
コナミの人気ホラーシリーズ「サイレントヒル」最新作「サイレントヒル f」の詳細が明らかに。1960年代の日本の田舎町を舞台に、「ひぐらしのなく頃に」の竜騎士07氏が脚本を担当。美と狂気が交錯する新たなサイコロジカルホラーとして、PC、PS5、Xbox Series S|X向けに開発中。過去作とは一線を画す日本的恐怖表現が特徴の注目作。
コナミは最新の「サイレントヒル トランスミッション」開発者ストリーム配信で、13年ぶりとなる完全新作「サイレントヒル f(エフ)」の新たなトレーラーと詳細情報を公開しました。2022年10月に初めて発表された本作は、シリーズ初となる日本を舞台としたサイコロジカルホラーとして、多くのファンから熱い視線を集めています。
SILENT HILL f | Official Reveal Trailer (4K: JA/CERO) | KONAMI
1960年代の日本が舞台の新たな恐怖
「サイレントヒル f」の舞台は、1960年代の日本の山間部に位置する架空の町「戒ヶ丘(えびすがおか)」です。開発チームは、岐阜県下呂市金山町をモデルに、当時の時代背景に合わせた詳細な考証を行い、リアリティ溢れる世界観を構築しています。シリーズ従来のアメリカの町「サイレントヒル」とは一線を画す、全く新しい試みと言えるでしょう。
主人公は高校生の深水雛子(しみず ひなこ)。平凡な日常を送っていた彼女の生活は、謎の白い「バケモノ」の出現と共に一変します。霧に包まれた町は奇怪な姿へと変貌を遂げ、人々の姿は消え、代わりに得体の知れない存在が霧の中から忍び寄ります。
プレイヤーは変わり果てた町を探索し、複雑なパズルを解き、恐ろしい存在と戦いながら生存を目指します。物語が進むにつれ、雛子は「美」と「狂気」の狭間で、苦悩に満ちた選択を迫られることになります。
実力派クリエイターによる強力なタッグ
コナミは「サイレントヒル」シリーズの復活にあたり、各タイトルで異なる開発パートナーと協力する戦略を採用しています。「サイレントヒル2 リメイク」ではポーランドのBloober Teamを起用し、本作「サイレントヒル f」では台湾のNeoBards Entertainmentが開発を担当。
NeoBards Entertainmentは、「バイオハザード」シリーズや「デッドライジング デラックス リマスター」、「ファイナルファンタジーVII リバース」など、数々の大作タイトルの開発パートナーを務めてきた実績があります。同スタジオにとって、リードデベロッパーとして手がける注目作となります。
SILENT HILL Transmission (JP) 字幕付き | 2025.3.14 | KONAMI
脚本には、「ひぐらしのなく頃に」や「うみねこのなく頃に」で知られる竜騎士07氏を起用。「『SILENT HILL』シリーズは単なる物語ではなく、心を描くことのできる優れた”表現方法”」であると開発者ストリームで語り、本作が遺作でも構わないくらいの覚悟で制作に臨んでいることを明かしました。
クリーチャーデザインはイラストレーターのkera氏が担当。「今までの血と錆の世界がどんな世界に変わっているのか」とコメントしており、従来のシリーズとは異なる方向性を模索しながらも、サイレントヒルの魂を継承したデザインを目指したことが窺えます。
音楽面では、シリーズの象徴的存在である山岡晃氏が復帰します。「戦国無双」シリーズなどで知られる稲毛健介氏との共同で、本作の音楽を担当します。山岡氏の参加は多くのファンにとって待望であり、「サイレントヒル」ならではの不気味で独特な音響体験が期待されます。
全体のプロデュースは、「サイレントヒル2」リメイク版も担当した岡本基氏が務めています。
日本的恐怖の新たな表現
「サイレントヒル f」の最大の特徴は、日本を舞台にした新たな恐怖表現です。従来のシリーズが「錆と血」を特徴としていたのに対し、本作では日本特有の美意識や自然観を取り入れた恐怖描写が展開されます。トレーラーでは、花や植物が人体と融合する不気味な映像や、日本の伝統的な家屋や風景が歪んでいく様子が描かれており、西洋的なホラー表現とは一線を画す独自の世界観が構築されています。
また、1960年代という時代設定も重要な要素です。高度経済成長期に入る前の日本の田舎町を舞台にすることで、現代では失われつつある日本の原風景と、そこに潜む古来からの不気味さを表現しています。
SILENT HILL f ティザートレーラー (4K:JP) | KONAMI
扱われるテーマと注意点
公式の注意書きによれば、本作には「性差別や児童虐待、いじめ、薬物による幻覚、拷問、強い暴力表現」が含まれるとのこと。1960年代の日本社会を舞台にしていることから、当時の社会通念や価値観に基づいた描写があり、現代の視点からは不快に感じる表現も含まれる可能性があるでしょう。
これらのテーマは、サイレントヒルシリーズが一貫して追求してきた「人間の心の闇」「抑圧された感情」「トラウマ」といった要素と深く結びついています。本作もまた、主人公の内面と外部世界の恐怖が交錯する、サイコロジカルホラーとして構築されているのかもしれません。
発売時期と対応機種
「サイレントヒル f」は、PC、PlayStation 5、Xbox Series S|X向けに開発中であることが確認されています。「サイレントヒル2 リメイク」がPlayStation 5とPC向けに発売されたのとは異なり、本作はXbox Series S|Xにも対応予定です。正確な発売日はまだ発表されていませんが、コナミは今後も定期的に情報を更新していくとしており、続報が待たれます。
13年ぶりとなるシリーズ完全新作は、日本の文化的背景を取り入れた新たな恐怖体験を提供すると同時に、サイレントヒルが持つ本質的な「心の闇との対峙」というテーマを引き継ぎ、進化させようとしています。シリーズファンはもちろん、日本的ホラーに関心を持つ新規プレイヤーにとっても、見逃せない一作となるでしょう。
情報元:wccftech