
3月6日発売の新作FPS「Marathon」で、PS5 Proの真価が判明。驚異の「内部5K描画」と新AI技術「PSSR 2.0」がもたらす、かつてない高画質と滑らかな動作の仕組みを解説します。4,480円という価格設定や旧作への影響も含め、これからのゲーム体験はどう変わるのでしょうか。
2026年1月、PS5 Proの描画性能に関して、注目すべき新たな情報が明らかになりました。これまで家庭用ゲーム機市場では「4Kへのアップスケーリング」が一般的でしたが、出力解像度を上回る「内部解像度5K」でレンダリングするという、従来とは異なるアプローチが確認されたのです。
この試みは、Bungieが開発するFPS「Marathon」に採用され、PlayStation 5 Pro(以下、PS5 Pro)と、独自のAI技術「PlayStation スペクトル・スーパーレゾリューション(PSSR)」の進化によって実現されます。
常識を覆す「5K内部レンダリング」の手法
PS5 Proの発売以来、多くの「Enhanced」対応タイトルは、1440p程度の内部解像度をAIで4Kに引き上げる(アップスケーリング)手法を採用してきました。これはハードウェアのパフォーマンスを維持するための標準的な最適化手法です。
しかし、「Marathon」のアプローチは従来とは一線を画します。PlayStation公式サイトの記述によれば、本作は「内部的に5Kでレンダリング」を行い、それを4K画像として出力する仕様となっています。これはPCゲームにおける「スーパーサンプリング(SSAA)」に近い処理です。
- 5K解像度(5120×2880): 約1,475万画素
- 4K解像度(3840×2160):約830万画素
出力解像度の約1.77倍の画素数で描画し、それを凝縮して出力することで、輪郭のジャギー(ギザギザ)を大幅に低減し、遠景のディテールまで正確に描写することが可能になります。視認性が勝敗を分ける「脱出シューター(エキストラクション・シューター)」において、この描画手法は競技面で明確なアドバンテージをもたらしますが、同時にGPUには甚大な負荷がかかります。この高負荷な処理を実用化できた背景には、システムソフトウェア側の劇的な進化があります。
「PSSR 2.0」が実現する画質と速度の両立
高解像度でのレンダリングと、FPSに求められる安定したフレームレートを両立させる鍵となるのが、2026年第1四半期(1月〜3月)に実装が予想される「PSSR 2.0」です。
過去にPS5 Slimのリデザインや、PS5の周辺機器「Hyperpop Collection」の登場を正確に的中させた実績を持つインサイダー、Gust_FAN氏の情報によれば、このアップデートはAMDの次世代技術「FSR 4」に相当する機能をPS5 Proに導入するとされています。特筆すべきは、以下の機能拡張です。
- AIフレーム生成:機械学習アルゴリズムにより、GPU負荷を抑えつつ中間フレームを生成し、フレームレートを向上させます。
- 高度なバッファ管理:5Kという巨大なテクスチャデータを効率的に処理し、メモリ帯域の圧迫を防ぎます。
- 開発者用デバッグツールの刷新:最適化プロセスを効率化し、バグの早期発見を支援します。
「Marathon」の発売日が2026年3月6日に設定されたことは、このPSSR 2.0のリリース時期と完全に合致しており、本作が新技術の真価を測る最大のベンチマークとなることを示唆しています。
対戦FPSにおける解像度とフレームレートの課題
一方で、コアな業界関係者の間では、この5K内部レンダリングというアプローチに対して冷静な議論も交わされています。「対戦型シューターにおいて、最も優先すべきは解像度ではなくフレームレートではないか」という点です。
競技性の高いゲームでは一瞬の判断遅れが命取りとなるため、秒間120フレーム(120Hz)のような高い更新頻度が好まれます。5K処理はシステムに多大な負荷をかけ、フレームレートを犠牲にするリスクを伴います。本来であれば、PSSRの能力を「画質の向上」ではなく「フレームレートの最大化(4K/120fps)」に振り向けるべきではないか、という指摘です。
そこで期待されるのが、前述したPSSR 2.0による「AIフレーム生成」です。もし新しいアップスケーリング技術が、高解像度処理の負荷を相殺し、パフォーマンスを大幅に向上させるならば、高解像度と高フレームレートの両立という理想的な状況が現実のものとなります。Bungieとソニーが、画質の美しさと競技性のどちらに重点を置いたチューニングを行うのか、3月のアップデートでその答えが出るでしょう。
戦略的な低価格設定とスタジオの狙い
技術的な進歩と並行して、販売戦略の動きも見逃せません。本日発表された「Marathon」のスタンダード版価格は4,480円(税込)に設定されました。
近年のAAAタイトルが価格高騰を続ける中、この価格帯は極めて戦略的です。「Marathon」はBungieにとって「Destiny」以来の完全新規IPですが、開発過程では延期や仕様変更、盗作騒動などの課題に直面してきました。
本作はPCやXbox Series X|Sでも展開されますが、家庭用ゲーム機において「5K内部レンダリング」という高精細な仕様が明言されているのは、現時点では海外のPS5 Pro版情報のみです。
基本プレイ無料の競合タイトルが多い市場において、あえて低価格の買い切り型として投入することで、プラットフォームを問わず最大級のユーザーベースを確保する狙いがあります。その中で、PS5 Proユーザーには「最新技術の体験版」としてその優位性を安価に提示し、ハードウェアの普及とスタジオの信頼回復を同時に狙う意図が見て取れます。
旧作ゲーム高画質化への期待
PSSR 2.0の恩恵は最新作に留まらず、PlayStation Plusのカタログ価値向上にも貢献します。リーク情報によれば、低解像度の旧作やクラシックゲームに対してAIによる高解像度化が適用される見込みです。
既存の資産が最新のハードウェア上で「リマスター」に近い品質で蘇ることは、プラットフォームのエコシステム全体の価値を底上げします。これは、サブスクリプションサービスの加入者維持において強力な武器となるはずです。
PS5 Proが迎える真の船出
2024年末に発売されたPS5 Proですが、これまでそのスペックを完全に活かしきれたタイトルは限られていました。しかし、2026年3月6日の「Marathon」発売とPSSR 2.0の導入により、その局面は変わります。
「5K内部レンダリング」という高負荷な処理が、実際のゲームプレイにおいてどの程度の視覚的向上とパフォーマンスをもたらすのか。ハードウェア(Pro)、ソフトウェア(Marathon)、そしてAI技術(PSSR)の三位一体が完成するその日、PS5 Proは真の意味での「ローンチ」を迎えることになるでしょう。


