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「Zoopunk」生成AI疑惑に回答:本編は人間が制作、AIはユーザーの創作支援のみ

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Xbox Partner Previewで発表された「Zoopunk(ズーパンク)」の生成AI疑惑を受け、開発元TiGamesが公式声明を発表しました。「本編は全てアーティストが制作しており、AIはプレイヤーによるコンテンツ制作の支援に限る」と明言。疑惑の発端となったNVIDIAのデモ映像の詳細や、前作「F.I.S.T.」からの進化点とは?

マイクロソフト主催の最新ゲーム情報ショーケース「Xbox Partner Preview」にて、中国のデベロッパーTiGamesによる新作アクションゲーム「Zoopunk」が発表されました。擬人化された動物キャラクターたちが暗黒のSF世界を駆けるスタイリッシュな映像は多くの注目を集めましたが、一部の業界関係者やゲーマーの間で、生成AIが開発に関与しているのではないかという疑問も浮上しました。

近年、ゲーム開発分野で生成AIが注目される一方、著作権問題やクリエイターの雇用といった点を巡るセンシティブな議論も活発化しています。こうした中、TiGamesは疑惑に迅速に対応し、公式声明を通じて開発体制とAI活用の目的を明示しました。以下で開発元の見解と疑惑の経緯、今回の事例の業界的な意味合いを紹介します。

AI利用は「ユーザー創作の支援」に限定

懸念に対し、TiGamesはメディアを通じて以下の2点を明確にしました。

まず第一に、「ゲーム本編は完全に人間の手によって制作されたもの」であること。開発チームは「私たちの作品はすべてオリジナルであり、アーティストの努力と献身の結晶だ」と述べ、AI生成による制作ではないことを強く否定しています。

次に、AIの利用目的は「プレイヤーの創作活動(ユーザー生成コンテンツ:User Generated Content、UGC)を支援するため」であること。具体的には、車両のスキンや服装のカラーリングなど、ユーザーが容易に作成できるようAIが補助ツールとして機能します。高品質なゲームのMOD(Modificationsの略:改造データ)作成には専門スキルが必要ですが、AIはスキルを持たない一般プレイヤーの二次創作をサポートする役割を担います。

つまりTiGamesの立場は、AIを「開発者の手抜きのための道具」ではなく、「プレイヤーの創造性を引き出し、コミュニティの活性化につながる架け橋」として位置付けているということです。

疑惑の発端:技術デモ映像が招いた誤解

「Zoopunk」発表直後、SNSやゲームフォーラムで「本作のアセット(素材)はAIで自動生成されたのではないか」との指摘が相次ぎました。疑念の背景には主に2つの要因があります。

1つ目は、2025年初頭に公開されたNVIDIAの技術デモ映像です。この映像では、開発者がマイクを通じてNPC(ノンプレイヤーキャラクター)に話しかけ、音声コマンドで着陸船の色や形状をカスタマイズする様子が紹介され、「プレイヤー主導の生成AI」という実験的取り組みでした。しかし、一部視聴者には「ゲーム本編もAI任せで制作されているのでは」という誤解を与えました。

2つ目は、公式YouTubeチャンネルにて一時的に公開されていた限定公開動画です。ここではユーザーが描いた単純な線画(スケッチ)を、Stable Diffusionなどの画像生成AI技術を活用して瞬時にゲーム内の3Dモデルへ変換する過程が映されています。

しかし、これらの映像が「プレイヤー向けの機能」なのか「開発者の制作工程の一部」なのかが不明確だったため、「プロのアーティストが担うべき部分までAIに依存している」との誤解が広まったのです。

前作「F.I.S.T.」から進化、完全3Dアクションへ

「Zoopunk」は、TiGamesの前作「F.I.S.T.: Forged In Shadow Torch(フィスト 紅蓮城の闇)」の世界観を受け継ぎながら、完全な3Dアクションゲームとして大きく進化しています。前作はディーゼルパンク風の2.5Dメトロイドヴァニアでしたが、本作ではバイクを駆りながら高速戦闘を繰り広げるサイバーパンク風のSF世界が描かれています。

公開されたトレーラーでは、前作の主人公であるウサギのレイトンが二刀流のエネルギーブレードを操り、多彩で高速な戦闘シーンを展開。PS5、Xbox Series X/S、PCなどの現行ハードに最適化されたリッチなグラフィック表現が特徴です。

TiGamesは「F.I.S.T.の世界を拡張するため、慎重な議論を重ね、『Zoopunk』で新たな命を吹き込みました」とコメントしています。

業界が注目するAI活用の未来

今回の騒動は、ゲーム開発における生成AIの利用が抱える課題を浮き彫りにしました。大手パブリッシャーの中には「生成AIは将来的に業界標準になるべき」と提唱する声もありますが、現場クリエイターやユーザーからは、学習データの著作権問題やAI生成物の均質化に対する懸念が根強く存在します。

TiGamesは、公式アセットは人間のクリエイターが制作を担当し、AIはプレイヤーのMOD制作や創作活動の支援に限定して使用するという明確な住み分けを示しました。「Zoopunk」がこの住み分けを実践し、AI活用の健全なモデルケースとなるのかはリリース後の動向に注目が集まります。

現時点で発売日は未定ですが、開発は鋭意進行中であり、早期に情報を公開しつつ、コミュニティと共に成長を目指しているとのことです。

情報元:Eurogamer

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