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フロム・ソフトウェアが貫く「創作の自主性」 ─ 株主問題と新作・映像化の全体像

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親会社KADOKAWAを巡る株主の圧力に対し、フロム・ソフトウェアはどのように「創作の自主性」を守るのか。新作アクション「The Duskbloods」のパブリッシング戦略や、1億ドル超の予算が動く「ELDEN RING」実写映画を含む大型映像プロジェクトの裏側から、スタジオが守り抜く価値の核心に迫ります。

フロム・ソフトウェアが直面する3つの転換期

株式会社フロム・ソフトウェアは、「DARK SOULS」シリーズや「ELDEN RING」に代表される高難度アクションRPG、いわゆる「ソウルライク」ジャンルの旗手として、商業的成功と批評家からの高い評価を継続的に獲得してきたスタジオです。

現在、同社を取り巻く状況は複数の局面が同時進行しています。親会社である株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)における株主と経営陣の対立、次世代プラットフォームを見据えた実験的な新規プロジェクト、および世界規模でのマルチメディア展開です。本稿では、業界関係者向けにこれら3つの観点を整理し、客観的に分析します。

KADOKAWA株主対立とフロムの「自主開発」

フロム・ソフトウェアの今後を語る上で、親会社KADOKAWAを巡る株主問題は避けられないトピックです。

香港拠点の投資ファンド「Oasis Management(オアシス・マネジメント)」は、2026年3月からKADOKAWA株の積極的な取得を進め、ソニーグループ(約10%)を上回り、現在約13.76%を保有する筆頭株主となっています。同ファンドは、KADOKAWAの夏野剛社長(CEO)の再任に反対し、経営陣の刷新を求める株主提案を行っています。

Oasis Managementは、かつて任天堂に対して「マリオを少し高くジャンプさせるために99セントを課金すべき」と提言したことで知られる、収益性を重視するアクティビスト(物言う株主)ファンドです。同ファンドは、フロム・ソフトウェアの強力な知的財産(IP)が過小評価されていると指摘し、主に以下の点を批判・要求しています。

  • 海外売上依存と利益還元の課題:「ELDEN RING」の売上の90%以上が海外市場によるものであったにもかかわらず、海外パブリッシングを外部パートナー(バンダイナムコエンターテインメント)に依存したため、KADOKAWA株主への利益還元が損なわれた。
  • セルフパブリッシング(自社販売)への移行要求:将来的に新たな大ヒット作が生まれた際、経済的価値が再び外部パートナーに流出するのを防ぐため、早期の自社販売体制確立を求める。

こうした状況を受け、日本のゲームメディア「電ファミニコゲーマー」がフロム・ソフトウェア社長の宮崎英高氏へメール取材を行いました。宮崎氏は、報道されている事実は把握しているとした上で、「詳細を把握する立場にないため踏み込んだ回答は難しい」としつつも、現在の開発環境について以下の見解を示しました。

  • 現状の開発環境への満足度:「(改善すべき点がないとは言わないが)私たちは現在、過度な干渉を受けることなく、自分たちが本当に作りたいゲームを自由に開発できる環境に満足している」と言及。
  • クリエイティブの源泉:同社がユーザーにとって価値ある作品を作り続けられた大きな源泉の一つは「こうした自由な開発環境」にあり、今後もゲーム制作に集中できる環境を維持することが何よりも重要であると表明しました。

新作プロジェクトの現状と開発動向

次に、現在進行中の開発プロジェクトと関連する動向について整理します。

Switch 2向け新作「The Duskbloods」

2025年4月に任天堂のSwitch 2向けとして発表された「The Duskbloods」は、同社がこれまで主戦場としてきたシングルプレイヤーRPGとは方向性を異にする、最大8人によるオンラインPvPvE(プレイヤー対プレイヤー対環境)形式のアクションRPGです。プレイヤーは「Bloodsworn(血の誓約者)」と呼ばれる吸血鬼的な存在の中から独自のキャラクターを選択し、対戦・協力が入り混じるマッチを戦います。2026年夏にはクローズドネットワークテスト(Switch Onlineサブスクリプション要)が予定されており、詳細は引き続き注目されています。

なお、本作はKADOKAWAの財務報告においても2026年内リリース予定として言及されており、公式の開発スケジュールは現時点で維持されています。

業界的に特筆される点の一つは、本作のIPおよびパブリッシング権をフロム・ソフトウェア自身が保有していることです。これは自社パブリッシングの一例として注目されていますが、これをもってKADOKAWA全体のセルフパブリッシング戦略が確立されたと断言するのは早計であり、引き続きその動向を注視する必要があります。

