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Switch開発キットから流出 ─ レトロスタジオ未発表IPや「リッジレーサー」試作版か

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Nintendo Switch開発キットからの情報流出により、複数の未発売・開発中止ゲームの存在が明らかになった模様。「メトロイドプライム」シリーズで知られるレトロスタジオによる未発表の新規IP「Project Harmony」や、バンダイナムコが開発していたとされる「リッジレーサー」の試作版などのデータや映像が含まれていたと見られています。

Nintendo Switch開発キットから内部情報が流出か

任天堂の次世代機に関する話題が飛び交い期待が高まるなか、現行機Nintendo Switch向けに開発されながらも、最終的に日の目を見ることなく開発中止となったとされる複数のタイトルに関する内部情報が、オンライン上に流出した模様です。任天堂は企業秘密や内部情報の管理に極めて厳格であることで知られており、開発プロジェクト、特に中止されたプロジェクトの詳細がこのような形で外部に漏れるのは異例の事態と言えるでしょう。

情報源と流出の経緯

この情報流出は、2024年4月上旬に海外の大手掲示板Redditにおいて、ゲームリーク情報などを扱うコミュニティ「r/GamingLeaksandRumors」へユーザー「capitalggamer」が行った投稿が発端となりました。このユーザーは、Nintendo Switchの開発キット(開発者向けの実機やツール)から、複数の未発表あるいは開発中止となったゲームのデータやビルド(開発中のゲームバージョン)を発見したと主張し、その内容の一部を公開しました。情報の具体的な入手経路は明かされていませんが、投稿には実際のスクリーンショットやゲームプレイ映像とされるものが含まれており、単なる噂や憶測の域を超えた信憑性を持つ情報として、瞬く間に拡散されました。

流出したとされる主な未発売・開発中タイトル

今回、開発キットから発見されたとされる主なデータは以下の通りです。

  • 古いバージョンの「スプラトゥーン2」のデバッグビルド
  • 「RiME」(Tequila Works開発、2017年発売済みのSwitch版)の別ビルドか開発中データ
  • 未発売の「レゴ シヴィライゼーション」のプロトタイプ(試作品)
  • 未発売の「リッジレーサー」シリーズ新作のプロトタイプ(バンダイナムコ開発)
  • 未発売のレトロスタジオ開発ゲーム(コードネーム:Project Harmony)
  • 「ARMS」のデバッグビルド

これらの中でも特にゲームファンの注目を集めているのが、有力デベロッパーであるレトロスタジオが手掛けていたとされる完全新規IP(知的財産、ここではゲームシリーズやキャラクターなどを指す)「Project Harmony」と、人気レースゲームシリーズの復活が期待されていたバンダイナムコの「リッジレーサー」試作版です。これらのタイトルについては、具体的なゲーム内容を示すとされる映像も公開されています。

レトロスタジオ幻の新規IP「Project Harmony」

「メトロイドプライム」シリーズのリマスターや、「ドンキーコング トロピカルフリーズ」などで高い評価を得ている任天堂傘下の開発スタジオ、レトロスタジオ。同スタジオが「メトロイドプライム4」の開発を引き継ぐ以前に取り組んでいたとされるのが、コードネーム「Project Harmony」と呼ばれる完全新規IPです。

流出したとされるスクリーンショットや複数のゲームプレイ映像(当初公開された短いクリップに加え、後日30分を超える詳細なプレイ映像も登場したとされています)からは、プレイヤーが「Harmony」と呼ばれる妖精のようなキャラクターを操作し、固有の能力を持つ多様なクリーチャーたちを召喚、時にはそれらに騎乗しながら、広大なフィールドを探索したり、敵と戦ったりする様子が確認できます。

Retro Studios game leak

※これらの映像はリーク情報であり、削除される可能性があります。

この内容は、2024年1月頃に噂として流れていた「レトロスタジオが〝音楽RPG〟を開発していた」という情報とも一部合致しており、今回の流出はその噂を補強する形となりました。レトロスタジオが最後にリリースした完全新作は2014年のWii U向けタイトル「ドンキーコング トロピカルフリーズ」であり、その後は約10年間、新作の発表がありませんでした(「メトロイドプライム リマスタード」はリマスター作品)。もし「Project Harmony」が完成しリリースされていれば、同スタジオにとって待望の完全新作となり、任天堂にとっても新たな柱となりうる新規IPが誕生していた可能性があります。開発中止に至った理由は不明ですが、2019年に同スタジオが「メトロイドプライム4」の開発を初期段階から再始動すると発表しており、そのタイミングでリソースを集中させるために中止された可能性も考えられます。

バンダイナムコによるSwitch版「リッジレーサー

レースゲームの人気シリーズ「リッジレーサー」のNintendo Switch向け新作が開発されていた可能性も、今回の流出で浮上しました。バンダイナムコエンターテインメント、特に同社のシンガポールスタジオが開発に関与していたという噂も以前からありましたが、今回流出したとされる映像によってその信憑性が高まりました。

X(旧Twitter)ユーザー「Jesse Young」氏などが公開したとされる約2分間の映像には、開発初期段階と思われるプロトタイプのレースシーンが収められています。グラフィックやゲームシステムは明らかに開発途上のものですが、「リッジレーサー」らしい爽快なドリフト走行の片鱗をうかがわせます。なお、映像を公開したとされるユーザーは、Discord上の特定サーバーのユーザーに謝意を示しており、開発データが特定のコミュニティ内で共有されていた可能性も示唆されています。

Ridge Racer 8 Switch Prototype – Gameplay

※これらの映像はリーク情報であり、削除される可能性があります。

バンダイナムコと任天堂は、「ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT」や「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」など、数多くのタイトルで協力関係を築いてきました。コンソール向けの「リッジレーサー」シリーズは、2012年の「リッジレーサー アンバウンド」を最後に新作のリリースが途絶えており、Switchでのシリーズ復活を期待していたファンも少なくありませんでした。このプロトタイプの存在から、実際にSwitchでの展開が検討されていた可能性は高いようです。残念ながらこのプロジェクトも開発中止となった模様ですが、両社の良好な関係自体は続いていると考えられます。

今回の流出が意味するもの

「レゴ シヴィライゼーション」については映像は確認されていませんが、レゴブランドを用いたストラテジーゲームという、もし事実であれば珍しい組み合わせの内容が気になるところです。もし開発されていた場合、「シヴィライゼーション VII」の開発が進むなか、そちらへのリソース集中のために開発が中止された可能性も考えられます。

今回の Nintendo Switch開発キットからの情報流出とされる件は、ゲーム開発の舞台裏で人知れず進行し、そして消えていった可能性のある数多くのプロジェクトの存在を白日の下に晒すことになりました。特に、レトロスタジオのような高い実力を持つデベロッパーが、ファンがその動向に注目していた「空白期間」にどのような挑戦をしていたのか、その一端を垣間見ることができるかもしれない点は、ゲーム史やファンにとって非常に興味深い出来事と言えるでしょう。

一方で、もしこれが事実であれば、企業にとっては極めて重要な内部情報、企業秘密が漏洩したという深刻な事態でもあります。なぜこのようなデータが外部に流出したのか、開発キットの管理体制に問題はなかったのかなど、もし流出が事実であれば、任天堂および関連企業は原因究明と再発防止策の徹底を迫られることになるでしょう。今回の出来事が、今後のゲーム開発や情報管理、そして間近に迫ると噂される次世代機への移行にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していく必要がありそうです。

情報元:INVERSE

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