで見守っていました。しかし、イベントでスクリーンに映し出されたエグゼクティブプロデューサーの竹内潤氏は、「最新作についてお話しするには、まばたき一つ分ほど、もう少しだけお時間をください」と発言。発表を期待していた視聴者を一度は落胆させます。
ところが、これは巧妙な演出でした。イベントの最後にサプライズで本作のトレーラーが公開されるという劇的な展開となり、この予期せぬ発表は世界中で大きな反響を呼びました。
舞台は「ラクーンシティ」、FBI捜査官の物語
シリーズ第9作となる本作の舞台は、かつて世界的な製薬企業アンブレラが拠点とし、1998年の〝滅菌作戦〟により封鎖され、隠蔽されていた都市「ラクーンシティ」です。公開されたトレーラーには、終末後の世界を思わせるほど荒廃したラクーンシティ警察署が登場し、惨劇の地のその後を不気味に描き出しています。
主人公は新キャラクターのFBI分析官グレース・アシュクロフトです。彼女は奇怪な変死事件の捜査中に不可解な現象に遭遇し、シリーズファンに馴染み深い舞台へと導かれます。また、オンライン専用タイトル「バイオハザード アウトブレイク」の登場人物アリッサ・アシュクロフトの娘である可能性が示唆されており、この設定が事実であれば長年のファンにとって特別な意味を持つキャラクターとなるでしょう。
本作のテーマを強く示唆するのが、「生者に恐怖を。屍者に鎮魂(レクイエム)を。」というキャッチコピーです。タイトルでもある「レクイエム」は、死者の魂を鎮めるミサ曲を指す言葉。シリーズファンにとって馴染み深い惨劇の地を舞台に、過去の悲劇に対する〝鎮魂〟が、新たな物語の重要な鍵となりそうです。




RE ENGINE進化がもたらす、かつてない没入感
本作では、カプコン独自のゲームエンジン「RE ENGINE」がさらなる進化を遂げています。その描画技術は実写と見紛うほどのクオリティに達し、キャラクターに確かな生命感を与えています。
特に、瞳の潤みや視線の揺れ、唇の微かな震えといった感情表現は飛躍的に向上。さらに、微細な毛穴や肌に浮かぶ汗の生々しい湿り気、繊細な髪の毛の質感までもがリアルに表現され、キャラクターの存在感を際立たせています。
この技術的進化は、単なる映像美に留まりません。キャラクターの感情が豊かになることで、プレイヤーは物語への没入感を深め、恐怖や絶望をより強く追体験することになります。シリーズが追求してきた息詰まる緊張感と死を乗り越える爽快感も、この圧倒的な没入感によって新たな次元へと昇華されるでしょう。
カプコンは本作について「〝レクイエム〟はプレイヤーの精神(こころ)を激しく揺り動かす」とコメントしており、テクノロジーとクリエイターの経験が融合した、かつてないゲーム体験を約束しています。




サバイバルホラー市場への影響と期待
「バイオハザード7 レジデント イービル」で主観視点(アイソレートビュー)を採用し、続く「バイオハザード ヴィレッジ」でそのゲーム性を拡張するなど、シリーズは常に革新を続けてきました。本作「バイオハザード レクイエム」もまた、サバイバルホラーというジャンル全体に大きな影響を与えるタイトルとなるでしょう。
2026年の発売に向けて、ゲームシステムやストーリーに関する続報が待たれますが、今回の発表は、シリーズ30周年の節目を前に、さらなる飛躍を遂げることを業界内外に強く印象付けました。カプコンは「2026年、サバイバルホラーの新たな紀元が始まる」と宣言しており、本作がジャンルに与える影響に大きな期待が寄せられています。
追記 : アリッサの死と「7」に隠された伏線が判明
公開されたトレーラーに登場した新主人公は「グレース・アシュクロフト」。上記でも記しましたが、彼女はスピンオフ作品「バイオハザード アウトブレイク」に登場したジャーナリスト、アリッサ・アシュクロフトの娘とみられています。
しかしトレーラーでは、アリッサが物語の開始時点ですでに亡くなっていることも示唆されました。娘のグレースは母親が最期を迎えたレンウッドホテルでの調査をためらっており、アリッサの死が物語の核心を担う重要な要素となりそうです。
アリッサの死の真相は不明ですが、熱心なファンによって、彼女の足跡が2017年発売の「バイオハザード7 レジデント イービル」に残されていたことが発見されました。
SNSでの指摘によれば、「バイオハザード7」の舞台であるベイカー邸で発見できる新聞記事の一つを、アリッサが執筆していました。記事はベイカー邸周辺の怪事件を報じたもので、「レクイエム」の物語に直接関係するものではありませんが、日付は2016年となっており、これがアリッサの公的な記録としては最後となります。
一方で、「レクイエム」の作中ではアリッサが「8年前に死亡した」と語られています。物語の舞台が現代(2024年以降)だと仮定すると時系列に矛盾が生じるため、この矛盾が巧妙な伏線なのか、あるいは新たな謎なのか、ファンの間で憶測が広がっています。
このような発見は、シリーズの連続性を重視し、細部まで作り込むカプコンの開発姿勢を示す好例と言えます。「バイオハザード レクイエム」は来年2月に発売予定であり、アシュクロフト家の物語とアリッサの死の真相がどのように明かされるのか、大きな期待が寄せられています。
情報元:TheGamer