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外山圭一郎氏が当時を語る : JAPAN Studio閉鎖の真相

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2021年に惜しまれつつ解散したJAPAN Studio。その背景には、ソニーと開発者チームのゲーム制作に対するビジョンの相違がありました。「GRAVITY DAZE」の生みの親である外山圭一郎氏は、ソニーが大規模ゲームを求めた一方、開発チームは革新的なアイデアを追求していたと語ります。

2021年に解散したJAPAN Studioは、かつてPlayStationの象徴とも言えるスタジオでした。その閉鎖の背景には、ゲーム開発における思想の違いがあったとされています。「GRAVITY DAZE」(英語版タイトル:GRAVITY RUSH)の生みの親である外山圭一郎氏は、ソニーがより大規模な作品を求めていた一方、スタジオの開発陣は革新的なアイデアを追求していたと語っています。

創造性とソニーの方針の対立

外山氏によれば、JAPAN Studioは独創的で実験的な作品作りに秀でており、常に新たな挑戦を志向していました。しかし、ソニーは巨額の予算とリスクを伴う大作ゲームの開発に注力するようになり、その結果、一部の作品においてソニーが「保守的すぎる」と批判されることもありました。

VGCとのインタビューで、外山氏は「必ずしも巨額の予算をかけなくても、素晴らしいゲームは作れる」と強調しました。しかし、ソニーは小規模で革新的な作品を歓迎せず、他の大規模チームと同様に大きなスタジオへと成長することをJAPAN Studioに求めていたようです。外山氏は、そのようなソニーの方針こそが、JAPAN Studioの閉鎖につながったと述べています。

新たなスタジオの設立

2020年、外山圭一郎氏はソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)を退社し、自身のゲームスタジオであるボーカゲームスタジオ(Bokeh Game Studio)を設立しました。共に歩んできた開発者たちは、この独立が必然的な選択であったと確信しています。外山氏は独立により、自身の個性をより色濃く反映した作品作りが可能になると語っています。現在、スタジオは2024年11月発売予定の新作ホラーゲーム「野狗子:Slitterhead」の開発に注力しており、開発は順調に進んでいます。

独立してゲームをリリースすることの難しさについて、外山氏は「最も驚いたのは市場への参入だった」と語ります。ソニー時代は専門部署が担当していたため、直接的な経験がなかったのです。独立後は、自ら他社との連携や資金調達に奔走しなければならず、これが最も苦労した点だと振り返ります。特に、独立間もないスタジオにとって、資金調達やパートナーシップの構築は大きなハードルとなるでしょう。

新しいアイデアと予算のバランス

ゲーム制作は常に厳しい状況に直面しており、外山氏もその難しさを実感しています。「このゲームを制作する上で最も重要だったのは、革新的なアイデアと限られた予算のバランスをいかに取るかだったと思います」と語ります。彼らが4年という短期間でゲームを完成させ、他のスタジオが閉鎖を余儀なくされる中、自立できたのは、このバランス感覚が優れていたからこそと言えるでしょう。

ゲーム業界における影響と今後の動向

JAPAN Studioの閉鎖は、ゲーム業界における重要な論点として浮上しています。予算の肥大化とそれに伴うリスクは、業界全体が直面する喫緊の課題です。外山氏のアプローチは、業界に新たな視点を提示しており、今後のゲーム開発においても注目を集めています。

この出来事は、単なる企業戦略の転換にとどまらず、ゲーム業界全体の未来を考える上で重要な示唆を与えています。クリエイティブな開発環境の重要性が再認識される中、ソニーをはじめとする大手企業がどのような舵取りを行うのか、今後の動向が注視されます。

さらに、外山氏の新たな独立スタジオがリリースする作品がどのような評価を受けるのかにも注目が集まります。彼らが手掛ける「野狗子:Slitterhead」の成功は、独立系小規模スタジオの可能性を証明することになるでしょう。一方、失敗すれば、大手企業による支援の必要性が改めて浮き彫りになるかもしれません。

このように、JAPAN Studioの解散は、ゲーム業界における創造性とビジネス戦略のバランスを再考する契機となっています。ゲームファンや業界関係者にとって、この出来事は今後のゲーム開発の行方を占う上で重要なポイントとなるでしょう。

情報元:tech4gamers

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