こうしたオンライン・マルチプレイヤーへの展開に対して、一部のファンからは従来型のシングルプレイヤー作品への期待が依然として高いことも確かです。これについて宮崎氏は、今回の作品はスタジオとしての表現と技術の幅を広げるための新しい挑戦であり、「伝統的なスタイルのシングルプレイヤーゲームの開発を断念したわけではない」と述べています。また、前述の取材の締めくくりとして「今後発表されるもの、あるいはまだ発表されていないタイトルも含めてご期待いただければ」と語っており、複数の未発表プロジェクトが進行中であることを示唆しています。

噂される「海賊ソウルライク」の真偽

ゲームコミュニティの一部では、フロム・ソフトウェアが海賊(パイレーツ)をテーマにした新たなソウルライク作品を開発しているとする噂が浮上しています。深海・廃船・孤島といったモチーフは同社の作風との親和性が高いとして語られていますが、現時点ではいかなる公式情報も存在しない未確認の憶測です。信頼できる一次情報が得られた段階で改めて判断する必要があります。

「エルデンリング」映画化と広がる映像展開

KADOKAWAは自社の強力なIPをゲーム以外のメディアへ展開するグローバル戦略を推進しており、フロム・ソフトウェア作品もその中心的な位置にあります。

実写映画「ELDEN RING」

映画スタジオA24・バンダイナムコフィルムワークス・DNA Filmsの共同制作による実写映画版「ELDEN RING」は、アレックス・ガーランドが脚本・監督を担当します。ガーランド監督は以前からの同作ファンであり、FromSoftwareおよびバンダイナムコに自ら企画を持ち込んだとされています。公開日は2028年3月3日(IMAX対応)と発表されており、現在英国で製作が進んでいます。

キャストにはKit Connor、Cailee Spaeny、Ben Whishaw、Tom Burke、Nick Offermanらが名を連ねており、プロデューサーとして「ELDEN RING」の世界設定を共同執筆したジョージ・R・R・マーティンも参加しています。制作費は1億ドルを超えると報じられており、A24の制作規模としては過去最大規模とされています。

アニメシリーズ「Sekiro: No Defeat」

2025年8月のgamescom Opening Night Liveにて、KADOKAWA・Crunchyroll・Qzil.la・ARCHによる「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」のアニメ化が正式発表されました。タイトルは「Sekiro: No Defeat」で、全編手描き(フル2Dアニメーション)による制作が明言されています。2026年にCrunchyrollにて独占配信予定(日本・中国・韓国・ロシア・ベラルーシを除く全世界対象)で、監督は沓名健一氏、主要キャストには浪川大輔氏(ウルフ役)、津田健次郎氏(葦名弦一郎役)らが名を連ねています。

アニメ映画「Bloodborne」

Sony Pictures EntertainmentおよびPlayStation Productionsは、2026年4月のCinemaCon 2026にてR指定のアニメ映画版「Bloodborne」を制作中であると発表しました。Lyrical Animationとの共同制作で、映画は「ゲームの残酷な精神に非常に忠実な内容になる」とSony Picturesのモーション・ピクチャー・グループ社長サンフォード・パニッチ氏が述べています。

本作でプロデューサーを務めるのが、YouTuberとしても知られるショーン・マクローリン氏(活動名:Jacksepticeye)です。著名なインフルエンサーの起用に対してはファンコミュニティ内で懐疑的な反応もありましたが、マクローリン氏はゲーム内の印(タトゥー)を入れるほどの熱烈なファンであることを明かした上で、「この仕事は商業的な利益のためではなく、原作の陰鬱でゴシックなトーン・空気感・美術設定を維持し、ファンが誇りに思えるクオリティの作品として届けるためのものだ」と述べています。

なお、本プロジェクトへのフロム・ソフトウェア自体の関与については、現時点で公式に確認されていません。

自主性とクオリティが紡ぐ同社の未来

フロム・ソフトウェアは現在、株主からの経営的な要求、実験的な新規プロジェクト、および大規模なマルチメディア展開が同時に進行するという、スタジオ史上でも稀有な局面にあります。

宮崎英高氏の発言が示す通り、現時点では開発 of 自主性は維持されていますが、KADOKAWAの株主問題は株主総会を経ても引き続き流動的な状況にあります。「The Duskbloods」の正式リリース、「Sekiro: No Defeat」の配信、「ELDEN RING」実写映画の公開と、今後数年間は同スタジオ発の情報が継続的に注目を集めることは確実です。そのすべてにおいて、「開発の自主性とクリエイティブの質」が同社の根幹にあり続けるかどうかが、長期的な評価を左右する核心的な問いであると言えます。

情報元:Business WireInven GlobalMP1st

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