
セガは、2025年度における新作ゲームのリリース数を抑制し、同社の主力シリーズである「ソニック」「ペルソナ」「龍が如く」への重点的な投資を進める方針を明らかにしました。これにより、タイトル数の拡大による市場シェア獲得から、個々のタイトルのクオリティと収益性の向上を優先する戦略への転換が鮮明になりました。
2025年度以降の注目新作タイトル
セガは今後、以下のような新作タイトルの開発を進めていることを発表しています:
- 「PROJECT CENTURY(仮称)」
- 未発表の「ソニック」シリーズ新作
- 「ペルソナ」シリーズ最新作
さらに、セガは「バーチャファイター」「クレイジータクシー」「ジェットセットラジオ」「ゴールデンアックス」「ストリートオブレイジ」などの懐かしいレトロIPのリバイバルも計画しています。ただし、これらのタイトルの具体的な発売時期は現時点では明らかにされていません。
中核スタジオの戦略的強化
特に、これらのシリーズを手がけるソニックチーム、アトラス、龍が如くスタジオの開発体制を強化するため、積極的な人材採用に加え、M&A(企業買収)による外部リソースの取り込みも検討しています。
アトラスに関しては、「日本発のIPを海外市場でさらに成長させるため、強化が必要」と明言。「ペルソナ」シリーズは欧米市場を中心に根強い人気を誇り、今後のシリーズ展開に向けた安定的な開発体制の構築が求められています。同時に、ソニックチームや龍が如くスタジオでも人員不足が顕在化しており、外部リソースの確保と積極的な人材採用を進める方針です。
リリース戦略の変更
2024年度(2024年4月〜2025年3月)においてセガは、「スーパーモンキーボール バナナランブル」「メタファー:リファンタジオ」「ソニックX シャドウ ジェネレーションズ」「龍が如く8」など、7本以上のフルプライスタイトルを発売しました。
しかし、2025年度はこのリリースペースを意図的に減速させる見込みです。セガは「2025年度の新作フルゲームのタイトル数は、2024年度より少なくなる」とコメントしており、注力タイトルを厳選する姿勢を示しています。
多角的な収益モデルの構築
新作フルタイトルのリリース本数を抑える一方で、F2P(基本無料)タイトルの展開を強化し、シリーズ全体を活用した収益基盤の強化を図ります。既存ファンの囲い込みや、新規ユーザー層の獲得を視野に入れた柔軟なタイトル戦略へとシフトする構えです。
特に、2024年度の販売実績は好調に推移しています。最新の公表データによると、2024年4月から12月までの9カ月間で、新作ゲームは約2,000万本を販売。「ソニックX シャドウ ジェネレーションズ」は200万本以上、「メタファー:リファンタジオ」は100万本以上を記録しました。
過去作品(レガシータイトル)も約1,200万本を販売し、「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」「ユニコーンオーバーロード」に加え、「ソニック」シリーズの旧作がリピート販売に貢献しています。
サブスクリプションサービスへの挑戦
セガの内海州史社長は、ビデオゲームのサブスクリプションサービスへの参入について、「現時点では詳細を明かせないが、何らかの形でサービス展開を検討している」と述べています。具体的な計画や時期はまだ明らかにされていませんが、自社のIPを活用したサブスクリプション型サービスは、継続的な収益確保とファン層の拡大を両立できる可能性があり、業界内外から注目を集めています。
グローバル戦略の強化
2025年度に向けたセガの新方針は、単なるタイトル数削減ではなく、選択と集中によるIP価値最大化を目指すものです。特に欧米市場では、セガIPへの注目度が年々高まっており、アトラスや龍が如くスタジオが手がける作品への期待も大きくなっています。
新作タイトル数を厳選することで、開発リソースを集中投入し、グローバル市場で通用する高品質タイトルを生み出すことに注力します。同時に、中核IPの持続的な収益化を視野に入れ、フルタイトル、F2P、リピート販売、サブスクリプションという複合的な収益モデルを構築する狙いです。
セガの新戦略は、海外市場における存在感強化と安定収益基盤の確立を両立するための重要なステップといえるでしょう。
情報元:VGC