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「Stellar Blade: Blood Rain」公式AI動画の炎上 ─ ファンから失望広がる

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「Stellar Blade: Blood Rain」の公式AI動画炎上。その背景には、開発効率化を急ぐスタジオと、作風や職人技を愛するユーザーとの深い隔たりがあります。キム・ヒョンテCEOが掲げる「AIで100人分の効率」という理念の功罪や、ファンが抱くブランド崩壊への危機感など、現代のゲーム業界が直面する課題に迫ります。

はじめに

韓国のShift Upが手がける人気アクションゲームの続編「Stellar Blade: Blood Rain」。2026年6月の「Summer Game Fest 2026」でお披露目されて以来、世界中のファンから熱烈な視線を浴びていた本作ですが、7月31日に公開された1本のミュージックビデオ(MV)をきっかけに、業界全体を巻き込む大きな騒動へと発展しています。

波紋を呼んでいるのは、新主人公「エヴィ(Evie)」をフィーチャーしたイメージソング「Wanna Be in LOVE」の公式MVです。映像の全編に渡って画像・動画生成AIが用いられていることが判明すると、そのクオリティの低さや表現のあり方を巡り、長年のファンのみならず主要なゲームメディアからも厳しい声が殺到する事態となりました。

公式動画に刻まれた「生成AI」の稚拙な痕跡

問題のMVは、2026年7月31日にShift Upの公式YouTubeチャンネルで公開されました。概要欄には「ゲームリソースを素材にAIで再生成(regenerated with AI support)」した旨が明記され、YouTube側が付与する自動ラベルも表示。社内の「Second Eve Studio」および「AI Labs」による制作であることも隠されていません。

つまり、スタジオ側はAIの使用を最初から公表していたわけですが、非難の矛先は「AIを使ったこと」そのものよりも、一目でそれと分かる仕上がりの雑さや、各所に残された不自然な破綻に向けられました。

実際に映像を確認すると、以下のような生成AI特有の破綻(ハルシネーションや一貫性の欠如)が随所に見受けられます。

  • 崩れ続けるキャラクターイメージ
    カットが変わるたびにエヴィの顔立ちや骨格、髪型がブレてしまい、従来の3Dモデルや丁寧なアニメーションが持っていたデッサンの一貫性が完全に失われています。
  • 読めない文字と崩壊した背景
    背景の本棚や自動販売機、街角の看板に書かれたテキストが、意味をなさない謎の文字列に化けています。マルクス・アウレリウスの「自省録(Meditations)」が「Meaiiatations」に、自動販売機の「Customer Service」が「Custemef Service」へと化けている現象は、画像生成AIが文字構造を理解できずに引き延ばした際によく見られる典型的なエラーです。
  • 無関係な他社IPの混入
    劇中でエヴィが拾い上げるキーホルダーに、Shift Upとは無関係なコンテンツ「KPop Demon Hunters」のロゴやキャラクター(Derpy the Tiger)が映り込んでいます。AIが学習データから混入させた可能性が指摘されており、「著作権上の法的リスク」として注意を促しています。
  • 不気気な谷を突く「架空のメイキング」
    動画の終盤には、制作現場の舞台裏風の演出が挿入されました。しかし、AIフィルターが過剰にかかったスタッフらしき人物が、AI生成のエヴィと会話したりハイタッチを交わしたりする映像は強烈な不気味さを醸し出し、滑稽さを際立たせる逆効果となってしまいました。

世界へ広がる批判

前作「Stellar Blade」は、クリエイター陣の職人技が光る緻密なグラフィック、重厚な世界観、洗練されたサウンドが高く評価され、累計600万本(Sensor Tower推計)を超える大ヒットを記録しました。それだけに、今回のMVで見せられた妥協に対してユーザーが受けたショックは計り知れません。

KotakuGameSpotGamesRadar+Push Squareといった主要ゲームメディアは、一斉にこの動画を「AI slop(AIが吐き出したゴミ、粗悪品)」と切り捨て、辛辣なタイトルで報道。プレイヤーコミュニティの失望は、次第に怒りへと変わっていきました。

SNSやRedditなどに寄せられたファンの声には、大きく分けて2つの強い反発が現れています。

第一に挙げられるのが、「自社アーティストへの不敬」に対する憤りです。

「Shift Upには世界トップクラスの絵師やデザイナー、コンポーザーがいるはずだ。なぜその才能を活かさず、コスト削減のために薄気味悪いAIへ頼るのか」「真面目に作ってきたクリエイターの顔に泥を塗る行為(a slap in the face to your artists)だ」といった怒りの声が相次ぎました。

