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SIEによるDark Outlaw Games閉鎖とモバイル事業縮小が示すもの

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ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、設立1年のDark Outlaw Gamesを閉鎖。元CoD開発者が率いた期待のプロジェクトは、なぜ日の目を見ることなく終わったのでしょうか。同社が断行するモバイル事業の縮小や人員削減、PlayStation Studiosが進める新たな戦略転換とは?

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、傘下スタジオ「Dark Outlaw Games」を閉鎖したことが明らかになりました。この決定は、同社が進める広範な組織再編の一環であり、モバイルゲーム開発部門の縮小や欧米拠点での人員削減も同時に実施されています。

SIEは今回の措置を「長期的な持続可能性を支えるための戦略的調整」と説明しています。

「Dark Outlaw Games」設立から閉鎖まで

Dark Outlaw Gamesは、2025年3月、PlayStationのインキュベーションスタジオとして設立されました。スタジオを率いたのは、Treyarchでのキャリアを持ち、「Call of Duty: Black Ops」シリーズ(第1〜4作)の主力開発者として知られるジェイソン・ブランデル氏です。

ブランデル氏は2022年末に共同創業者を務めていたDeviation Gamesを離れ、SIEに参画しました(Deviation Gamesは2024年3月に閉鎖)。SIEはDeviationでの経緯を経てなおブランデル氏の構想を支持し、新たにDark Outlaw Gamesを立ち上げましたが、設立から約1年が経過した2026年3月、開発初期段階のままプロジェクトの閉鎖が決定されました。

なお、SIEの採用ページにおいて、同スタジオは「少数精鋭の効率的な体制で、次世代の画期的なAAAオリジナルIPを制作する」ことを目標に掲げていました。

非ライブサービスだった未発表プロジェクト

閉鎖発表の翌日、ブランデル氏と元ジュニアゲームデザイナーのJCbackfire氏はTwitchのライブ配信にともに出演し、開発中だったプロジェクトや閉鎖の経緯について心境を明かしました。

JCbackfire氏は「開発していたプロジェクトを愛していた。ライブサービス型ゲームではなかったことが、個人的には本当に嬉しかった。もっと詳しく話せればよかったのだが」と述べ、近年の業界トレンドとは異なる direction の作品を開発していたことを示唆しました。

ブランデル氏も「ファンには間違いなく喜んでもらえる、素晴らしいゲームを作っていた」と語った上で、閉鎖の原因はスタジオの実力や作品の質ではなく、SIE側の方針転換にあると強調しました。「それは断言できるし、実際にそう告げられた。時代が変わり、注力すべきポイントが変わっただけだ。プレイヤーならきっと興奮してくれたはずだ」と述べ、最後に「最高のゲームとは、まだ誰もプレイしていないゲームのことだ(The best game is the one you’ve never played)」と言い添えました。

SIEに対しては「素晴らしいパートナーだった」と述べ、恨みは全くないとしています。一方で「(閉鎖の知らせは)本当につらかった」とも正直に打ち明け、配信中、両名がその心境を「it f****** sucked(本当に最悪だった)」という言葉で表現する場面もありました。

JCbackfire氏は、ゲーム開発に携わってからの5年間、関わったプロジェクトがすべて世に出ることなく終了したと明かし、業界全体の不安定さを改めて浮き彫りにしました。

加速する組織再編

今回のDark Outlaw Games閉鎖は、PS5発売以降に繰り返されてきたスタジオ閉鎖の流れの中で起きています。以下は、2020年以降にPlayStation Studiosが閉鎖した主なスタジオの一覧です。

閉鎖年スタジオ名
2020Manchester Studio
2021Japan Studio
2023PixelOpus
2024London Studio
2024Firewalk Games
2024Neon Koi
2026Bluepoint Games
2026Dark Outlaw Games

わずか数年でこれほど多くの拠点が整理された事実は、SIEによる抜本的な方針変更を物語っています。2026年だけを見ても、高品質なリメイク作品で評価されたBluepointに続き、Dark Outlawが2スタジオ目の閉鎖となりました。Firewalk Gamesについては、2024年8月のライブサービスシューター「Concord」の失敗が直接の引き金となっており、ライブサービス型タイトルへの過剰投資がPS5世代のPlayStationに残した傷跡は小さくありません。

モバイル事業の縮小と人員削減

今回の再編はDark Outlaw Gamesにとどまりません。SIEは米国や欧州の複数のチームで人員削減を実施しており、影響を受けた人数は約50名にのぼると報じられています。

また、SIEはモバイルゲーム市場への投資を大幅に縮小する方針を固めた模様です。同社はこれまで、IT大手出身の幹部を積極的に登用しスマートフォン向けタイトルの開発に注力してきましたが、想定した成果には至らなかったようです。今後は「MLB The Show Mobile」や「Horizon Steel Frontiers」といった既存タイトルの開発・サポートは継続するものの、新規モバイルゲームの開発からは事実上、撤退する見込みです。なお、Guerrilla Gamesと共同で進めているオンライン版「Horizon」のプロジェクトは方針変更の対象外とされており、開発は継続されます。

戦略転換の行方

今回の一連の動きは、PlayStationがライブサービス型ゲームへの傾倒を見直し、従来強みとしてきた大型独占タイトルの開発サイクルへ軸足を戻そうとしているという観測を強めています。

とはいえ、実績あるクリエイターの率いるスタジオが製品を世に出す前に閉鎖されるという現実は、開発現場の不安定さを改めて浮き彫りにしました。2026年は、SIEにとって次世代の開発方針を再定義する重要な局面となるでしょう。

Dark Outlaw Gamesの元スタッフが、それぞれの新たな場で、培った経験と技術を存分に発揮できることを期待します。

情報元:EurogamerKotaku

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