
2025年に公式サイトを公開した三上真司氏の新スタジオ「アンバウンド株式会社」。最高峰の品質を保ちつつ、密度を重視する「高品質×中規模」という独自アプローチで、PS5・Xbox・PC向けの完全オリジナル新作を開発中。経験豊富なベテランクリエイター陣がUE5を駆使して挑む次世代タイトルの全容とは?
新スタジオ「アンバウンド」の設立
世界的な人気を誇るホラーゲーム『バイオハザード』シリーズの生みの親として知られるゲームクリエイター、三上真司氏の新たな動向が明らかになりました。三上氏が代表取締役を務める新スタジオ「アンバウンド株式会社(Unbound Games)」の公式サイトが公開され、同社が現在、家庭用ゲーム機およびPC向けに完全オリジナルの新作ゲームを開発中であることが判明しました。
三上氏は2023年5月にTango Gameworksを退社後、個人の事業会社として「株式会社カムイ」を設立していましたが、現在は実制作の母体として、旧知の仲間たちと共にこの「アンバウンド」を本格始動させています。
スタジオ設立の背景
公式ウェブサイトの情報によると、アンバウンド株式会社は2022年11月に設立され、2023年5月から事業を開始しています。現在は約50名のスタッフが在籍しており、将来的には150名規模のスタジオへと拡大する目標を掲げています。
同社は「完全独立のゲーム開発会社」であることを強調しており、外部の制約を受けにくい自由な環境で、品質を極めた家庭用ゲーム機向けの新作ゲームを制作することを目的としています。「直感をアイデアに。」というスローガンを掲げ、クリエイターが自由な発想で妥協のないモノづくりに没頭できる環境づくりに注力しています。
新作プロジェクトの概要と開発アプローチ
現在、アンバウンド株式会社では、最新のゲーム開発ツールである「Unreal Engine 5(UE5)」を活用し、PlayStation 5、Xbox、そしてPC向けに完全オリジナルの新作ゲームを開発しています。
同社でプロデューサーを務める木村雅人氏は、カプコンにてエフェクトデザイナーとしてキャリアをスタート。クローバースタジオでのADやAPを経て、イギリス系ゲーム会社の日本開発スタジオ立ち上げに参画し、『エルシャダイ』のプロデューサーを務めました。その後、三上真司氏と共にTango Gameworksを設立。『サイコブレイク』シリーズや『Ghostwire: Tokyo』、『Hi-Fi RUSH』など、多くのプロジェクトを三上氏と共に歩んできた右腕とも言えるベテランです。木村氏はウェブメディアのインタビューにて、アンバウンドの第一作目について「高い品質を求めるゲームファンに向けたAAAタイトルである」と述べています。
一方で、木村氏は現代のゲーム開発における課題にも冷静な視点を向けています。近年の海外超大作タイトルでは、一般的に数百億円から数千億円規模の予算と数百人の人員を投じ、5年から7年という長期間をかけて制作されるケースが増えています。日本国内でこれと全く同じ規模の開発を行うことは現実的に難しい側面があります。
そこでアンバウンド株式会社は、「最高峰の品質(AAAクオリティ)を保ちつつ、規模感は中規模(AAコンテンツ)に抑える」という独自のアプローチを採用しています。無駄に広大な世界を作るのではなく、プレイヤーがその世界に完全に没入でき、濃密で豊かな体験を得られるようなゲーム設計を目指しています。さらに将来的には、大規模な作品だけでなく、より小規模で実験的なタイトルも並行して開発していく意向を示しています。
熟練クリエイター陣の集結
アンバウンドの大きな強みは、数々の名作に携わってきた経験豊富なクリエイター陣が集結している点です。公式サイトに掲載された実績リストには、『バイオハザード』や『サイレントヒル』といったホラーの金字塔から、『ワンダと巨像』『デビルメイクライ』『大神』、さらには『Hi-Fi RUSH』や『エルシャダイ』といった個性的なタイトルが並んでいます。これらの作品に実際に携わったスタッフが在籍していることを示しており、新作への期待を高めています。
また、スタジオの開発スタイルとして「試行錯誤を歓迎する文化」が強調されています。木村氏は公式サイト上で、新しいものを生み出すためには「作っては壊し、試しては修正する」という工程の繰り返しが不可欠であると語っています(原文英語、意訳)。計画通りに進まないことや、内容が絶えず変化することをネガティブに捉えるのではなく、むしろ「活気のある柔軟な開発スタイル」として前向きに評価しています。失敗を恐れずに挑戦できる環境こそが、斬新なアイデアを生み出す土壌となっています。
三上氏が描く集大成
三上真司氏は2020年の段階で、「引退する前にもう一度、自らがディレクターを務めるゲームプロジェクトを手がけたい」という意欲を公言していました。代表取締役として自ら率いるアンバウンドにおけるプロジェクトは、その言葉が具現化したものと見ることができます。
豊富な経験を持つ三上氏と、彼に共鳴して集まった木村氏らトップクラスのクリエイターたち。彼らが最新技術を駆使して世に送り出す作品が、ゲーム業界における独立系スタジオの新たな成功モデルとなりうるか。アンバウンド株式会社の今後の展開は、業界全体にとっても示唆に富むものとなるでしょう。
情報元:VGC・アンバウンド株式会社 公式サイト

