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「Ghost of Yōtei」開発者解雇 ― 政治的発言と外部圧力が発端か

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PlayStation傘下のサッカーパンチで、開発者が不適切な発言を理由に解雇された。政治評論家の死を巡るSNS投稿が発端となり、外部からの組織的な圧力が解雇に影響した可能性も指摘されている。なぜ一つの投稿が組織的な抗議に発展したのか、その背景に迫る。

チャーリー・カーク氏の死去とSNS投稿

2025年9月10日、保守派の政治評論家であり、トランプ前大統領の熱心な支持者として知られるチャーリー・カーク氏(31歳)が、ユタ州の大学で銃撃され死亡しました。

この悲劇的な事件に対し、PlayStation Studiosの主要スタジオであるサッカーパンチ・プロダクションズ(Sucker Punch Productions)で「Ghost of Tsushima」および2025年10月2日に発売予定の続編「Ghost of Yōtei」のシニアアーティストを務めていたドリュー・ハリソン氏が、自身のBlueskyアカウントに「射手の名前がマリオであることを望む。そうすればルイージは兄弟の味方だとわかるからだ(I hope the shooter’s name is Mario so that Luigi knows his bro got his back)」と投稿。 この投稿は、カーク氏の死を嘲笑するものとして瞬く間に拡散され、多方面から反発を呼びました。

高まる批判と組織的圧力

投稿が注目されると、一部のオンライン活動家が反発を表明し、強い批判が相次ぎました。活動家の一人はスクリーンショットを拡散して抗議を呼びかけ、ネット上では「スタジオに抗議すべきだ」といった声が共有されました。さらに、ハリソン氏は匿名の着信や嫌がらせを受けたとSNSで報告し、個人への圧力が強まっていたことを示唆しました。

ソニーの対応と当事者の立場

事態の拡大から間もなく、ソニーは9月13日にゲームメディアへのメールで「ドリュー・ハリソンはすでに同スタジオの従業員ではない」と発表し、解雇を正式に認めました。

一方、ハリソン氏は解雇後も自身の信念を曲げず、Blueskyに「もしファシズムに立ち向かうことの代償が、10年間勤めた夢の仕事を失うことだというなら、私は100倍強く同じことをするだろう」と投稿。 自身の行動に後悔はないという強い意志を表明しました。

「Ghost of Yōtei」を取り巻く対立

今回の出来事は、同スタジオの新作「Ghost of Yōtei」が既に批判の渦中にあった時期に発生しました。前作から主人公が女性キャラクター「アツ」に変更された点や、LGBTQ+の権利擁護活動でも知られるエリカ・イシイ氏が主演声優に起用された点をめぐり、SNSやYouTube上で賛否が分かれていました。ゲーム内容とは異なる政治的要素が議論を呼び、作品の評価にも影を落としていたところに、今回の騒動が重なった形です。

他作品にも及ぶ類似事例

こうした現象はサッカーパンチに限られません。例えば、ユービーアイソフトが「アサシン クリード シャドウズ」で主人公にアフリカ系侍を採用した際も、SNS上で激しい論争や不当な批判が巻き起こりました。企業は多様性の表現を推進しながらも、一方で従業員やブランドへの攻撃からどのように防御するかという難しい課題に直面しています。

発言と企業対応の狭間で

ドリュー・ハリソン氏の解雇は、個人の不適切な発言の結果であると同時に、外部からの集中的な抗議が企業の判断を加速させた事例とも言えます。

本件は、SNS時代において開発者個人の発言が企業や作品に直結するリスクを象徴しています。また、企業は「従業員の思想信条の自由」と「社会的責任・ブランド維持」の間で判断を迫られる状況にあり、今回のソニーの迅速な対応はその一例です。

ただし、こうした対応が「圧力をかければ企業は動く」という前例を作る懸念も指摘されており、今後他のスタジオや開発者への波及も考えられます。

ゲーム業界は今、創作活動を政治的な分断や外部からの抗議の連鎖からどのように守っていけるのかという重い課題に直面しています。

情報元:KOTAKU

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