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Arkane Studios開発者、マイクロソフトにイスラエル協力見直しを要請

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マイクロソフト傘下のゲームスタジオ「Arkane Studios」の開発者たちが、親会社に対し、イスラエルとの協力停止を求める公開書簡を発表しました。Azure軍事利用疑惑やBDS運動、Game Passへの影響、社内アクティビズムの広がりなど、テクノロジー企業の社会的責任をめぐる動きを整理します。

国連報告と開発者による要請

2025年8月13日、フランスを拠点とするArkane Studiosの開発者たちは、親会社のZeniMax、Microsoft Gaming、そしてマイクロソフト本社の経営陣宛てにオンライン書簡を公開しました。

開発者たちは、国連特別委員会がガザ地区の状況について「ジェノサイドの諸特徴と合致する」と報告した点に触れ、同社の事業活動が紛争に関与している可能性を懸念。これが企業の評判や事業に深刻な影響を及ぼす恐れがあると警告しました。

書簡では、「マイクロソフトが虐殺の共犯者になるのであれば、そこに私たちの居場所はない」とする強い表現も使われています。開発者たちは、自らの技術は「抑圧された人々を助けるために使うべきであり、破滅を後押しするものであってはならない」と述べ、倫理的責任を強調しました。

Azure軍事利用疑惑とBDS運動

書簡は、イスラエル製品の不買・投資引き揚げ・制裁を求める「BDS(ボイコット、投資引き剥がし、制裁)運動」に呼応する内容でもあります。BDS運動は、マイクロソフトのゲーム部門やGame Passを名指ししており、開発者たちはこれがファン離れやXbox事業全体への影響、さらには自らの雇用に波及する可能性を懸念しています。

開発者たちは、AP通信ガーディアン紙などの報道を引用し、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」やAIシステムがイスラエル軍に協力し、爆撃目標の特定やパレスチナ人の監視に使用されている疑いがあると指摘しました。

これに対してマイクロソフトは、公式には関与を否定しています。2025年5月の公式ブログで同社は、「社内外の調査の結果、当社の技術がガザ紛争で人々を標的にしたり危害を加えたりするために使用された証拠は見つかっていない」と発表。ただし、顧客によるソフトウェアの具体的な利用状況を完全に把握しているわけではないとし、透明性の限界も認めています。

社内アクティビズムと請願活動

今回の行動は、マイクロソフト社内で広がる従業員アクティビズムの一環とみられます。Arkane Studiosの開発者たちは、すでに社内で展開されている「No Azure for Apartheid」キャンペーンへの賛同を表明しました。

この請願は以下を求めています。

  • イスラエル軍との全契約(既存および将来の案件)の終了
  • 軍との関係性に関する透明な情報開示と独立した公開監査の実施
  • ガザにおける即時かつ恒久的な停戦支持
  • パレスチナ支持を表明する従業員の言論の自由と安全の保障

こうした社内からの要求は2025年春頃から顕著になっており、同年5月にはCEOのサティア・ナデラ氏の基調講演中に従業員が「パレスチナに自由を」と叫んで抗議する場面も報じられています。

テクノロジー企業の社会的責任と課題

Arkane Studiosは現在、マーベル作品「Blade」を開発中ですが、今回の書簡は単なる一スタジオの声明にとどまりません。巨大テクノロジー企業の従業員が、自社の技術利用と社会的影響について倫理的観点から意見を表明する動きの一例です。

クラウドやAIといった汎用性の高い技術は、意図せず紛争や人権侵害に利用される可能性を常に孕んでいます。企業は透明性と説明責任をどのように確保するのか、また従業員の懸念にどう向き合うのかが問われています。

マイクロソフトの今後の対応は、同社にとどまらず、世界のテクノロジー業界全体にとっての重要な分岐点となるでしょう。国際情勢が緊迫する中、企業の社会的責任をめぐる議論は、今後さらに活発化していくと考えられます。

情報元:Gamespot

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