第二に、「続編・ブランドそのものへの不信感」です。

第一作のクオリティを信頼して期待を高めていたファンから、「この安易なプロモーションを見て購入意欲が吹き飛んだ」「大好きだった開発スタジオがこんな手法に逃げたことが悲しい」と、ブランド離れを匂わせるコメントが続出しています。

(※なお、極一部ではあるものの「実験的な試みとして面白がれる」「本編の出来とは別物として割り切る」といった冷ややかな静観姿勢を示す層が存在したことも、付記しておきます)

キム・ヒョンテCEOの「100人分のアウトプット」論

この炎上劇を読み解くうえで外せないのが、Shift Up of 創業者であり、自身もカリスマ的イラストレーターとして知られるキム・ヒョンテ(金亨泰)氏のAI観です。

キム氏は2026年1月、韓国の大統領も出席した国家主導の経済フォーラムにおいて、ゲーム開発における生成AIの活用について次のように持論を展開していました(GameMeca報道、Automaton翻訳)。

  • 巨大スタジオとの格差を埋める一手
    「Shift Upは1タイトルを150人規模で開発しているが、中国などのメガスタジオは1,000〜2,000人動員してくる。同じ土俵で量と質を競うのは不可能だ」
  • 飛躍的な作業効率の向上
    「AIを制作パイプラインにうまく組み込めば、1人のクリエイターが100人分の成果を出すことも可能になる」(※なお、この発言について同氏はリストラを目的としたものではないと説明しています)

自身が第一線のアーティストであるキム氏への信頼から、かつてファンは「彼が指揮を執る以上、作品の芸術性が損なわれることはないだろう」と好意的に受け止めていました。しかし、今回のMVで示されたクオリティは、その信頼を根底から覆すものとなってしまったのです。炎上後、キム氏が自身のX(旧Twitter)アカウントでMVの意見を求める投稿を行ったことも、火に油を注ぐ格好となりました。

業界内では現在、プロモーション領域にとどまらず、「Stellar Blade: Blood Rain」のゲーム本編(アセット、背景、テキスト、デザイン全般)にも大規模なAI生成が使われているのではないかという懸念が強まっています。事実、2026年6月に公開された最初のゲームプレイ映像についても、一部のアセットにAIアシストが使用されている痕跡があると、複数メディアが分析記事を出しています。

新主人公「エヴィ」のデザインを巡る議論

今回のMV炎上とは別に、2026年6月の発表当初から継続して議論を呼んでいるのが、新主人公「エヴィ(Evie)」のキャラクターデザインです。

前作の主人公「イヴ(Eve)」は、成熟した大人の女性としてのプロポーションと露出度の高い衣装が特徴的でした。これに対し、今作の主人公エヴィには次のようなアプローチが取られています。

  • 幼さを強調したビジュアル
    イヴと比較して小柄で幼い顔立ちをしており、海外メディアや一部のユーザーからは「幼すぎる(childlike)」との指摘が噴出。
  • 前作踏襲のセンセーショナルな演出
    外見的・年齢的に幼く見えるキャラクターに対して、前作同様の露出度が高い衣装やカメラワークを適用したことで、「デザインのコンセプトと演出が噛み合っていないのではないか」という倫理的・美学的な批判が一部の海外市場から寄せられました。

IGNがこの問題についてキム氏へインタビューを試みた際、同氏はエヴィがイヴより年下で小柄である事実は認めつつも、具体的なビジュアルへの懸念には直接答えず、「実際にプレイすれば彼女の強さと魅力が理解できるはず」「衣装は前作以上に魅力的になる」と述べるにとどまりました。この回答に対しては「ユーザーの懸念を正面から受け止めていない」と捉えるメディアもありました。

AI問題とキャラクターデザイン論争は、それぞれ独立した事象として発生したものですが、「同じ作品」「同じ主人公」を巡る問題として連鎖し、ブランドイメージ全体に対する不安要素として重くのしかかっています。

総括:効率化の追求とユーザーの信頼

「Stellar Blade: Blood Rain」を巡る一連の騒動は、ゲーム業界全体が直面している「生成AIとの付き合い方」という難題を鮮明に浮き彫りにしました。

高騰し続ける開発費を抑え、少人数で巨大スタジオに対抗するための手段として、AIを用いた効率化を図ること自体はビジネスとして理解できる側面もあります。しかし、そこから生み出されたアウトプットの品質が伴っていなかったり、長年作品を支えてきたアーティストやファンへの敬意を欠いていると受け取られた場合、積み上げてきた信頼やブランド価値は一瞬で瓦解します。

今回の炎上と世界中からのフィードバックを受けて、Shift Upが本編の開発および品質管理(クリエイティブ・コントロール)でどのような舵取りを行うのか。その答えに、ゲーム業界全体が熱い視線を注いでいます。

情報元:KotakuGameSpotGamesRadar+・Push Square

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