ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、J.J.エイブラムス率いるBad Robot Gamesとの提携を発表しました。マイク・ブース（「Left 4 Dead」）指揮の新作4人協力プレイシューターをPS5およびPC向けに制作・販売します。映画界の巨匠とSIEの戦略的提携の詳細と、期待される新作の展望をお伝えします。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント（SIE）が、映画監督J.J.エイブラムス氏率いるBad Robot Gamesとパートナーシップを締結しました。今回の目玉は、名作「Left 4 Dead」を手掛けたマイク・ブース氏が指揮する新作タイトルです。現在、PS5とPC向けに「4人で協力して戦うシューティングゲーム」を開発中であることが明かされました。
SIEとBad Robot Gamesが戦略的提携
2025年12月4日（現地時間）、ソニー・インタラクティブエンタテインメント（以下、SIE）は、Bad Robot Gamesとの新たなパートナーシップ契約を発表しました。この提携に基づき、SIEは同スタジオにとって初の内製オリジナルタイトルとなる新作の制作支援およびパブリッシング（販売・流通）を担当します。
本プロジェクトは、PS5およびPC向けに開発が進められている未発表タイトルであり、ジャンルは「4人協力プレイ型シューティングゲーム（CO-OPシューター）」であることが確定しています。
「L4D」生みの親マイク・ブースが開発指揮
業界内外で特に注目されるのは、本作の開発指揮をマイク・ブース（Mike Booth）氏が執っている点です。ブース氏は、Valveの大ヒット作「Left 4 Dead」のクリエイター兼リードデザイナーとして知られ、現在はBad Robot Gamesの最高クリエイティブ責任者（CCO）を務めています。
ブース氏は2021年2月に同スタジオへ参加しており、数年前からこの「傑出した協力型マルチプレイヤーシューター」の構想に取り組んできたと見られます。CO-OPシューターというジャンルを再定義した人物と、映画界のストーリーテリング技術を持つスタジオの融合が生み出す新たな体験に、大きな期待が寄せられています。
両社代表コメント：革新的な体験の創出
提携に際し、Bad Robot GamesのCEO、アナ・スイート（Anna Sweet）氏は次のように述べています。
「SIEとの提携により、我々の新規IPに命を吹き込み、その世界観に対する壮大なビジョンを実現することが可能になります。PlayStationの支援を得て、プレイヤーに真に特別で、大胆かつ革新的な体験を提供したいと考えています。マイク・ブースがクリエイティブの舵を取り、友人と共に忘れられない瞬間を生み出す協力型アドベンチャーを制作していることに、この上ない喜びを感じています」
また、SIEの2P/3Pコンテンツベンチャーおよび戦略的イニシアチブ担当バイスプレジデント、クリスチャン・スヴェンソン（Christian Svensson）氏は、同スタジオの才能を高く評価しました。
「Bad Robot Gamesに集結した才能に感銘を受けており、彼らの次回作の制作・パブリッシングを支援できることを嬉しく思います。彼らの独自のクリエイティブな視点と、あらゆるインタラクティブ・エンタテインメントにおける革新への情熱は、プレイヤーの心に深く響く体験を創出するというSIEの使命と合致しています。彼らが構築した世界をゲーマーの皆さんが体験する日が待ち遠しいです」
映画制作の強みと業界での位置づけ
Bad Robot Gamesは、テレビドラマ「LOST」や映画「スター・ウォーズ」シリーズなどを手掛けたJ.J.エイブラムス氏の制作会社Bad Robotの一部門です。「物語の遊び方を再発明する」というミッションを掲げ、ゲームにおけるイノベーションを目指して設立されました。
特筆すべきは、同社が持つ「トランスメディア（メディアミックス）」への強みです。映像制作のノウハウを持つ彼らと、SIEの販売網やハードウェア技術が組み合わさることで、従来の枠を超えたエンタテインメント体験の創出が期待されます。SI
過去の報道によれば、Bad Robot Gamesは2017年頃、Tencentとの提携により設立されました。当初は「SPYJINX」というプロジェクトを進めていましたが、モバイル向けとして開発されていた同プロジェクトは最終的にキャンセルされた模様です。今回のSIEとの提携によるPS5/PC向けタイトルは、同スタジオにとってコンソール・PC市場への本格参入となる重要なマイルストーンとなります。
PS5で進化するCO-OPの展望
現時点では、具体的なタイトル名や発売時期、世界観の詳細は伏せられています。しかし、マイク・ブース氏が2021年からチームに参画している点を踏まえると、開発はある程度進行していると推測されます。
市場需要の高い「4人協力プレイ」において、プレイヤー間の連携を促すゲームデザインがどう構築されるかが鍵となります。「Left 4 Dead」の「AI Director」のような革新的なシステムが、PS5の性能を活かしてどう進化するかが技術的な注目点です。
SIEは「詳細は後日発表する」としており、今後のState of Playなどでの続報が待たれます。映画的な物語体験と、実績あるクリエイターによる堅実なゲームプレイの融合を目指す本プロジェクト。その全貌が明らかになれば、業界内外で大きな話題になることは間違いないでしょう。
