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ネクソン「The First Descendant」の苦境を公表 ― 今夏の構造改革で再起へ

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華々しいデビューを飾った「The First Descendant」はなぜ失速したのか?ネクソンCEOは、単なる修正では解決できない「構造的な欠陥」を指摘。2026年夏の刷新が最後の試練となるのか。損切りも辞さない構えを見せる経営陣の判断と、ライブサービス型ゲーム運営の厳しさを浮き彫りにします。

韓国のゲーム大手ネクソンは、2026年3月31日に開催された投資家向け説明会「キャピタル・マーケッツ・ブリーフィング(CMB)」において、主要タイトルの現状報告と中長期的な経営戦略を発表しました。

今回の説明会では、2026年2月にエグゼクティブ・チェアマンに就任したパトリック・ソーダーランド氏が、同社の現状について率直な評価を提示。これを受ける形で、代表取締役社長兼CEOのイ・ジョンホン氏が、直近のパフォーマンスにおける「成功と失敗」を明示しました。その中で、2024年に大きな期待とともにリリースされた三人称視点ルーターシューター「The First Descendant(ザ・ファースト・ディセンダント)」について、経営陣から極めて厳しい自己評価が下されました。

「熱狂」から「離脱」への軌跡

Unreal Engine 5を駆使した次世代のグラフィックで注目を集めた本作は、2024年6月30日の正式リリース直後、わずか1週間で1,000万人のプレイヤーを獲得しました。PC向けプラットフォームのSteamでは、同年7月に同時接続者数が最大264,860人を記録するなど、ライブサービス型ゲーム(継続的な運営を前提としたゲーム)として理想的なスタートを切りました。

しかし、その後のユーザー維持には苦戦を強いられています。SteamDBによれば、リリースから3か月後には同時接続者数が約25,000人まで急減し、2026年現在ではピーク時でも5,000人から10,000人程度で推移しています。ただし、これらはあくまで公開されているPC版の数値であり、PS5やXbox Series X|Sといったコンソールプラットフォームでは、PC版よりも大きなユーザーベースが維持されている可能性も残されています。

CEOのイ氏は、本作を「初動は強力だったが、維持力がなかった(Strong launch, no staying power)」と総括しました。同様の課題を抱える「アラド戦記モバイル(Dungeon & Fighter Mobile)」を例に挙げ、プレイヤーを長期的に引き留めるための「定着メカニズム」が十分に機能していなかったことを認めています。

パッチでは修正不能な「構造的課題」

経営陣の分析において特に深刻なのは、現在の停滞が単なる調整不足ではなく、ゲームの根幹に関わる問題であるという認識です。イ氏は、プレゼンテーション資料の「What Did Not Work(機能しなかったもの)」という項目に本作を分類し、「これらはパッチ(修正プログラム)で解決できる設計上の問題ではなく、ゲームメカニクスの構造的な変更が必要である」と断言しました。

批評面でも課題は浮き彫りになっています。PC版のMetacriticスコアは57点という平凡な評価に留まっており、PS5版の個別レビューにおいても、WebメディアのPush Squareが3/10という極めて厳しいスコアを付けるなど、ゲーム内容への批判が目立ちます。具体的には、過度な反復作業(グラインド)を強いるミッション設計や、進行の停滞感、課金誘導の強さなどが、多くのプレイヤーの離脱を招いた要因と分析されています。

また、話題性を狙ったキャラクターの露出度の高い衣装や特殊な物理演算、2025年に実施された「NieR: Automata」「ベヨネッタ(Bayonetta)」とのコラボレーションといった施策も、本質的なゲームプレイの魅力を補うには至りませんでした。

加えて、2025年8月には広告運営上の問題も表面化しました。TikTokのクリエイター支援プログラムを通じて投稿された広告において、第三者のクリエイターが著名ストリーマーであるDanieltheDemon氏の肖像と音声をAIで無断加工して使用していたことが判明。ネクソン側の広告審査体制の不備が批判を浴び、ブランドイメージの低下を招く一因となりました。

2026年夏の構造改革と今後の展望

現在ネクソンは、本作のコア体験を根本から再構築する大規模アップデート「シーズン4」の準備を進めています。当初の予定を延期し、2026年夏に配信が設定されたこのアップデートは、事実上の「再開発」に近い位置づけになると見られています。

同社には、一時的に低迷したタイトルを粘り強く支援し、再興させた実績があります。今回のCMBで登壇したソーダーランド氏がCEOを兼任する「Embark Studios」の開発タイトル「The Finals」は、リリース後の落ち込みから最新アップデートでプレイヤー数を回復させています。また、同スタジオの新作「ARC Raiders」への期待も高く、同社のライブサービス運営のノウハウは依然として業界内で注目されています。

しかし、イ・ジョンホンCEOの今回の発言は、裏を返せば「シーズン4」が成果を出せなかった場合、プロジェクトの継続について「損切り」を含めた極めてシビアな経営判断を下す準備があることを示唆していると、wccftechをはじめとする複数の海外メディアは分析しています。

「The First Descendant」が抱える「定着率」という壁を打破し、2026年夏の刷新によって再び輝きを取り戻せるのか。ネクソンの抜本的な構造改革の真価が問われています。

情報元:wccftechPushsquare

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