
90年代アニメの美学がUnreal Engine 5で甦る──Kepler InteractiveとShapefarmは、Switch 2独占「Orbitals」を2026年夏に発売します。ソフト1本で2人プレイが楽しめる新機能「おすそわけ通信」が話題。新たな協力プレイのスタンダードとなるでしょうか?
パブリッシャーのKepler Interactiveと、東京・三鷹市に拠点を置くデベロッパーShapefarmは、Nintendo Switch 2(以下、Switch 2)向け新作「Orbitals(以下、オービタルズ)」を2026年夏に発売すると発表しました。
本作は90年代日本アニメ風の「レトロフューチャー」世界観を採用。Switch 2の新機能「おすそわけ通信」に対応した、非対称型協力(Co-op)パズルアドベンチャーです。
注目点は、Unreal Engine 5(UE5)を使用したビジュアル表現と、おすそわけ通信への対応です。
開発スタジオ「Shapefarm」とは?
本作を手掛けるShapefarmは、東京・武蔵野市(三鷹エリア)に拠点を構えるデベロッパーです。
設立は2010年と意外にも古く、これまで主に大手ゲームスタジオやハリウッド作品のコンセプトアート、R&D(研究開発)などのハイエンドな制作支援を裏方として支えてきました。2014年にはスタジオ内から派生したチーム「Friend & Foe」がアドベンチャーゲーム「Vane」を開発するなど、一風変わった芸術性には定評があります。
クリエイティブ・ディレクターのMarcos Ramos氏を中心としたチームは、日本に拠点を置きながらもスウェーデンなど多国籍なスタッフで構成されており、「日本のビジュアル美学」と「欧米のゲームデザイン」を融合させる独自文化を持っています。また、ShapefarmはパブリッシャーであるKepler Interactiveの立ち上げ(2021年)に参加した「創設7スタジオ」の一つでもあります。
UE5が再現する90年代アニメ表現
2025年12月の「The Game Awards」で初公開されたトレイラーは、「カウボーイビバップ」「新世紀エヴァンゲリオン」「鉄腕アトム」といった90年代アニメを思わせるセルシェーディング技術(3Dモデルを手描きアニメ風に見せる表現手法)が特徴です。
本作が目指したのは、単なるアニメ調の絵作りだけではありません。80~90年代のアニメ作品が持っていた、手描きのセル画特有の「アナログな温かみ」や、使い古された機械などが醸し出す「生活感のある空気」までもが3D空間で再現されています。近年主流のフォトリアリスティックなAAAタイトルとは異なる、独自のアプローチといえます。
YouTubeのトレーラーには、「アニメスタイルを3Dで再現」「アニメの中に入り込んだ感覚」といったコメントが寄せられており、アートスタイルへの関心の高さがうかがえます。
カットシーン制作には、アニメーション業界で実績のある「Studio Massket」が参加。同スタジオは「サイバーパンク エッジランナーズ」関連作品や「ONE PIECE」などで制作協力を行った経験があります。ゲームプレイ部分とシームレスに繋がる手描きのアニメーションカットシーンは、物語への没入感を高める重要な要素となっています。
2人で紡ぐ協力プレイ体験
本作の主人公は宇宙ステーションに暮らす「マキ」と「オムラ」の二人。「コズミック・ストーム」による居住区の危機を解決するため、銀河を探検します。最大の特徴は2人協力プレイ専用の設計です。
ゲームプレイの中核となるのは、3つの主要なツールです。足場を作ったり移動経路を確保したりする「スクラップフック」、遠隔のスイッチ操作や冷却を行う「リキッドランチャー」、そして障害物の破壊や熱伝導に用いる「ビームキャノン」が登場します。
重要なのは、これらのツールを単独で使うのではなく、パートナーのツールと掛け合わせることで予期せぬ効果(創発的なギミック)を生み出す点です。例えば、一方が放った液体をもう一方が凍らせて足場にするなど、プレイヤー間の試行錯誤とコミュニケーションが攻略の鍵となります。
「おすそわけ通信」で広がる新しい遊び方
本作はSwitch 2の新機能「おすそわけ通信(GameShare)」に対応します。
この機能を使えば、ソフトを1本購入するだけで、もう1人のプレイヤーと全編を一緒にプレイできます。(※対応ハード:Switch 2、または互換性のあるNintendo Switchデバイス)
類似の「フレンズパス」方式を採用した「It Takes Two」は累計2000万本を販売し、同ジャンルでの成功例となっています。この方式により、追加購入なしで協力プレイが可能な点が特徴です。
なお、「おすそわけ通信」は本作独自の機能ではなく、「スーパーマリオオデッセイ」や「ゼルダ無双 厄災の黙示録」といったSwitch 2主要タイトルでも採用が進んでいるプラットフォーム標準の機能です。これは任天堂が掲げる「ファミリー・フレンドリー」な方針を体現するものであり、経済的な負担を減らすことで、より多くのユーザーに協力プレイの楽しさを提供する狙いがあります。
対応機能には、新型「Joy-Con 2」による画面分割プレイ、おすそわけ通信による別デバイス間通信、本体内蔵マイクと「GameChat」によるボイスチャットが含まれます。
業界の注目と今後の展望
「The Game Awards」での初公開時、海外メディアは本作を「ジブリやサンライズの職人がダフト・パンクのビデオを制作したかのようだ」と評しました。2026年2月の「Nintendo Switch 2 Partner Showcase」でも紹介されました。
日本語・英語のフルボイスにも対応しており、「一度買えば、誰とでも遊べる(Buy Once, Play Together)」のコンセプトを採用しています。
2026年夏の発売を控え、続報が注目されています。
情報元:Polygon

