
Remedy EntertainmentのCEOテロ・ヴィルタラ氏は、次作「Control 2」の開発予算が前作「Alan Wake 2」よりも抑制された約5千万ユーロ(約85億円)になると発表。同氏によれば、この予算規模でも高品質なゲームを提供でき、200万本の販売で採算が取れる見込みとのこと。開発費高騰に直面する業界において、持続可能な開発モデルを示す注目すべき事例となっています。
次作「Control 2」における戦略的予算計画
「Alan Wake」シリーズや「Control」といった独創的なシングルプレイヤー作品で国際的評価を得ているフィンランドのゲーム開発会社Remedy Entertainment。同社CEOのテロ・ヴィルタラ氏が、業界メディア「Game File」のインタビューにおいて、次回作「Control 2」の開発予算について興味深い見解を示しました。
前作より抑制された開発予算の背景
ヴィルタラCEOによると、「Control 2」の開発予算は5000万ユーロ(約5700万ドル、1ユーロ=170円換算で約85億円)に設定されており、この費用はRemedy EntertainmentとAnnapurna社が共同で負担する予定です。特筆すべきは、2023年に複数のゲーム・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した「Alan Wake 2」の予算が「これよりもやや高かった」という点です。昨今のAAAタイトルの開発費が増大傾向にある中、次回作の予算を抑制するという判断は業界内でも注目に値します。
ヴィルタラCEOは「5000万ユーロという予算でも、優れたゲーム体験を創造できると確信しています」と述べています。同氏の試算によれば、この予算規模で開発されたゲームが200万本販売されれば損益分岐点に到達し、「400万本、500万本と販売数を伸ばすことができれば、それは当社にとって大きな成功となります」と説明しています。
この予算戦略の根底には、ゲーム業界が直面している財政的課題があります。ヴィルタラCEOは、開発初期段階からより現実的な計画を立案し、可能な限り開発期間を短縮することで、コスト効率を向上させることを目指しています。
開発者のビジネス認識向上に向けた取り組み
Remedyがこの目標を達成するために採用している戦略の一つが、「開発者にゲームビジネスについてもう少し考えてもらうこと」とヴィルタラCEOは説明しています。これは、開発チームがプロジェクトの予算規模や収益目標を認識することで、より効率的かつ実現可能な開発アプローチを促進するという考え方です。
「開発者がビジネスについて考えると言っても、過度に意識させるという意味ではありません」とヴィルタラCEOは強調します。重要なのは、クリエイターの独創性や情熱を維持しつつ、プロジェクト全体の持続可能性への理解を深めることです。これにより、リソースの最適配分や現実的な開発範囲の設定が可能となり、結果として予算内で質の高いコンテンツを生み出す環境が構築されます。
業界への示唆と今後の展望
Remedyの取り組みは「Control 2」だけにとどまりません。同社は「Control 2」の発売に先立ち、新作「FBC Firebreak」をリリース予定です。これは「Control」ユニバースを舞台としたスピンオフ作品で、同社初のマルチプレイヤーCo-opゲーム、そして初の自社パブリッシングタイトルとなる点も注目されます。この動きは、収益源の多様化と収益構造の改善を図る戦略の一環と考えられます。
大手パブリッシャーが多額の予算を投じてAAAタイトルを開発する中、開発費の高騰は業界全体の課題となっています。Remedyが示す予算管理と品質維持の両立という姿勢は、特に独立系スタジオや中規模開発会社にとって参考となる事例です。このことから予想されるのは「Control 2」は相当数コストを意識して作られることから、発売はそれほど遠くではないと考えられます。
ヴィルタラCEOが率いるRemedy Entertainmentの「Control 2」開発戦略は、ゲーム業界が直面する財政的持続可能性と創造的品質の追求という課題に対する実践的なアプローチの一つとして、今後もその成果が注目されています。
情報元:Gamefile