人気ゲーム「Terraria」が性別選択オプションを削除。ゲーム業界における多様性への配慮が加速する中、Re-Logicの決断は、企業の多様性経営のあり方を問いかける。本記事では、Terrariaの事例を基に、ゲーム業界における多様性戦略の成功と課題を分析し、今後のビジネスモデルの変革について考察する。
Terrariaの新たな変更：性別選択オプションの削除
2024年、Re-Logicが開発する人気のピクセルアドベンチャーゲーム「Terraria」において、大きな変更が行われました。2011年にリリースされてから13年後、同ゲームは性別選択オプションを削除し、キャラクター作成の際に提供されていた男女の選択肢を、さまざまな体型オプションに置き換えました。この変更は、トランスジェンダー運動への配慮と考えられており、ゲーム業界全体における多様性と包摂性の重要性を改めて浮き彫りにしています。
Terrariaの特徴と変更の詳細
「Terraria」は、プレイヤーが「掘る、戦う、探検する、作る」といった多様な活動を楽しむことができるゲームです。シンプルながらも奥深いゲームプレイが支持され、全世界で数百万人のプレイヤーを持つ人気作となっています。性別選択オプションの削除は、最新バージョン1.4.5で確認されており、以前のバージョン1.4.4に存在していた男女の選択肢がなくなり、代わりに異なる体型を選択する形式に変更されました。
ゲーム業界における多様性への対応
この変更の背景には、社会的な価値観の変化が大きく影響していると考えられます。近年、特に欧米諸国では、トランスジェンダーやノンバイナリーといったジェンダーに関する多様なアイデンティティが認知され、これに対応する形で企業やクリエイターが商品やサービスを提供する動きが加速しています。ゲーム業界も例外ではなく、これまでのジェンダーに基づくキャラクターデザインやストーリー展開が見直されつつあります。
この点で、Re-Logicの決断は、ゲームデザインにおける多様性を尊重する一例といえるでしょう。類似の動きは他のゲームタイトルにも見られます。例えば、2020年に発売された「ラスト・オブ・アス Part II」では、女性キャラクターがより男性的なデザインで描かれるなど、トランスジェンダー・イデオロギーに配慮したキャラクター表現が取り入れられました。また、「サイバーパンク2077」では、キャラクター作成時に性別にとらわれない多様な選択肢が提供されています。
変更に対するプレイヤーの反応と議論
一方で、このような変更に対する反発も少なくありません。従来のジェンダーロールに基づいたデザインに慣れ親しんだプレイヤーの中には、こうした変更が過剰な配慮であると感じる声も上がっています。YouTubeの人気チャンネル「YellowFlash」では、内部情報に基づき、ゲーム業界全体が「誰もが安心して楽しめるように」との名目で曖昧なデザインを採用しているとの指摘がされています。
それにもかかわらず、性別選択オプションの削除がTerrariaのプレイヤー数に与えた影響は限定的です。リリースから13年が経過してもなお、Terrariaは安定した人気を誇っており、最近の24時間で35,781人ものピーク同時プレイヤーを記録しています。これは、2020年のCovid-19パンデミック中に記録されたピーク時の同時プレイヤー数489,886人と比べても、その人気が衰えていないことを示しています。
Terrariaの変更が示す今後の展望
今回の性別選択オプションの削除は、Re-Logicがゲーム業界における多様性を尊重し、トランスジェンダーやノンバイナリーといったジェンダーに対する配慮を示す一歩であると言えます。この変更が今後のゲームデザインにどのような影響を及ぼすのか、そしてプレイヤーたちがどのように受け入れていくのか、今後の動向が注目されます。
「Terraria（テラリア）」バージョン1.4.5のアップデートは、2024年後半に実施される予定です。
情報元：Park Place